2022年の選抜選考を考える④(九州編)

今回は九州編です。
選考で満場一致とならなさそうな地区の紹介は今日が最後ですね。次回以降は選抜出場が確実視されている地区の紹介になります。

九州(九州4)


九州国際大附(九州大会優勝)1枠目
〇5ー0 北九州市立
〇4ー0 希望ヶ丘
〇20ー0 鞍手
〇13ー3 東筑
〇9ー1 福岡
〇9ー2 自由ヶ丘
〇13ー1 福岡第一
ーー
〇6ー4 鹿児島城西
〇13ー0 明豊
〇12ー2 長崎日大
〇12ー6 大島
ーー
〇5ー1 クラーク記念国際
〇2ー1 日大三島
●2ー9 大阪桐蔭

選抜準優勝を果たした2011年以来の選抜出場。福岡勢選抜初優勝の期待がかかります。スコアからもわかるように九州大会までほぼコールド勝ち。更に投手陣もエース香西を中心に九州大会は全試合で継投。捕手との二刀流でもある野田が決勝で先発し好投するなど、投打ともにハイレベルですね。

その強力打線にあって1年生にして4番で構える佐倉に注目が集まりますね。2011年も三好ー高城のプロ注目バッテリーが結果を残しましたが、佐倉も甲子園の顔となりそうです。

大島(九州大会準優勝)2枠目
〇3ー2 鹿児島工
〇8ー4 尚志館
〇2ー1 鹿屋農
〇13ー0 川内
〇4ー3 樟南
〇5ー4 鹿児島城西
ーー
〇3ー2 大分舞鶴
〇3ー0 興南
〇11ー7 有田工
●6ー12 九州国際大附

誰もが注目した離島の快進撃。県大会は4試合で1点差の勝利と接戦で強さをみせ、樟南/鹿児島城西戦は共に延長13回にもつれ込みました。その経験は九州大会でも生き、大分舞鶴戦は雨天再試合を制し興南戦は1イニングの3点を守り切るなど熱戦続きでしたね。有田工/九州国際大附戦では、球数制限によりエース大野の登板が無かったものの打線が奮起しました。

そのエース大野は九州大会で雨天再試合を含め、4日間で3試合28回を完投。疲れの残る興南戦もスタミナ配分を工夫して投げるなど、選抜の日程でも投げ抜けそうな投球に見えました。準決勝、決勝は前山/武田が登板したものの2試合で19失点。選抜でも球数制限があるとはいえ、九州大会同様にエース大野をギリギリまで引っ張りながらも打線がフォローするという展開になりそうです。

有田工(九州大会ベスト4)3~4枠目
〇5ー0 太良
〇7ー5 伊万里
〇5ー2 佐賀西
〇4ー3 鹿島
●3ー8 佐賀商
ーー
〇3ー0 秀岳館
〇2ー0 海星
●7ー11 大島

2桁得点の試合が無く派手さはなくとも、守り抜く野球を展開。県大会決勝の佐賀商戦で不調だったエース塚本は九州大会で圧巻の連続完封。県1位の2校に対して隙を作らせず、佐賀勢としては2007年の小城以来となる一般枠での選抜出場が濃厚となりました。また、佐賀勢の選抜勝利は2000年の佐賀商から遠ざかっており久々の勝利にも期待したいですね。

準決勝は大島のエース大野の登板回避があったものの序盤から猛攻の6得点。逆転負けとなってしまったものの、選抜で塚本をどこまで援護出来るのか。この点に関しては大島と似たようなチーム状況ですね。

最後の4枠目争い


長崎日大(九州大会ベスト4)3~4枠目
〇13ー1 上五島
〇10ー0 長崎北
〇5ー0 鎮西学院
〇9ー5 諫早農
●0ー2 海星
ーー
〇16ー6 小林秀峰
〇7ー1 佐賀商
●2ー12 九州国際大附

強打を武器に県大会4勝で計37得点。決勝で海星の4投手の継投を前に点を取れなかったものの、九州大会で復調し3試合で計25得点。初戦の小林秀峰戦では1イニング10得点の猛攻もありました。準決勝の九州国際大附戦でもエース香西の初回から2点を取る順調な滑り出しでしたが、エース種村が大乱調。流れを失い7回コールド負けにより、選抜確定ランプを灯す事は出来ませんでした。

打力は当確レベルにあるので、投手力の評価がどうなるか。比較校と比べて県順位が低いことなどの懸念もありますが、県1位の2校に圧勝している点。また、九州国際大附が神宮大会ベスト4と力量を示した点を踏まえると、そこまで大きなマイナスとならず選出される可能性が高いと思われます。

海星(九州大会ベスト8)4枠目
〇5ー1 長崎南山
〇13ー1 佐世保北
〇10ー4 大崎
〇13ー6 創成館
〇2ー0 長崎日大
ーー
〇5ー4 福岡第一
●0ー2 有田工

県大会の内容は長崎日大を上回る内容で優勝。直接対決もそうですが、甲子園常連の創成館/昨秋の九州大会王者の大崎に大勝している点は強みですね。九州大会でも、福岡第一に最終回2点ビハインドから逆転サヨナラ勝ちで福岡勢から1勝。しかし、有田工のエース塚本を前に痛い完封負け。選出される可能性は低いものの、長崎日大と比較出来る試合内容だと思います。詳しくは後ほど記載します。

興南(九州大会ベスト8)4枠目
〇7ー3 宮古
〇10ー3 八重山
〇11ー1 小禄
〇12ー1 日本ウェルネス
〇8ー7 沖縄水産
〇17ー2 前原
ーー
〇5ー0 日章学園
●0ー3 大島

意外にも春夏連覇を果たした2010年以降に選抜出場が無く、久々に可能性の残る位置まで勝ち上がってきました。県大会では全試合で7得点以上と打ちまくり、唯一の乱打戦となった沖縄水産戦は延長14回の熱戦を制しました。九州大会では日章学園に完勝スタートも、大島のエース大野に完封負け。海星との比較の際に、大島ー有田工の準決勝を大島が制した点は有利となりそうです。

以上が6校の紹介となりますが、九州国際大附/大島/有田工は選出確定。長崎日大は選出濃厚ながら、海星/興南にも可能性は僅かながら残るという状況となっています。残る九州大会ベスト8に関しては明豊がコールド負け。佐賀商が6点差の大敗+有田工がベスト4進出により地域性で不利となっている為、この2校は外して考えていきます。次に九州大会準決勝でコールド負けとなった高校の選考を振り返ってみましょう。

九州大会準決勝コールド負けの選考


2000年 (落)城北① (当)戸畑②
2001年 (当)鳥栖②
2002年 (落)長崎南山② (当)福岡工大城東①
2003年 (落)佐賀東① (当)柳川③
2005年 (当)戸畑①
2012年 (落)創成館① (当)宮崎西②
2013年 (当)創成館③
2015年 (当)九産大九州①

2000年以降では8例。近年は準決勝コールド負けが減少し、今回の例は7年振りとなります。九州大会ベスト8から逆転選出されたのは計4校。まずは、直近の宮崎西の例を紹介します。

2012年の宮崎西は前々から21世紀枠の候補に上がるほどの超進学校でした。実際、この年の宮崎西は21世紀枠の九州推薦を受けていましたが先に落選(選考は21世紀枠から行われるため)。その為、一般枠での可能性を待つという状況になりました。ただ、初戦で福岡1位の自由ヶ丘に勝利した上で準々決勝の九州学院(この年の九州王者)に善戦した一方で、創成館は九州学院にコールド負けとなった事で試合内容の比較がしやすく、なおかつ初出場のかかる高校だった点などを総合的に踏まえてのが逆転選出となりました。

宮崎西以外の3校は全て福岡勢となっており一見福岡贔屓のように見えますが、戸畑と柳川に関しては県1位からの勝利を含む九州大会2勝(当時は19校の大会で通常よりも1試合多い高校が存在していた)。一方で福岡工大城東は宮崎3位の延岡工に敗れた上に、その延岡工は準決勝で敗退。コールド負けとはいえ、優勝した九州学院が対戦相手である事が考慮されなかった長崎南山は少し気の毒ですかね。

また、県順位に目をやると分かると思いますがあまり影響していない感じがあります。あくまでも九州大会の試合内容が重んじられるといった感じでしょうか。今回のケースでは無関係ですが、地域性もそこまで関係なさそうです。

次に3校の特徴をおさらいしましょう。

・長崎日大
県1位から2勝で九州大会ベスト4
2勝の内容も大勝と優れている
2校と比較して打力は抜けている
コールドとはいえ九州国際大附は神宮大会ベスト4
県順位は2校より下(海星とは直接対決で敗戦)

・海星
大崎/創成館など県内の強豪に大勝
県大会の直接対決で長崎日大に勝利
佐賀勢との試合内容で不利
※長崎日大は佐賀1位の佐賀商に大勝
敗れた有田工は準決勝で大島に敗戦

・興南
九州大会2試合で3失点と投手陣が安定
敗れた大島は準優勝と勝ち進んだ
沖縄勢の選抜の一般枠出場は2015年が最後
長崎日大とは直接対決が無く比較が難しい
九州国際大附ー大島は大差がついた

3校の比較をする時に「優勝校との絡み」があるのは長崎日大と興南。直接対決でコールド負けした長崎日大に対して、興南は準々決勝で敗れた大島が決勝で九州国際大附と対戦。決勝はコールドが無いものの5回終了時点で11ー1。つまり通常であれば5回コールドという試合内容なので、結果的には12ー6といえ大島に善戦した興南の評価を引き上げるには至らない試合内容だったと思います。大島のエース大野の球数制限がギリギリだった事は興南からすると不運だったかもしれませんが、九州国際大附のエース香西も最後の1アウトだけの登板だった為、お互い様でしょうか。

次に「直接対決」の観点から長崎日大と海星を比較すると、当然ながら勝利して県大会を制した海星に軍配が上がります。前述の通り海星は県大会で強豪に大勝している事も含め、県大会時点では海星の試合内容が長崎日大をかなり上回っていたように思います。ただ海星の強みがその1点しかなく、直接対決のスコアも2ー0と接戦だった事から九州大会の内容を覆すには至らないのではないでょうか。

また、沖縄勢が長らく一般枠での選抜出場が無いという点に関しては昨年に具志川商が21世紀枠とはいえ選出されている為、考慮されない可能性の方が高いですかね。興南自体は人気校ですし、戦績足らずでも甲子園でそこそこやれるんじゃないかと思う審査員がいてもおかしくはないですが…いずれにしても不確定要素なので選考の軸になる要素ではないですね。

ベスト8の興南と海星の接点はいずれも敗れた高校同士で準決勝を戦ったという所ぐらいですね。大島はエース大野/有田工はエース塚本を温存し打力勝負となった結果、大島の勝利という事でこの2校の比較では興南が有利ですかね。仮に長崎日大が選出されたなら、地域性有利も手伝って興南が補欠1位となるでしょう。

以上の事から、最終枠の有利度は長崎日大>興南>海星と考えています。興南も海星も準々決勝はエースを前に打線沈黙で完封負け。有田工と大島が優勝した九州国際大附との力量差を感じさせる試合内容だった事も踏まえて、コールド負けした長崎日大の試合内容はそこまで問題になることも無く選出されるのではと予想します。

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