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その光について

アイドルマスターシンデレラガールズ。

100人をゆうに超えるアイドルたちが登場するこの作品の、その100をゆうに超えるアイドルという名前の光たちの中の、一つの光について今日は書いてみたいと思います。僕の目を奪った、その一つの強烈な光。

きらり。

その光の名前は諸星きらりと言います。
まるで最初から空に光ることを宿命づけられたかのような、その名前を持つ彼女について、僕が思うことを書いてみたいと思います。ほとんどが戯言で、もしかしたら読むに堪えない文章が生まれてしまうかもしれないという恐怖、僕なんかより彼女について知っている誰かから、あるいは石を投げられるかもしれない恐怖を感じながらも、一度まとめておきたいと筆を取りました。お付き合いして頂ける方だけ、お付き合いして頂ければと思います。

きらり


諸星きらり。
デレマスの個性溢れるアイドルたちの中でも強い個性を放つアイドル。
可愛いものとオシャレが大好きな女の子らしい一面を持ちながら、186㎝という高身長に「にょわ~」「はぴはぴ☆」「だにぃ」などといった独特の言葉遣いなど、それを軽く超える要素が作り出す圧倒的な存在感。
「色物」という言葉が自然と頭に浮かぶ、そんな彼女。

僕も例外ではなく、彼女について最初に抱いた印象は
「大きくて、変な女の子」でした。

そもそも、僕とデレマスとの関係というのが少し特殊で、ゲームから入ったわけではなく、最初はアニメから入ったんですが、そのときはそこまで深く入れ込んでいなくて、デレマス大喜利という生大喜利(実際に集まってボードなどで大喜利する会や集まり)のイベントがあって、それはデレマスを使ったお題に答えたりするもので、それに参加したのをきっかけにハマっていったという経緯がありました。なんなら、最初は大喜利をするためにデレマスの知識をつけていた部分すらありました。そんな浅い僕だったので、きらりの認識も、その表面の要素しか当時は見れておらず、あまり気にかけていませんでした(当時は蘭子が好きでした)

「大きくて、変な女の子」

きらりへの認識が変わり始めるのは、そのあとのことでした。

アニメを観終わり、関連CDを聴いていたときのことです。
収録されていたラジオドラマの中で、アイドルになった理由を聞かれたきらりは、昔はアイドルになろうとは思っていなかったと語りました。


「可愛くてキラキラしてて、アイドルは大好きだったんだけど」

「きらり、みんなより……大きい、でしょ?」

「だから、自分はそんな風にはなれないって、思ってたんだ」


突然の赤裸々な告白に、曲を聴き終わってまったりとドラマを聴いていた僕は驚きました。他ごとをやめ、その声に耳を澄ませます。
その「大きくて、変な女の子」は、さらにこう語りました。


「でもね、やっぱり諦められなかったの…」

「一度だけ、一度だけ、勇気を出してみようと、思ったんだ」

「それがシンデレラプロジェクトなの。オーディションに合格したときは、本当に、本っ当~に、嬉しかったにぃ。それからは毎日が夢みたいで―」


初めて知ったきらりという人間の強さに、僕は本当に泣いてしまいました。
きらりの「変」の裏側に隠された真実に、強く心を打たれたからです。

自分で自分を諦めた女の子が、もう一度自分を頑張ってみようとした物語。

そこにあったのは、そんな光り輝く「シンデレラ」の物語でした。
ドラマを聞き終えてしばらく、僕はその映像を浮かべていました。
そして、僕のきらりの認識はこう変わりました。「強い女の子」に。


デレステのきらりのコミュではこんな風にも触れられています。

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同い年で誕生日も1日違いの杏とは「あんきら」としてよく絡むんですが、このコミュは、オーディションで出逢って交流を深めるという、そのユニットの始まりみたいなエピソードでもあり、また、きらりが「変であること」を自ら選んだことについて触れられている大事な話でもあります。

「可愛くて、キラキラした存在」になりたかったきらりが、それを諦めて「変な女の子」として生きていくことを選んだ瞬間。

それが一体いつだったのか具体的には分かりません。
自分から気づいたのか、あるいは周りから投げかけられる形で気づいたのか。どちらだったのかも分かりませんが、ある日、きらりは自分が周りとは大きく違うことに気づいてしまった。そして、自分が「キラキラな存在」にはなれないんじゃないかと思ってしまった。

可愛いもの、可愛いこと、オシャレ、そういう女の子として「普通で」「真っ当な」ものが大好きなきらりが、その「普通」と自分とに差があると思ったそのときの気持ちは計り知れないものがあります。「自分がなりたいもの」に「自分がなれない」ということは、本当に辛い。その残酷な事実を受け入れるのにかかった時間も、また計り知れません。

きらりが、諸星きらりを捨てて「きらりん」として生きることを決めた夜のこと、外の世界に出て行った朝のことを思うと、勝手ながら切ない気持ちになります。きっと、それは一生モノの決意で、二度と自分が、自分の想う「キラキラな存在」にはなれないと覚悟して選んだのではないか。

自分から変になることで、そこから遠ざかることで、自分を保とうとした。
過剰に自分を彩ることで、本来の変を隠すことで、自分を守ろうとした。

本当は諦めたくない。
絶対に諦めたくない。
でも、自分は大きいから。
他とは違うから。変だから。

はち切れそうなギリギリの想いの末、きらりは「きらりん」になった。
「はぴはぴ」という言葉に全てを込めた。そうやって生きていくと決めた。
自分の新しい未来を、そこに決めた。

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アイドルにスカウトされたとき、きらりは最初は戸惑いを見せます。
1回は諦めた「キラキラな存在」への道。
自分がそこに入っていけるのか、入っていっても許されるのか。
「本気なのか?」思わず疑いの姿勢すら見せます。

それでも、諦められないものがあった。
蓋をしていたつもりで溢れているものがあった。

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プロデューサーの熱心な誘いもあって、スカウトをきらりは受け入れます。
一度は諦めた光の先に、手を伸ばしてみることを決意します。

これは想像でしかありませんが、その文句の中に「シンデレラ」という言葉があったのではないかと思います。灰かぶりの女の子が12時の魔法で輝くその物語が、きらりの葛藤に光を差した。自分でも、もしかしたらキラキラできるかもしれないと、その言葉の先に希望を見た。

「一度だけ」なら、挑戦してみてもいいのかもしれない。
「一度だけ」なら、挑戦してみても罰は当たらないのかもしれない。

1回は諦めた「可愛くて、キラキラな存在」になるという夢。
自分に嘘をついて「きらりん」になっても、それでも、その夢自体には嘘をつけなかった。「諸星きらり」の夢には、嘘をつけなかった。

そして、きらりはアイドルへと、光へと手を伸ばします。

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アイドルになって、きらりはたくさんの出会いに恵まれながら成長していきます。杏をはじめ、個性豊かな事務所のアイドルたちとの交流は、きらりにとってかけがえのないものになったのではないでしょうか。

乙女で純情な心を難しい言葉で必死に隠し通す女の子。
極度に自分に自信がなくて、外に出ていくのすら怯えている女の子。
自分がアイドルになれた理由が分からず、それをずっと探している女の子。
崖っぷちでも、それでも自分のアイドルとしての姿を貫き通す女の子。
諦めた夢の先で、新しくアイドルとして進んでいる女の子。

光だけじゃない、みんな影を抱えてアイドルを生きている。
みんなそれぞれに「変」で、でもそれは誰かに笑われるものじゃない。
未完成で、脆い部分もあるけれど、それゆえの輝きがそこにはあった。
「キラキラ」の裏には、見せたくないもの、失ったものがあった。

スカウトしてくれたプロデューサーの存在も大きかった。
一度は諦めた「キラキラな存在」に選んでくれたこと、自分でもなれると、そこまで手を引いて連れてきてくれたこと。
きっと、その差し伸ばした手がなければ、ずっと憧れを心の奥底に潜ませたまま、自分に嘘をついたまま、生きていたかもしれなかったから。
その存在が横にいることは、それだけで彼女の支えになった。

きらりは「きらりん」としてアイドルの道を進みます。
素の自分ではなく「はぴはぴなアイドル」として生きていきます。
そこには、自分を出すことへの不安があり、スポットライトを浴びながらも「もしかして、また変に思われるのではないか」という気持ちがあるのだと思います。また、灰を被ってしまうのではないかと。

「アイドル きらりん」はその中で、いつしか強さを持っていきます。
ファンに愛され、受け入れられることで「諸星きらり」とは離れる形でありながらも、アイドルとして成長を遂げていきます。
自分でも、誰かに幸せを与えられる。人をはぴはぴな気持ちにできる。
自分を諦めた先で選んだ未来は、光に満ち溢れていました。

「何かを諦めた強さ」は「何かを諦めてしまった弱さ」と言い換えることもできます。けれど、ギリギリまで悩んで決断したその想いは価値があるし、その先に踏み出した一歩は、どちらに向かおうと強い。

アニメのデレマスでのきらりは、保護者的な立場から周りのアイドルを見守るようなシーンが強く目立っていました。「きらりん」を通して「諸星きらり」を乗り越えられたきらりは、強く、ゆえに優しい。例えば同じように自分に自信がない子がいたら、どうしたって声をかけたくなる。
「自分を諦める」決してそれをして欲しくないから。

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他よりも大きい女の子は、他よりも周りから見られる女の子へ。
他よりも、周りが見える女の子へ。

他よりも、遠くへと手を伸ばせる女の子へ。

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あの日諦めた「可愛くて、キラキラした存在」になったきらり。
普通の女の子の、普通の女の子の幸せに近づくことが出来たきらり。

まだ本当の「諸星きらり」は内に秘めたままかもしれないけれど、アイドルとしては、おそらくそれを外に出すことはないのだろうと思います。
前のように怖さは無くても、もう自分を「変」とは思わなくても、今の自分は「アイドル きらりん」だから。その自分も、間違いなく自分だから。

それを覗きたくない、といったら嘘になります。
自分がもし見ることが出来たら、と願っていないと言ったら大嘘です。
でも、それ以上は勝手であり、贅沢だなと僕は思ってます。

あの夜に自分を諦めた「諸星きらり」も
あの朝に一歩を踏み出した「きらりん」も

全てがきらりという人間であり、全てが愛おしいと思うからです。
僕は、そんな彼女にさらなる輝きを見せたいと思い、担当になりました。もう彼女が自分を諦めることが無いように、彼女が自分の夢をその手で叶えられるように。担当として、出来ることをしたい。

僕がきらりについて想っている、これが全てです。

この記事をここまで読んでくれた方へ、最後に、一つだけ。

諸星きらりを、この強く優しい女の子を、どうかよろしくお願い致します。

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