茶室の裏側
先日6月10日に「華やかなるお嬢様大喜利会」という大喜利会を主催しました。「お嬢様」をコンセプトにした企画大喜利会で、通常の大喜利会で出題されるようなお嬢様が登場するお題をやったり、お嬢様をモチーフにした企画大喜利をひたすらやるという、かなり特殊な会です。自分の中でも、あんまりここまでやったことないってくらい色々やった会であり、どうなるか分からない部分がほとんどという感じだったのですが、これが本当にかなり理想的な盛り上がりを見せて終わり、主催として1個強い経験を得た思いがあったので、ちょっと振り返りを書いてみようと思います。
そもそも、どうしてやることになったかというと、関西で行われた「えげつない下ネタ大喜利会」という下ネタお題だけをやる会を、関東で三ル貝さんが開催するという話が発端でした。
これを見て、本当に何とはなしに冗談で
と呟いたところ、結構な反応があり、それを受けて「やるとしたらこういう企画を…」と、本当に自分がやるつもりじゃない気持ちで投げたところ「行けるのでは」という後押しをされ、ここまで言ってあとには引けん!!!やってやりますわ!!!と主催に踏み切ることになったのでした。今思うと、なかなかに見切り発車だったなと思います。
こういう会の主催は完全に初めて、というとそうではなくて、自分の主催の歴史を遡ると、何年も前の話になりますが、アイドルマスターの題材にした「アイマス大喜利」魔法少女まどか☆マギカを題材にした「まどマ喜利」ラブライブ!を題材にした「喜利ライブ」あと、文学全体を対象にした「文学大喜利」など、一つのコンセプトで走り切る会は幾つかやっていて、ノウハウが無いではなかったですし、事実、そのときにやった企画をスライドさせた企画(今回で言うと「お嬢様作成大喜利」という、架空のお嬢様の設定を考えるもの)もあって、完全にゼロからのスタートというわけではなかったのですが、ブランクもあったのと、アイマスなりまどマギなり、コンテンツとして題材が強い作品であったり、文学という広い題材であったりであるのと比べると「お嬢様」は漠然としていて、シンプルに「会として、もつのか」というのは最初に抱いた大きい不安でした。大喜利的に言うと、要素が枯渇して、最後まで盛り上がりを保てるのか、という話です。自分が言っても、そこまでお嬢様に詳しくないというか、得意分野というほどフィールドでもないという不安もありました。
しかし、反応をくれた方の熱量を見たときに「半端な会を作るわけにはいかない」と同時に奮起させられたのもあって「やるからには、めちゃくちゃ凄いものを作りたい」と、そこが実際のスタート地点となりました。そもそも、そういうコンセプトを持つ会の特性として、参加者の熱量が強ければ強いほど会は盛り上がる傾向にあり、それに火を付けるのが主催の仕事というのは過去の経験から学んではいたので「いかに本気であることを提示するか」というのは当日までの大きいテーマとしてありました。会場の確保などもあり、募集までそこから間が空くので、それまでに「華やかなるお嬢様大喜利会」が「こういう会で、こういう雰囲気のものにしたい」という主催のスタンスを、できるだけ提示するのも重要だと思いました。
会のロゴ、フライヤーはエーゴさんに依頼して作って頂きました。兼ねてより自分主催の会(初心者向け大喜利会「始めの一歩」「きっかけの一歩」など)でロゴを作って頂いていたのと、会への強い興味を持っていてくれていたのもあり、かなり今回頼るというか甘える形になってはしまったのですが…色々やって頂きました。本当に本当に助かりました。ロゴは割と早い段階で貰うことができたので、募集前に「引き」として、そして先ほど言ったような「本気感」を出すものとして、早めに公開をしました。実際、このロゴへの反応は著しいものがあって、これをカードとして持つことで、かなり自分の中で当日までの導線が見えた気がしました。このロゴと、当日のプログラムを入れたフライヤーも「可能なら…」と心の中で深く深く頭を下げてお頼みしたところ「なんなら作りかけていた」と返ってきたとき、泣いてしまうかと思いました。やはりビジュアル面で見せることはできるのは大きいし、やる側のモチベーションに確実に繋がったはずなので、僕が全くこういうことができないのも踏まえた上で、今回の会におけるエーゴさんの功績は、計り知れないものがあると思っています。本当にありがとうございました!
お嬢様作成大喜利のイラスト依頼に関しては、こちらの呟きに反応あった方に声をかけようという感じだったのですが、思っていた何倍もの反応(直接書きたいと言って下さる方もいました)もあって嬉しい悲鳴を上げつつ悩んだのですが、僕の感覚で、出来るだけイラストの幅が分かれるよう、お題として別のものが作れるよう、4名の方にオファーをかけました。
ささくれメーカーさんは、絵柄が可愛くポップな印象があって、お嬢様が映えそう、且つ細かい部分ですが、自分の中で、最近知り合った人の中から誰か声をかけてみようという気持ちもあり、依頼をさせて頂いたんですけど、結果、ど真ん中のお嬢様が届いたので、めちゃくちゃ感動してしまいました。まさに元気系というかお転婆系というか、正当派の背景が浮かんだので、これは最初の一人目にしようとすぐに決まりました。
結果は名前が「豊田くるま」に決まった段階で車大喜利がスタートしてしまい、それは速度を緩めることなく進み続け、最後は月極駐車場に感動して漢字博士を目指すまさかの結末。形式的に、上から順に設定を埋めて行くので、方向性が一つ決まると、その「縛り」が次の大喜利に乗っかって行く感じになりがちなので、回答者の中でのライブ感が出るというか、後半に向けて加速的に盛り上がって行くのが1個企画の理想としてあるんですけど、まさにそれが見れて、企画としての最高のスタートを切れたと思います。
北戸田スイッチさんは写実的なイラストが特徴としてあるなと思ったので、そこで他と差別化が図れそうなので声をかけました。特に細かい指定はしなかったので、ささくれさんと元気系で被る可能性も若干あったんですが、ささくれさんのお嬢様を「動」としたとき、見事に「静」のお嬢様が来て、またもめちゃくちゃ感動をしました…。一瞬でミステリアスな雰囲気を感じ取れたので、設定もその方向性で考えました。
結果は、名前こそ美しいものの、徐々に雲行きが怪しくなっていき、どうしてか天ぷらを恨んだ上に無法者になってしまいました。採用はしていませんが「春巻 きのこ」という、先ほどの豊田くるまの流れみたいな案が出てウケはしたんですが「これは同じことになる…」という気持ちから却下して「水上颯」としたの、かなり正解の判断だったと思います(「しめじ」はその流れの名残です)この企画、かなりこちら側のバランス感覚も問われるので、そこはずっと難しかったですね。
あくまでクマさんは、デフォルメ系のイラストを主としているので、確実に一つ違うお嬢様が来るはずと睨んで声をかけました(過去に、他の大喜利会にイラストを提供している実績があるのもありました)そしたら「理系」という要素を乗っけて描いて頂いて、個人的にこれは相当お題を作成しやすくて助かりましたし、明確に色が違うお嬢様として独立していて凄かったですね。「天才」「孤高」というイメージが浮かんだので、その方向性で設定を考えたのですが、後にあくまでクマさんと話をする機会があって、そしたらかなりイメージに近かったそうで、その作者との解釈一致が個人的にめちゃくちゃ嬉しかったですね…。参加者の一部に“深く”刺さったみたいで「この子、好きだ…」という声が漏れたのも特徴的でした。
結果は、かなりあっちこっちに方向性が左右した先で、何故か変な研究を継いでショーンKを疑うお嬢様になってしまいました。昴アリシア、変だけど妙にしっくり来る名前なのが凄い。これが出なければ「発明大王」になっていたところなので、そこは危なかったですね。お嬢様作成大喜利のお題の設定分は、自分の中のオタクの脳をフル回転させて作ったんですが、全体的に好評だったみたいで、そこも嬉しかったですね。短いSSでも書いてるような気持ちで、結構考えるのは楽しかったです。
三ル貝さんは、この会をやるきっかけとなった下ネタ大喜利会の主催だったので、その流れで声をかけることは最初から考えていたのと、絵柄もギャグテイストに持って行きやすい印象があったので、声をかけました。一人極端なお嬢様がいれば面白いと思ったので、三ル貝さんにだけは「外国人」という指示で依頼をしました。そこは指定してなかったんですが、持ってこられたのが巨乳のお嬢様で、あまりに求めていたもの過ぎて笑いました。これは最後にぶち込むことは、イラストを見て一瞬で決まりました。
お題の段階で「好きにして下さい」といった設定にして、回答者のメンバーに、俺のランボルギーニさんKouさんという「好きにしてくれる」人を、ここのパートだけは考えて敢えて投入したら、理想通りにめちゃくちゃになって最高でした。「告白してきた相手をコウカン」って部分は俺のランボルギーニさんの答えですが、マジで意味が分からな過ぎて、これまだずっと面白いです。ここだけじゃなく、採用されていない答えでログに残っていないけど面白い回答はたくさんあるのですが、ライブ感強くて流れていってしまったのは残念ですね。でも、どのお嬢様の、イラストのポテンシャルを皆さんが生かしてくれて、本当にここはずっと盛り上がって最高の時間でした。イラストを描いて下さった皆さん、改めましてありがとうございました!
名詞に関しては東堂さんに作成して頂きました。経緯としては、先日行った生大喜利の初心者会「始めの一歩」の際にも東堂さんには名刺を描いて貰ったんですが、その際に何パターンかフォントを見せて貰って、そのときは初心者会なので、はっきり名前が分かるデザインを指定したのですが、そのパターンの中にもっとポップで遊び心のあるものがあったのを覚えていて「これ今回使えるかもしれない」と思い立ち、会に東堂さんが参加するのもあって、依頼することとなりました。画像を見て貰えば分かると思うのですが、本当に一人一人の「名前の文字」を取っ掛かりにして、引き伸ばしたり加工したり、物凄く手の込んだものが完成してきて、当日会場で歓喜してしまいました。実際、受け取った人の評判も良く、会の雰囲気を作る一つの重要なアイテムになったのかなと思います。東堂さんには当日の受付、賞品選びにも付き合って頂いて、感謝しか無いです。本当にありがとうございました!
西のご令嬢、おかきさんのメッセージを頂くことになったのは、本当にふとした思い付きで、おかきさんがTwitterでお嬢様大喜利に行きたかったという旨の呟きをされていたのを見て「何か会の最初にドカンと来るものが欲しい」「おかきさんなら、そういうノリに乗ってくれるかも」という想いから、ダメ元で「開幕の挨拶みたいなものを撮って貰っていいですか…?」と聞いてみたところ、これが快諾。結果、めちゃくちゃ仕上がった映像が送られてきて(スタジオで撮ったらしい)それが平日の朝だったんですけど、家で一人で爆笑してしまいました。歴的に、おかきさんを知らない人もいるから、そこはちょっとだけ不安だったんですが、このクオリティなら行けるはずと思って流してみたら、まあ最高の反応でした。やっぱり何度も言うように「こちらの本気度」を提示できればできるほど、参加者も付いて来てくれるはずという気持ちがあったので、この映像が跳ねた瞬間は内心でガッツポーツしました。会に参加した人もしてない人も、これ本当に凄い映像なのでめちゃくちゃ観て欲しいですね…。おかきさんには、本当に変な頼み事をしてしまって、改めて申し訳無いのと、改めてありがとうございました!いつかお嬢様大喜利会でご一緒できるのを、主催として心待ちにしております。
あと、細かくこだわった部分としては、お嬢様大喜利ということで、会場ではクラシック音楽を流したり(通って来なさ過ぎたせいで、ベタベタな選曲でしたが…)お茶菓子を買ったり(初めて午後の紅茶を3種類同時に買った)あと、回答席には100均で買ったテーブルクロスを敷きました。テーブルクロスは結構直前に思いついたんですが、やってみたら全然雰囲気変わって良かったし、終わったあと机を拭く時間が無くなったのも地味に良かった。受付で、参加者にフライヤーと名刺渡して、会の開始を待つ時間、客観的に会場を見回したとき「すごい、見たこと無い空間だ」と自分で思ったの強く覚えてます。通常大喜利の最初の周を、できるだけ歴があったり、この企画を理解して乗りこなせそうな人を置いたのも、意識しました。例えば自己紹介で参加者がどれくらいお嬢様を「やってくるか」ってのも1個気になるポイントではあったし、ここで盛り上がれば成功に確実に近づけると思ったので「やってくれて」非常に助かりました(逆に、Kouさんが最初会場に麦わら帽とサングラスで入って来て「お嬢様じゃ無さ過ぎた」のも面白かったし、笑いになってて良かった)あとは、お題のお題をお嬢様に寄せたり、基本の進行の際はお嬢様言葉をできるだけ保ったり(何度か素に戻りかけては修正を繰り返しましたが)とにかく、空気感の維持には努めましたね。
その流れで言うと、最後の「最強お嬢様トーナメント」はデレマス大喜利でいつもやっている「憑依大喜利」っていう実際のアイドルになりきって大喜利する企画を参考にして、広いお題にそれぞれのお嬢様で答えるみたいな感じにしたのですが、デレマスほど元が強く存在しているわけでもないので、シンプルに大喜利してもウケる感じになったのは、慣れていない人にも良かったのかなと思います。敗者復活の1問1答形式は、かなり直前まで敗者復活の決勝も1答だったんですが、それはさすがにきつすぎる、と多答に変えたんですが、結果「お嬢様ギャグお題」も「指名なしお題」も、両方とも凄まじく盛り上がって、マジでここは変更して良かったとホッとしました…。決勝はあえて物語を入れ込んだお題にしましたけど、ここは勝ち上がってきたからってのもあるのか「お嬢様」を入れ込んだやり方の大喜利が見れて、これはこれで見たいものが見れた感じでしたね。優勝したたけのくちさんが、お嬢様の前振りを丁寧にしたあと、お題に真っすぐ答えるという「お嬢様への理解」と「大喜利の強さ」が両立できてないと出来ないスタイルで圧勝してたの、ちょっとカッコ良過ぎました。ストーリーに真っすぐ乗っかった電子レンジさんの流れも良かったし、終始自分のスタイルをブレずに好き勝手やっていた手汗さんもずっと面白かった。
反省点としては「お嬢様爺やタッグ大喜利」という「お嬢様役」と「爺や役」で分けて、爺や役が考えた回答をお嬢様役の人が発表するって企画をやったのですが、回答を渡すまでの時間が思ったよりかかってしまって「お嬢様を待たせる」という事態が発生してしまったことですかね。回答の手数もそうだし「ウケるものを渡す」というハードルもあったみたいで、あそこは申し訳無かったです…。しゅごしゅぎさんの提案で2週目は「お嬢様1:爺や2」と爺やを追加投入することでテンポ感も上がり、1人の責任も薄れることで、よりどんどん回答がお嬢様に渡っていくようになって良かったし、爺や側2人の団体芸みたいなものも生まれて、あれもライブ感強くてかなり面白かった。南部屋敷さんに、わんだーさん手汗さんが隙間なく高低差の激しい答えを渡して、南部さんが壊れるんじゃないか?ってくらい酷使してた時間、凄かった。南部さんで言うと、最初の周は僕が意識的に歴やタイプを意識してタッグを振り分けたのですが、南部さんをお嬢様として東堂さんを爺やにしたの、個人的に手応えがあったところで、東堂さんが南部さんを、自分の回答を拡張する装置としてうまいこと使ってたの、見たいものが見れて良かったです。千代園さんに、Kouさんのアホ回答を発表して貰ったり、俺のランボルギーニさんとわんだーさんをぶつけて好きにやって貰ったのも、良かったかなと思います。次やるときは、でもタッグじゃなくトリオの形式を取るかもって感じですかね。
というわけで、会に向けて考えたことや、当日の簡単な感想などまとめてきましたが、詳しい回答やログなどはハッシュタグ「 #華やかなるお嬢様大喜利会 」で辿って貰うとして、いや、本当にまずは無事にやり遂げられて良かったのと、自分で思っていた以上に、自分が意識したところ、こだわったところが良い方向に働いたことが、最初に書いた通り主催として強い経験になったのが印象深い会だったなと思います。スタートのマインドが低かった(悪い意味じゃなく、会が完全に自分発信では無かったこと)ところから始まったってのもありますが、よくここまで仕上げたな……と疲労感と達成感が会が終わったあと強くありました。「いかに本気であることを提示するか」「参加者のモチベーションを上げるか」という当初の目標が、色んな人の手の助けによって達せられ、それが会の盛り上がりに直結できた感じが凄くあって、自分の中でやった会の中でも手応えを感じられたというか、最初に書いた通り1個糧になったなという気持ちがありますね。こういうある種変な会だからこそ、変のままで終わらせない、受け手が想像する以上のものを作りたいって気持ちが生まれたというか、最後のギリギリまで会について考えることになって「ここを変えよう」「これを足してみよう」「あるいは引いてみよう」ってのが生まれて、全部が全部成功したって言われたら自信無いかもですけど、実ったところは実ったと思いますし、何より参加者から良い感想を頂けたのは、感極まるものがありました。良い意味で、会として「これだけふざけてもいい」って思って貰えたら幸いというか、参加者側もそうだし、主催する側にしても「自分の好きなものを、会に詰め込んでも大丈夫」ってなったら楽しいくなるのかなと思います。
そもそも、下ネタ大喜利に対するカウンターとして打ち出したものだったから、次のことなんかは全く想定してなかったですけど、やってて自分でも楽しかったですし、次あればって声も聞いたので、やるかも、くらいのことだけはとりあえず言っておきます。両方に参加したい人もいるでしょうから、次は下ネタ大喜利、お嬢様大喜利の連日ってのもありですね。両方通して参加した人の理性がどうなるのか分かりませんが…。
重ね重ね、今回ご協力して頂いた皆さん、本当にありがとうございました!僕一人の力では、とてもとてもここまで来れなかったと思うので、周りに助けられているなと、恵まれているなと思いながら、その感謝の気持ちも込めて今回この記事を書いているのもあります。今回参加して頂いた「お嬢様」の方々につきましても、本当にありがとうございました。会へのスタンスや温度感はそれぞれあったかと思いますが、楽しんで頂けたのなら幸いです。今回の会が盛り上がって終わったのは、あなた方のおかげに他ならないです。拙い主催ではありましたが、付き合って頂いてありがとうございました。では、このあたりで締めたいと思います。
お疲れ様でしたわ~~~~~~~~~~!!!!