彼女の夢と、僕の話(第14回俺達の少女Aに寄せて)

デレマスのアイドルについて本気でプレゼンする企画、俺達の少女Aに今回音源を送りました。その経緯や結果、余談の話です。

初めて少女Aに投稿したのは第11回でした。

結果は不採用。まだ勝手が分からないまま、がむしゃらにやったとはいえ、単純に落ちたことは辛かったし、何よりきらりの為に何もできなかったという事実がしばらく胸を痛めることになりました。
他の投稿を見ても、熱意はもちろんのこと、技術や演出面のレベルが高く、自分の場違い感というか、何で1ミリでも採用されると思ったんだろう、と精神的に病む始末で、しらばく僕は打ちひしがれていました。

きらりへの想いはあっても、力が無い。
曲も作れない動画も作れない、演技力もない。
自分にはプレゼンに必要なものが何も無い。

少女Aのことを考えると、そんな気持ちが頭の中をぐるぐると回りました。
人から少女Aの話題が聞こえてくるたびに、暗い気持ちになりました。
「うじうじしている」としまいには人から言われるくらい、僕は苦手意識のようなものをいつの間にか少女Aに抱いていました。

そんなとき、第13回俺達の少女A、未採用アイドルSPが開催されました。
仮に投稿するとしても、きらりの音源と決めていた僕は、投稿対象にきらりがいないのを見て、投稿はしていませんでした。
採用されるされないの緊張感が無い分、僕は楽な気持ちでプレゼンの数々を見ていました。それらは、相変わらず高い熱量と、高い技術によって成り立っていて、やっぱり僕のいる世界ではないのだと、また暗くもなりました。
そのとき一つの投稿が目に止まりました。

AstonGTさんによる木場真奈美のプレゼンでした。
その、最初から最後まで真っ直ぐで、強く飾らない、けれど言葉が胸に響くプレゼンが、僕の心に強く残りました。

僕は少女Aといえば、素人とは思えない、何かクリエイティブな動画を投稿しなければ生き残れないのではないかと勝手に思っていました。何か他よりも目立つ強いものが必要で、それは自分には出来ないと思っていました。
けれど、真っ直ぐでもいいんだ、とその音源を聞いて僕はハッとしました。
ただ真っ直ぐに、きらりのことを伝えればいいんだ、と僕は気づき、少しだけだけれど、勇気が湧いてくるのを感じました。
真っ直ぐ伝えることだったら、もしかしたらできるかもしれない。
来たる次の少女Aに向けて、僕はようやく前を向くことができました。

そして第14回俺達の少女Aが、総選挙のタイミングで開催されました。
投稿することだけは絶対に決めていたので、次は内容でした。
きらりについて、実際、今何を伝えればいいのか。
noteの記事やダイマのツイートなどできらりについて色々と書いてきた僕は悩みました。これ以上、僕がきらりについて何を言えばいいのか。
色々考えて、はたと思ったのは、これはプレゼンだということでした。
プレゼンとは、対象の良さを、対象を“知らない”人に伝えるということ。
諸星きらりについて、僕は数年間、考え続けてきました。見つけ続けてきました。だから、僕は諸星きらりについて知っている。
でも、他の担当の人は、諸星きらりについて、知らない。
ものすごく当たり前のことかもしれないけれど、ことデレマスという世界については特に重要で、デレマスには190人のアイドルがいて、それぞれにドラマやエピソードがあります、でもさすがに自分の好きなアイドル、気になるアイドル以外について全て深く知ることはとても難しい。
ユッコだったらエスパー、沙理奈だったらセクシー、春菜だったらメガネ。
のように、一番大きい要素は分かっていても、それ以上の要素、深いところまでは担当以外は把握していない。当たり前だけど、そのすごく大きい壁のようなものを改めて思い出し、僕はプレゼンに向き合いました。
そういえば落選した音源は、ただ僕が一方的にきらりへの想いを語るばかりで、きらりとは何か、ついては話せていなかったような気もしました。
きらりを、きらりを知らない人に、丁寧に、真っ直ぐに、伝える。
そして、きらりのことを好きなってもらう。

では、きらりの何を伝えれば、きらりを好きになってもらえるのか。次に考えたのはそこでした。
僕が思うきらりの良さとは「強さ」であり、大きい自分に悩みつつも自分という人間を諦めず、自分の好きなものを諦めず、アイドルとして笑顔を絶やさず走り続けているという部分でした。でも、それをそのまま言っても何か足りない、何かこう、きらりを一瞬で浮かび上がらせる言葉が無いものか。考えて考えて、その先で浮かんだのが

「夢はありますか?」

というフレーズでした。本当に、それはフレーズとして降ってきました。
夢。きらりが抱いていた、キラキラなアイドルになるという夢。
きらりが一度は手放した、可愛いアイドルになりたいという夢。

アイドルとして笑顔を振りまき、他のアイドルの子にも気を遣う、そんな優しくて明るいイメージは、きらりをよく知らない人にもあると思います。でも、そのきらりが、身長を理由に夢を一度諦めかけたこと、身長を理由に可愛いものすら諦めかけたことは、あまり知られていない。
きらりの「強さ」を伝える部分として、そこは担当として語るには少しシリアスな場所ではあったけれど、一番知ってもらいたい場所でもありました。ここを知って貰えれば、もしかしたらきらりに興味を持って貰えるかもしれない。好きになってもらえるかもしれない。
そして、きらりを好きになってもらう、それは僕の「夢」でもあるとも思いました。何故、今こんなに少女Aに熱心になっているのか。いや、それ以前に何故担当として一生懸命になれるのか。それは、他でもなく、きらりが好きで、そのきらりを一番輝かせたいと思うからでした。

そう思った僕は「夢」についてのプレゼンを書き上げました。

以下に、音源の原稿と、動画として投稿したものを載せます


夢はありますか?
何かを失ってでも叶えたい、そんな夢はありますか?
僕に夢はありません。
あるいは、小さい頃だったら、なりたいもの、目指したいもの、
そんなものがあったのかもしれませんが、
大人になる過程で、それらは指の間をすり抜けていきました。

夢はありますか?
僕の担当の諸星きらりには夢があります。
キラキラで、可愛い、アイドルになるという夢があります。
どうしても叶えたいその夢を、彼女はずっと願い続けてきました。

いや、ずっと、というのは正確でありません。
彼女は一度、夢を手放しています。
186.2。それは彼女の身長です。
女の子としては少しばかり大きいその数字こそが、彼女が大切な夢を手放した理由でした。
“自分みたいに大きい女の子がアイドルになんてなれない”
“もっと小さくて可愛い女の子がアイドルになるべきだ”
そして、彼女はアイドルを諦めます。

また、彼女はこうも思うのです。
“自分みたいに大きい女の子が、可愛いものを好きでいていいんだろうか?
 可愛く着飾ってもいいんだろうか?”
彼女は悩みます。可愛いものは好き、でも変に思われたくない。
考え続けて彼女が出した結論は、もっと変になるということでした。
彼女は彼女に魔法をかけました。大きくても、変でも、自分の好きなものを好きでいられる「はぴはぴ」の魔法を。

そうして「諸星きらり」から「きらりん」になった彼女でしたが、
ある日、スカウトを受け、アイドルへの道を示されます。
彼女は悩みます。なりたかったアイドル。諦めたアイドル。
“自分みたいに大きい女の子が…”
そう思いかけて、でも、きらりは首を振ります。
キラキラで、可愛い、アイドル。それは彼女にとって、どうしても叶えたい夢だったからでした。
まるでシンデレラの一夜の奇跡のように、自分の目の前で現れた光に、きらりは手を伸ばします。
一人の大きい女の子の中の、大きな夢が、そして始まったのです。

夢はありますか?
何かを失ってでも叶えたい、そんな夢はありますか?
ここで一つ訂正があります。僕にも、今、一つ夢があります。
それは、諸星きらりを、シンデレラガールにするという夢です。
ご清聴ありがとうございました。

使った画像に関して説明すると、最初はきらりの画像を使おうと思ったんですが、いまいち合うものが見つからなかったのと、内容的に、きらりの可愛い画像を使うのは少し違う気がして、簡単にですが画像を加工しました。
夢という言葉には、キラキラ輝く前向きな響きがあると同時に「夢みたい」と使われるような、現実的じゃない、馬鹿げてるみたいな響きもあって、自分と、自分の夢との狭間で悩むきらりを表せればという意味があります。少し固すぎるのでは?という不安もありましたが…。


さて、少女A放送当日に話は進みます。
前日のボイスなし部門を観ていた僕は、今回も変わらずクオリティの高い音源を見てまたぞろバキバキに心が折れていました。当日はあまり寝れませんでした。心が折れ過ぎて「まあ、読まれないよな」と少し潔い気持ちにすらなっていました。
それでも、1人1人名前が読み上げられるたびに、心臓がキリキリするのを抑えながら「読まれてくれ…」と祈る気持ちはもちろんありました。
当日は、知り合いが集うDiscordで通話しながらLVよろしく放送を見ていました。通話でもチャットでも、誰かその場にいる人の名前が紹介されると、一斉に祝福の輪が広がり、僕も祝いつつ、その度緊張が強まっていきました。

前半が終わり、読まれるにしても前半だろうと思っていた僕は脱力していました。半ば諦めかけ、読まれないよなと思いつつも終わったらめっちゃ落ち込むんだろうな…と暗い未来を憂いていました。

そのときでした。

「プロデューサー名、虎猫。担当アイドル、諸星きらり」


17番目に呼ばれたのは、間違いなく自分の名前でした。
一瞬頭が真っ白になって、理解が追いつくのに少し時間がかかりました。
採用された?僕の、音源?きらり?が?
頭は混乱を極めていましたが、その後聞こえてきたのは、確かに、間違いなく、僕が、きらりを伝えるべく、録った音でした。

ちょっとしたあと、嬉しさが込み上げてきました。
がむしゃらにやって、何も分からないまま落ちて、ただ落ち込んだだけだった前回、きらりに何もできなくて泣いたそのときから1年ほど。
やっと、やっとようやく、僕の語るきらりが、電波に乗った。
きらりというアイドルの凄さが、これで誰かに届くかもしれない。まるで戦争の勝利がもたらされたラジオの前でするように、僕はパソコンの前で強くガッツポーズをしました。
込み上げてくる想いが、僕に最初の涙を流させました。
頑張りが報われたこと。自分の声が誰かに届いたこと。
何よりも、担当として、初めてきらりに何かをすることができたのが嬉しかった。一人でうじうじて、ろくに何かできることもなく、ただ想い続けることしかできなかった、そんな僕だったけれど、初めて、きらりの為になれた。それが、嬉しかった。とにかく、嬉しかった。

自分の音源を聴き終えた僕は、涙を拭きながらDiscordに戻り、放送を聞くたびにかけていたミュートを外しました。瞬間、聞こえてきたのは盛大な祝福の声でした。
「おめでとう!!!」「やったじゃん!!!」「虎猫ーーー!!!」
祝いの声を聴いていたら、二度目の涙が流れてきました。
すいません、ここからは自分の話になります。

僕が担当を名乗れるまでには結構な時間がかかりました。もともとデレマスの大喜利を通じてデレマスと出会って、きらりと出会って、きらりを好きになって、でも担当を背負うことが怖くて、それこそうじうじしていました。
それでも、周りは僕に言ってくれました。
「虎猫さんがきらりを好きでいてくれて良かったと思う」
「そんなに好きなんだから、担当以外の何なんですか」
それでも僕は首を縦に振れませんでした。
「何もしていないから」「何もできないから」
ただただ怖くて、担当から逃げていました。
「ただの大喜利の人なので」「デレマスの人じゃないので」
大喜利を逃げ道にしたことも、あったと思います。
僕は自分のこのアイドルの感情に肯定的になれなかったし、キモいと責めたこともあった。キモいと誰かに責められることも怖かった。
それでも、それでも周りは僕に付き合ってくれて、一緒にライブに行ったり、そんなうじうじしてる僕を見捨てないでいてくれました。

デレマスのTwitterアカウントを作りました。
少しずつですが、デレマスとちゃんと向き合うことを始めました。
担当とも名乗りました。Pの人の知り合いを増やそうとしました。
でも、勝手に居心地の悪さも感じていました。「よそ者と思われているのではないか」と先回りして怯えたりもしました。
どうしたら胸を張れるのか。僕はたぶん「結果」が欲しかった。
まるで福丸小糸のように、とにかく頑張って、頑張って周りに見える数字を出して、それを自分の中で掲げることによって、周りから置いて行かれないように必死になった。でも、結果、なんてものはどこにも無かった。

何故少女Aに必死になったのか。
もちろん、きらりを好きになってもらいたいのも本当だけれど、Pとして認められないという気持ちも僕の中には間違いなくあった。
結果を出すことで、Pとして胸を張れる材料みたいなものが欲しかった。
Pに、僕はなりたかった。

音源が読まれたとき、祝福の声が聞こえてきたとき、思ったのは、でもそんな結果とか、数字とかじゃなくて、人でした。
ずっと僕の背中を押してくれた人の姿でした。
僕がどれだけ下を向いてもいなくならないでいてくれた、人の姿でした。

タイムラインを見ました。
僕の名前が放送で読まれたとき「虎猫さん!」の文字がありました。
それは、僕がちょっとずつながらでも増やしてきた繋がりでした。
僕は、三度目の涙を流しました。

僕はずっと一人できらりのことを考えていると思ってました。
一人きりで、山小屋で、ノートを綴っていると思っていました。
けれど、その自分の周りには、いつだって人がいた。
「うじうじしてる」僕を、見守ってくれていた。

僕はずっとPだったのかもしれない、自分だけが分からなかったのかもしれない。でも、僕をPにしてくれたのは、あなたたちだと思います。
あなたたちが、僕をPにしてくれた。
あなたたちが、僕ときらりと繋いでくれた。

この場を借りて、ありがとうございます。
今までうじうじしていて、すいませんでした。
僕は担当、諸星きらりの担当、胸を張ります。

そして、きらりへ。
初めて、あなたのために何かをすることができました。
届いたでしょうか?
これからも、どうかよろしくお願い致します。


第14回俺達の少女Aは、自分にとってかけがえのない時間をもたらして終わりました。個別の感想はまたどこかで書いたり喋ったりすると思いますが、本当に違うベクトルで突き抜けてる動画ばかりで楽しませてもらいましたし、その強い熱量に何度も何度も引き込まれました。
デレマスの190人のアイドルのうちの一人、まだ自分が知らない誰かにに”出会える”貴重な場だと思いますし、自分が担当を出会わせられるかもしれない貴重な場だと思うので、また視聴、投稿も是非しようと思います。
次何を送るかは……全然浮かびませんが、まあ、頑張ります。
主催の方々には、本当にお疲れ様でした。投稿された皆さん、視聴して下さった皆さんも、お疲れ様でした。

また、デレマスで、会いましょう!!!

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