小説新人賞のPDCAについて考える
最近また地力を鍛える為に小説新人賞に応募し始めたりしなかったり。
短編だとページ数が少ないから一週間くらいで書き終わって楽だなと思ったのは成長なのか堕落なのかは分からない。
昔は短編を書こうとすると必ずページ数がオーバーしたけど、今は大体収まってくれるのが嬉しい。
エンタメや純文とかへ気楽に挑戦できるのも良いところ
さて。
小説新人賞に送ってしまったら待っている結果は二つに一つ。
受かるか、落ちるかだけ。
たまに落ちても拾い上げられるけど、それはもう受かってる。
大体の賞は倍率百倍越え。
大きいものだと千倍越えもある世界。
当然落ちる確率は高く、と言うか落ちて当たり前と言える倍率だったりする。
なにせ現役や元プロの人もこっそり名前を変えて送っていたりするので、かなりハイレベルなのは秘密の話。
中には過去に映像化されているレベルの人もいたりいなかったり。
となれば多くの投稿者は敗れ、投稿作の見直しを求められるのは必然だったりする。
それはプロ達も例外じゃない。
落ちた人が求められるのは新作を書くか落ちた作品を改稿するかだけど、大抵の投稿者は自分の書いた作品に自信があるので改稿することを選択する。
新作をたくさん書いて次々と送るタイプもいるけど、そうであっても『なぜ落ちた』かは考えた方がいいかもしれない。
いや、そういうタイプはもう書いちゃった方がいいのかもしれない。
分からない。
なぜ自分の作品は落ちたのか?
この不快極まる議題と向き合う必要があるのは、単に効率の問題だったりする。
なぜなら作品が落ちた理由は必ずあり、それは大抵短所があるからで、その短所を放置しているといくら書いても中々受賞できない。
ということでPDCAサイクルというダメなインテリが好きそうなこのワードを小説新人賞に当てはめて考えてみようと思う。
あまりにも前振りが長い。
では小説新人賞におけるPDCAサイクルとはなんなんだろう。
というかPDCAとはなんなんだろう。
ざっくり説明すると
Plan(計画)
Do(実行)
Check(測定・評価)
Action(対策・改善)
の頭文字がPDCAというらしい。
小説賞に送っているんだったら既にPとDは終わっているから、残るCとA。そして二週目のPとDになってくる。
つまりまず『なぜ落ちたのか?』を調べ、『どうすれば受かるのか?』を考え、『こうすれば受かるはず』を計画し、『計画通りにやる』をすればサイクルを回すことができる。
まず最初に考えるべきはCであり、つまり『なぜ落ちたのか?』
これが最も重要なんだけど、最もそんなこと知るかと言いたいところでもある。
運が悪かった。
それで済ますのも意外とありで、次は運が上向くかもしれないと前向きに投稿し続ける人はきっと伸びるはず。
でも頭で書く人にとってはそんなオカルトよりも受かる確率が上がる方が大事。
計算タイプは計算に溺れがちだけどそこは割愛。
『なぜ落ちたか』を知る為には小説を構成する要素を理解する必要がある。
その要素とは
アイデア、キャラクター、世界観、構成、文章力、台詞と言葉
の六つ。
あなたの小説が落ちた理由はこの中のどれかが、あるいはどれもが足りなかったからに他ならない。
悲しい。
自分の作品に至らぬところがあっただなんて。
こんなに面白いのに。
下読みと編集者と審査員の目は節穴だ。
そう考えるのも全然ありだけど、現実はやっぱり落ちている。
悲しい。
では六つの要素においてなにが足りなかったのか?
それを知る方法はこれまたとても悲しいけど、自分の作品を落としてみたら分かったりする。
自分が審査員だったとして、自分の作品を審査する。
そして落とす。
落とすには理由がいる。
その理由があなたの弱点であり、改善点でもある。
アイデアはどうだろう?
面白いと思っていたけど、実はよくあるものじゃなかった?
そもそも楽しめる人が限られたものじゃない?
キャラクターはどうだろう?
自分は好きだけど、どこかで見た人達になってない?
似たような役割の人が多くなってたりしない?
あるいは人が多すぎない?
イヤな人だらけに、あるいはいい人だらけになってない?
世界観はどうだろう?
自分としては成り立っていても、冷静に考えれば破綻してない?
あるいは似たような世界観が巷に溢れてない?
独創性はちゃんとある?
構成はどうだろう?
導入は面白い? 中間は? オチはどう?
どこを読んでもきちんと中身がある?
文章力はどうだろう?
知らない人が読んでも意味が理解できる?
読みやすく書けてる?
難しい言葉を使いすぎてない?
主語が誰かきちんと分かる?
台詞と言葉はどうだろう?
掛け合いは面白い?
キャラに長々と説明させてない?
地の文にあなたらしさはある?
とまあ、そんなこと言われても知らんがなと思える問いに歯を食いしばりながら答えていき、その中で見つかった弱点を泣く泣く認め、荒かった作品をもう一回書き直すかと思い直すまでがC。
イヤな人は多いだろうけど、プロになれば打ち合わせと称してイヤでもやらされるし、今のうちから慣れておけば後々助かると思う。
多分。
Cが終わったら次はA。
つまり改善点を考える。
まあ、あえて言うならここかな。
と思える点を面倒そうに改善していく。
ここさえ直せば受賞は決まりだって気分でルンルンで。
ただ問題があって、それがアイデアだとこのサイクルは破綻する。
根本的で致命的な問題。
そこが弱かったら結局書き直しになるから他のあれこれは戒めにして次へと進んだ方がいい。
でもアイデアに自信があるなら他の五つを改良してみよう。
そうすれば間違いなく作品のレベルは上がるはず。
一次落ちが二次落ちになれば多少の溜飲は下がるし成長を感じてハッピーに。
あとはPlanを改善点を考慮して練って実行すればサイクルは回っていく。
そのプランだけど、最も考えるべきはレーベルとの相性だったりする。
つまりカテゴリーの中に入っているか。
カテゴリーエラーの場合、投稿作がどれだけ優れていても落とされる。
あるいは売れるビジョンが見えると強いかも。
プランができたら書く。
一心不乱に書く。
そしてできたら投稿して、落ちたら次のサイクルが回っていく。
もしここから永遠に出られないと感じたら根幹であるアイデアに問題があるのでさっさと次の作品に移るが吉。
結局のところ、作品の良し悪しはアイデアにかかっている。
さあ。
サイクルを回しました。
これで勝利は目の前だ。
だけどこれだけじゃ中々厳しいのが小説の新人賞。
なぜなら今までは弱点の克服が主題であって、本当に大事なのは別にあるから。
それは長所を伸ばすこと。
ここが他の人に勝ててないといくら弱点を補っても平均点を取れるだけで上に上がれない。
むしろ賞を取るために必要なのは弱点を克服するPDCAじゃなくて、長所を伸ばす為のPDCAかもしれない。
あなたの作品が落ちたのは短所があったからではなく、長所がなかったからと言われたらそっちの方がショックかも。
でも全ての要素が高いレベルにある作品は結構佳作とか特別賞とかに引っかかるので、それはそれで流行ものを書かせる要員として求められている人材でもあったりするのは別のお話。
じゃあどうすれば伸びるか。
それを知る為にはまず自分の長所を理解しないといけない。
あなたの長所はなんですか?
アイデアですか? キャラですか? ストーリーですか? 世界観ですか? 文章力ですか? 台詞ですか?
もっと踏み込んで、
それは他の投稿者と戦っても勝てると自信を持てますか?
プロと比べても遜色ないですか?
なんていう意地悪な問いに答えてみよう。
長所の短所と言うと矛盾するけど、それが見えたらまた改善策を練る。
自分の長所を伸ばす為にはなにが必要か?
どうすれば同じ長所を持つ他の投稿者を上回ることができるか?
というとても大変な問いに答えてみよう。
とても大変。
ただここを伸ばすと決めたら書くものも決まってくるので、とりあえずしばらくはこうするかくらいでもいい。
長所は短所に打ち勝つので、成長できていれば上の方に行けるはず。
ほとんどの人は長所=好きなことなので、好きなジャンルを書き続ければ自ずと成長している。
だから長所とか分からないけど好きをとことん突き詰めるのはとてもいい。
ただその好きが世間に受け止められるものである必要はあるけど。
まとめるとまず短所を見つけ、それを平均レベルに持っていくためにがんばる。
次に長所を見つけ、自分はこれで勝つという武器を磨く。
これを繰り返せば受賞はあなたのもの。
多分。
考えをまとめる為に書いたけど、大体こんな感じだと思う。
能力を伸ばすのに限界はないので、のんびり続けるのがなんだかんだで近道な気がする。
その為にも小説を書くこと、投稿すること自体を楽しもう。
イエーイ。
終わり。