【声劇台本】灰色にさよならを(約800文字)【シチュエーションボイス】


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猫縞レイ
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以下本文


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今まで鳴らなかった着信音が
突然に「ポーン」と音を鳴らした。

一年ぶりに鳴ったその音は
夜更けの暗い部屋に響き、私の目を覚まさせた。

メールの内容は、まるで遺書のようなもので
私の代わりに幸せに生きてくださいだとか
ペットは大切にしてくださいだとか
お墓参りにいけなくてごめんなさいだとか

まあ、つまりはもう一生会うことはないだろうという
そんな内容だった

どこかでそれを受け入れていた私は泣くこともなく
ああそうかって、そう思うだけで
それでもこの携帯が鳴らなかった一年を振り返ると
色々あったなって思えてくるもので

まあ元々外出はあまりしないほうだったし
時節がら自粛期間だったけれども
色々と行きたい場所があって
でも、一人じゃなくて、君が帰ってきたらいっしょに行こう
きっと一人よりずっと楽しくて、君も喜んでくれるだろう
そう、思い続けた一年だった

心が誰かに移ることもなく
ただ漫然と一年過ごしてきて
いつかまた、いつかまたと
いつものお店でご飯を食べて、いつもの温泉街に旅行へ行って
いつもの街に買い物に行って、いつもの私の料理を作って
二人で楽しくて、美味しくて、そんなことがまたいつかって
そう、思い続けた一年だった

この一年間、一人で歩く街には
君の思い出や、顔や、声がちりばめられていて
ああそういえばここのあれが好きだったなとか
夜中にコンビニでこれ買ったなとか
このキャラクターが好きだったなとか
何かと思い出すことも多くて
それを見ていちいち落ち込む自分も嫌になって
心に鍵をかけて見過ごしてきた風景達がそこにいて

でも
一年ぶりに鳴った、その「ポーン」という携帯の音が
もうすべてを失って、忘れる時だと
私に告げた

鍵を開けて、見過ごしてきたものすべてと向き合って
止まっていた灰色の時間を今日からまた
一人で歩いていく
新しい朝の始まりです



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