にばんめ
私はいつもここで静かに待っている。
ここは空っ風がよく吹く。
私の定位置。
私はいつも”にばんめ”だ。
あの子はいつもフリフリやリボンのついている可愛い服を着させてもらっている。羨ましい。私はお下がり。でもそんなの着てやらない。私にだってプライドがあるの。
1番はあの子であの人はいつも選んでくれない。だが、それは決して無視されてるわけではない。眼中にも入れてないのだ。悲しいなんて思っていない。
ただ楽しい会話が目の前で繰り広げられるのを傍観することしかできない。「ああ、私だってあの子より頑張れるかもしれないのになあ。」「見る目ないなあ。」
見た目は地味だけど、私の方が性格いいし、あんなわがままじゃないし。見た目が可愛いだけのあの子ばっかり選んで。
「今日は久しぶりにこれにしようかな。」
まさか私……?
「だって、今日は特別な日だから。」
私、ダージリンはふわふわの生クリームと共に口の中で絶妙にとろけて、それは紅茶界で金賞をもらえるほどだった。
そして、いつも以上に楽しげな笑い声が飛び交っている。私はこの日のためにずっと順番待ちしていたかのよう。どこからともなく綺麗な鈴の音がリンリンと聴こえた。