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ラノベ編集者はどのように作家さんを探すのか?
毎月のようにたくさんの作品が刊行されるライトノベル。
では編集はどこでどのように作家さんを探しているのでしょうか?
①新人賞応募作品から探す
これは一番王道です。
作家さんを探したいときは新人賞応募作品をたくさん読みます。
こんな作品がほしいというイメージが脳裏にあることもありますが、「これだ!」という作品に巡り合えることも多く、応募作という原稿が既にあるため完成形をイメージすることも容易です。
既に実績のある作家さんと比べて固定ファンがいない点と、作家さんの個性(速度や原稿調整に対しての柔軟性など?)はご連絡するまでわからないところはありますが、可能性の塊といえます。
②他社の作品から探す
他社の作品を読んで、
面白いと感じた作家さんにご連絡してみます。
最近は作家さんもSNSを使用されていることが多く、コンタクトしやすくなりました。
いきなり仕事をお願いできればベストですが、
既にされている他社での仕事がありますから、感想などをお送りしながら状況を伺い、タイミングを見てご相談します。
その際は、作家さんの既存作品を拝読したうえで、
得意ジャンルなどを推察したり、「うちで書いて頂ける場合こういった作品をお願いしたいのですが、いかがでしょうか?」と提案することが多いです。
もちろん作家さんに書いてみたかったものが
ある場合は伺います。
作家さん自身が書きたくて他社で提案したものの、
企画が通らなかった作品を、一作目として刊行してみることも。
活躍されている作家さんの場合、
刊行実績もあり、刊行ペースもある程度わかり、
数字も見えるので、社内で企画を通しやすいのもメリットです。
③作家さんに別の作家さんを紹介してもらう
担当している作家さんに
友人作家さんを紹介してもらうこともあります。
これはこちらから「お知り合いの〇〇さんを紹介してもらえませんか?」とお願いすることもありますし。
「作家さんを探しているのですが、どなたか面白い企画を持っている方はいませんか?」とお相手の方を特に指名せずにお尋ねすることもあります。
逆に、担当作家さんから「知人の作家さんが企画を見てほしいそうなのですが、見てもらえませんか?」とご相談頂くこともあります。
私はありがたいことにご紹介で繋がることのできるケースがとても多かったです。
④SNSで探す
イラストレーターさんを探す頻度に比べて少ないですが、X(=twitter)などのSNSで作家さんを探すこともあります。
拝読して面白いと感じた作家さんは基本的にフォローしていますので、そういう点では②でもあるのですが。
逆に、フォローなどしていない、関心が届いていなかった方でも、タイムラインに流れてくるラノベ作家さんを眺めている際に「お仕事募集!」と書いている方がいたら、そこから改めてその方の作品を拝読させて頂き、お声がけさせて頂くことも。
⑤小説投稿サイトで探す
数年前からこちらのケースもとても多くなってきました。
ファンが既にしっかりついていることもあって、
作家さんとコンタクトできて作品を獲得できれば、売れることがある程度保証されていて有利です。
コミカライズに向いている作品も多いため、
毎日チェックしている編集も多いのではないかと思います。
その分昔に比べて作品獲得の競争率が格段に上がり、獲得が難しいところはありますが、あらゆるジャンルの作品がありますので「刊行したい!」と思える作品に出会える機会も多いです。
⑥交流会などで探す
ときどき業界関係者が集まる交流会などが開かれることがあります。
そこに参加されている作家さんとお知り合いになり、お仕事のご相談をさせて頂くことがあります。
最近はコロナで減ってしまいましたが、
作家さんに実際にお会いしてお話しができるので、
機会があって参加できればとても重要です。
交流会ではありませんが、コミックマーケットなどのイベントでお会いすることもあります。
⑦編集仲間に紹介してもらう
編集にもよりますが、だいたい1年に15~20冊前後刊行するのが限界であることが多く、1シリーズにつき標準ペースで1年に3~4冊刊行していると、一人で担当できるのは3~4シリーズです。
そのため「企画の打診があって、担当したいけど、
キャパシティオーバーで無理!!」ということもときどき起こります。
そのような時に作家さんを紹介してもらい、
担当することもあります。
他にも自社にすごく好きな作家さんがいて、
次回作を一緒に作りたい!というとき、
拝み倒して紹介してもらうケースもあります。
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だいたいこのようなかたちで作家さんを探すことが多いでしょうか。
他にも、担当したイラストレーターさんから作家さんを紹介されることがあったり(「あの作家さんのイラストなら描きます!」とお話を頂くことも!)。
営業担当に面白い作品を聞いて読んでみてお声がけしたり、別の業界(例えば美少女ゲーム業界)の方にシナリオライターさんをご紹介頂く機会などもあったりなどもしますが、おおむね上の範囲から探すことが多いです。
作品を刊行したい、企画を見てほしいという作家さんは、上でご紹介したどこかで網を張っておく(?)と、編集の目に届きやすいかもしれません。
紹介で繋がることも多いですから、
日頃から交流されるのもいいと思います。