猫の鼠算
こんにちは!
今日は、猫の繁殖力についてお話しします。
結論からお話しすると、猫は非常に繁殖力が強い動物です。
理由はいくつかあるのですが、準に解説します。
猫の発情期について
猫の発情期は特に決まっておらず、日照時間で本能的にコントロールされているようです。
理論上年中発情期を迎えることができますが、日が長くなる春から夏にかけてピークになります。
発情の期間は約1週間程度。
猫の排卵について
猫の排卵は、人や犬などの「自然排卵」のようにおおよその周期で排卵されるメカニズムとは異なっていて、交尾の刺激で排卵される「交尾排卵」というメカニズムになっています。
交尾と共に排卵されるので、ほぼ100%に近い妊娠率と言われています。
また、犬は生理があり猫にはないことも、この自然排卵と交尾排卵の違いからくることです。
妊娠できる日
自然排卵の場合、排卵周期に合わせて妊娠の確立が決まってくるので、妊娠できる日は、例えば人の場合1カ月に6日間程で、猫は、自然光の場合日照時間に合わせて発情しますし、蛍光灯の光が夜も当たっている人工的な明るさでも発情を促すとも言われているので、基本的には1年中いつでも妊娠できるのです。
また、近親交尾もするのでより妊娠の機会があります。
妊娠期間と出生数
妊娠期間は、人の場合約10ヶ月程ですが、犬や猫は約2ヶ月程で短い期間で出産しますので、1年で約2回程妊娠できます。
また、出生数は人は1人に対して、犬は4~5匹、猫は4~8匹ととても多く生まれます。
猫の鼠算
これまで解説してきたことで、猫は非常に繁殖力が高い動物であることがわかったかと思います。
ネズミの出産になぞらえた「鼠算」は有名ですが、人の手が介在しないと、まさに猫の鼠算のようにどんどん増えて行きます。
今回、上記で解説したことを元に一定の条件を仮定として1組のカップル(オス猫1匹とメス猫1匹)から2年後には通算何匹になっているかをシミュレーションしました。
【条件】
オス1匹とメス1匹からスタート
1匹のメスから6匹出生したことと仮定
6匹中3匹がメスと仮定
猫は1年で約2回妊娠できるが、1回出産したら不妊手術して産めなくなっていることと仮定(今回はわかりやすくするためで、本来は1度出産してもすぐに妊娠することもある)
出生したメスが発情するまでを6ヶ月と仮定
発情したメスが出産するまでを2ヶ月と仮定
上記条件とした場合のシミュレーションを下記の表にまとめました。
小さくて見づらいので、一度画像をタップして、ピンチアウトして拡大すると見やすくなります。
猫の鼠算シミュレーション
1組のカップル(2匹)からスタートした猫は1年4ヶ月後には通算80匹になっており、2年後には何と242匹になっていました。(スタート時の2匹も含む)
実際は1匹の猫は1年に約2回程出産するので、上記シミュレーションより遥かに多いことが想像できます。
社会問題
例えば、この状況が野良猫だった場合はどうでしょうか。
人の庭に糞尿をして環境悪化や、発情期の闘争や鳴き声の騒音、猫自身も人と対立してしまったり、闘争で怪我を追ったり、病気の蔓延、食料難、交通事故死や殺処分の悲劇に見舞われる悲惨な猫が増えて行きます。
また、飼育がこの状況ならどうでしょうか。
当然ですが、早い段階で面倒見きれなくなり「多頭飼育崩壊」という惨状と化してしまいます。
「多頭飼育崩壊」になった場合、家の中は地獄絵図のようになります。
人間が動物の面倒を見れなくなってしまうわけですので、トイレ掃除が間に合わず、糞尿がそこら中にされてしまい、フードは全員満足に食べれず、やせ細って餓死する猫がいたり、狭い家の中で病気が蔓延したり近親交尾で遺伝性の病気になっていたり、その中で亡くなってしまった猫を生きている猫が捕食したり、死骸がそのまま放置されていたりと、視覚的、嗅覚的に耐えられる状況ではなくなっているため精神的におかしくなっている方も多いのです。
人とペットの幸せな「共生」のためには、バランスが重要です。
悲惨な、猫を増やさないためにも、人間との幸せな共生のためにも、1代限りとなるように、避妊/去勢手術は必要不可欠なことです。
たまに、人が動物の不妊手術を強制することに批判的な意見を述べられる方がいらっしゃいますが、どちらが最終的に動物の幸せにつながるかを感情だけではなく、動物の本能や生態も含め考えてみていただければと思います。
今日はこの辺で。
それでは。