「獣医師になりたい小中学生へのアドバイス」
最近求められることが増えたので。
思うところを忌憚のない意見を述べさせてもらいます。
1.学力は進学校にでもいたりしない限りクラスで1番。
やっぱり学力が必要な職種です。学歴は要らないけど、思考力は必要。読解力としての国語力がいる世界です。
大学の偏差値は私立でも60ぐらいは必要になってくるので勉強は出来るに越したことはありません。
そして、何よりも獣医師というのは「自分で責任をもって判断、決断する」という場面が多い職種です。その時に必要になるのは読解力なんですよね。
私が考えるもう一つ必要な能力として、「専門用語を噛み砕いて説明する能力」というのがあるのですが、これも国語力が問われるところです。近年の大学入試共通テストを見ていると、数学の問題でも長文を読み砕く国語力が問われているように思います。
2.命を扱えるか??
「命を救えるか?」ではありません。
必要に迫られた時、時には命を奪う決断すら出来る事も求められる能力の一つ、と考えています。
狂犬病予防員・動物愛護センターにおける保護犬猫の殺処分、保護した野生動物の安楽死、小動物臨床における中絶手術や安楽死、大動物臨床における淘汰、家畜保健所における伝染病発生時の安楽死など本当に命を絶つ仕事の多い職種です。
これが出来ないと始まらない。
高い倫理観とともに、必要な時に手を汚す覚悟があるか。
大学に入ってから動物実験や命を絶つ作業が辛くて続かない人も時折いますが、志した時に出来れば自問自答を繰り返しておいて欲しいと思います。
3.基本的には動物のための仕事ではなく人のための仕事。
獣医師の「師」という字は「士」ではなく「師」です。
この字には「社会と人に奉仕する」というような意味合いが込められています。(士業の人を蔑む心づもりはありません)
世のため人のため。
飼い主さん、オーナーさん、営業者さんのために動物の命を扱うことが出来るか?これも問われるポイントだと考えます。
4.それでも尚、動物を愛せるか?
動物を愛しながら、命を扱い、時にはその命を絶つ。
矛盾に満ちた職業です。
それでも尚、出来るか?
やはり、好きでないと続かない職業です。