いま、しごとが、たのしい。
初めてnoteを投稿したのは約2年前。あの頃の自分がこのタイトルの投稿を見たら「おまえ、頭おかしくなった?」と思うだろう。それでも、いま、しごとが、たのしい。
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春。
頼り切っていた上司が一度に3人退職した。この先もずっと、退職するまで毎日顔を合わせると思っていた方々だった。仕事の引継ぎを受けながら、くじけそうになった。
上司の退職日には、自分と上司3人だけで、朝まですすきので飲み明かした。すすきののマックの角を、上司が曲がりきるまで頭を下げた。お世話になりました、と思いながら人目をはばからず号泣している自分がいた。そのまま眼鏡に涙が落ちた。
人が辞めたので、当たり前のように仕事が増えた。3人が担当していた仕事を残った社員でカバーすることになった。「いつまで、耐えられるだろうか」と最初の頃は感じていた。妻には相談できなかったけれど、無理なら辞めようと決めていた。でも、どうにかなった。耐えて、耐えて、耐えた。
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夏。
新しい社員が入り始めた。そして、部下が増えた。その影響もあり、これまでとは違う視点で仕事に取り組めるようになった。成長していないと感じ続けていた自分だが、部下と接しているうちに、自分のできることが増えていることに気がついた。
自分は周囲の動きに敏感なタイプだ。これが良くも悪くもある。でも、最近はこれが良いほうに働いている。編集部の誰が何をしているかほぼ完全にわかるし、進捗状況や解決策も提案できたりする。なんか、いいかんじ、だ。
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この春と夏を乗り越えられたのは、辛いときに思い出す言葉があったからだ。それは一郎さんの、いや、イチローさんの言葉だ。春に、上司をすすきので見送った帰りのタクシーで、たまたま過去の記事を目にした。
これは大谷翔平選手に向けた、イチローさんの言葉だ。これが、タクシーでベロベロに酔っぱらっている自分に、刺さった。
「無理は今しかできない」と言われたら、ちょっと何偉そうに言うてねんねん?と(エセ関西弁で)感じただろう。それくらい「今」の強迫性は強い。
「いつ、無理するの?」「今、でしょ」だなんて某林修先生のキラーワードで刺されるとちょっと辛かったかもしれない。わかってるけど、それが大変なんやろ?と(エセ関西弁で)言い返していたと思う。
この言葉の深いところは「できる間にしか」という部分だ。
会社員人生は、アスリート人生より、多くの場合において、長いことがほとんどだろう。でも、自分の身体や、身の回りで何かが起きて、今後、いつもと同じように働けるかはわからない。
「歯を食いしばる」とはまた違って、「少し前のめりになって飛び込んでいく」ような、毎日もきっと良いのではないだろうか。それは、できる間にしか、できないことなのだから。
そんな気持ちで毎日を過ごしていたら、春が終わって、夏も終わっていた。
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秋。
仕事は順調だ。年末にかけて忙しい日々が続きそうだけれど、なんとか無理をせず無理をしながら生きていくつもりだ。
「死ぬ直前にさ。イチローみたいに『無理はできる間にしたほうがいいよ』と言い残すのなんてどうかな?どう?タイミングも完璧じゃない?」
先日、夕食の席で、妻に冗談半分で伝えた。
「んー、そんな言葉よりも、スマホの暗証番号と、タクちゃんのへそくりの貯金口座の暗証番号を知りたいかな。」
と真顔で言い返された。
無理はできる間にしたほうがいいが、無理に伝える必要もないかなと、ちょっと思った。でも、できる間の無理なら、それはきっと心地よいのかもしれない。いま、じんせいが、たのしい。
(おわり)
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