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夜空に手を振る/胃カメラ格闘記

今朝5時半に起きて、ゴルフコンペに向かうウナさんの車を見送った。まだ夜と言っていいほどあたりは暗く、西の空には月が輝いていた。月のそばに大きく光っているあの星はなんだろう。名前がわからないまま私は両手を高く上げ、左右に二、三度振った。

私は元気にやってますよー!

月を見たら手を振って挨拶するのが、いつしか習わしになっている。どうも誰かがこちらを見ている気がするのだ。誰かというのは、地上ではもう会うことが叶わない人。

相変わらず漫画描いてますよー!
もっともっと描きますよー!

もちろん返事はない。しかし今朝は月の近くで瞬いている星が、チカチカと合図を送ってくれたような気がした。

あの星はいったい何という名前だろう。

どうにも気になるので、星座を案内してくれるアプリをスマホで開いて空にかざした。火星だ。

火星かあ。

さっき私は火星に向かって手を振ったんだな。火星にも誰かいるかな。私がそうしたように、誰かもあちらから地球を眺めていて、手を振ったりなんかしているかしら。

まだ明けない東の空の低い位置にも、目立つ星がひとつある。そちらへも挨拶をして、寒さに身を縮めながら私は家の中へ入った。

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