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ひとりウォッチパーティの楽しみ
ひとりでニヤけながら見たい映画やドラマを、Amazonプライムビデオのウォッチリストにいくつか並べてある。ウナさんが出張で不在の晩。さあ、ひとりウォッチパーティの開幕だ!
ごく最近印象に残った作品を3つ紹介する。
1つめは映画『赤と白とロイヤルブルー』。
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ジャケ買いでリストに入れたやつ。アメリカ大統領の息子とイギリスのヘンリー王子。不仲である二人の関係が両国の友好にまで悪影響を及ぼしているからと、無理に親しげな演出をさせられるうちに、
心の奥に秘めた思いに火をつけることになる。
まず大統領の息子と王子という設定がぶっ飛んでるし、90分という短い作品だし、アメリカ映画だし、どーせ軽いコメディなんでしょ? カウチに寝転がってポテチつまみながら見るやつでしょ、はいはい。という、イギリス文化の信奉者にありがちな、大変失礼で偏見にまみれた上から目線をサムネに浴びせつつ、英国王子が出てくるという理由だけでひとりウォッチパーティをスタート。
たとえ「もどき」でも英国王室が見られるという一点に期待を寄せ、ほかは薄目でハンデ30あげるわよとスノッブにポテチをつまんでいた私。半分ほど進んでカウチでの居住まいを整えたのは、内容が徐々に深刻になっていったから。ただのお気楽コメディではないということがわかってきた。
まあ、アメリカとイギリスのトップにいる子息二人の恋愛なので、国民なんかカンケーねえ、専用ジェットでアカプルコにひとっ飛び、俺たちの愛に乾杯! とはならんよね。そのへんの葛藤が、米英の文化の違いを含めてきちんと描かれていた。
とは言え、申し訳ないけどアメリカ映画よ。90分の急ぎ足。地位だけでなく容姿も超ハイスペックな二人のイチャイチャに60分ほどさいてあるので、残りの30分で大統領選やら王政やらカムアウトやらパパラッチやら、対応せねばならんことが山のようにある。
そこへ持ってきて、アメリカ大統領もイギリス首相も女性。大統領の夫はメキシコ人で、一家はもともと労働者階級出身と、多様性がこれでもかと詰め込まれている。すべてがマッハのスピードで、オールOKなオチへと突進していくさまはさすがにお手のもので、見ているこちらはツッコむ間も与えられず、ハリケーンの目の中にぐんぐん巻き込まれ吸い上げられていく。イギリス映画だったら5時間かけても終わらない話が、ちゃんと90分で片付いた。
日本の明るいBL漫画みたいな映画だなあと思った。いがみ合っていた二人の恋愛って、ストーリーとしてはわりと王道。二人揃っておそろしいほど美形である点も、急がず大切に関係を築いていくあたりも、すごくよく似てる。これ、原作ってあるのかな? と気になってプライムビデオの解説をよくよく読んでみたら、最初に書いてあった。
ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー小説を原作とする
・・・マジで!?
あのニューヨーク・タイムズに連載されてたの? この小説が?
そんでベストセラーになったの?
日本のBLもいけるぞ…!
BL作家のみなさん、めざせニューヨーク・タイムズ。
さて、1本めの紹介ですでに相当の字数を使ってしまったので、次はさっくりいこう。
2本めは、たぶんインドのドラマ『フェイク』。
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偽札作りにはまっていく青年の話。このサムネにも作品解説にもまったくそんな情報はないんだけど、私ほどの熟練度になるとセンサーが反応するのだ。このドラマに隠されたブロマンスの香りに。開けてみて、やっぱりバディものだとわかった。しかもインド映画だ(と思う)から、超本格的に人生を棒に振るほど重罪の偽札作りがほどよく明るい。主人公がガールフレンドより断然相棒と長く一緒にいる描かれ方にも好感が持てる。隙間時間にのんびり楽しみたい作品。
最後の3本め。ついにきた。英国ドラマ『グッド・オーメンズ』。きゃーーー!
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イギリス以外にこの雰囲気を出せる国があるか!? しかもなお、その上に! この二人はれっきとしたマジもんの、コスプレなんかじゃない、天使と悪魔、エンジェルとデーモンなのだ。もうそれだけでお腹いっぱいなのに、悪魔は堕天使であり、敵対する立場にあるいまも、地球に人類が誕生する前から6000万年以上もの間、ほどよいツンデレ加減で友情を育み合っているッ!
偏愛の叫びがとめどなく溢れそうなので、ここから先はメンバーさんにだけおつきあい願います。英国ドラマ『SHERLOCK』で鼻血を出したことのある方には、強力におすすめするとだけ言っておこう。
最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。