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#おえかき教室(ぶっちゃけ番外編)なぜ漫画を描く人に『トレース』をすすめるのか

こんにちは。ゆるゆる開催している『#おえかき教室』です。

前回かねきょさんからいただいたお題『つないだ手を描くには』でアンサーとして描いたイラストをみんフォトに登録したら、なんと17回も使っていただいている!

二人手をつなぐ

うれしいな。ユウジとショウタ、君たちの幸せをみんなが祝福してくれてるよ。彼らはいまもゆっくりと二人の愛を育んでいます。恋人つなぎをするのは高校卒業後と決めているそうです。同じ大学に揃って合格できるよう、受験勉強がんばって!
(二人の馴れ初めについては、前回のアンサーnoteをご覧ください)

さて、上の記事の中で、写真をトレースするやり方をぶっちゃけました。

絵に正確さを求めるなら、写真のトレースをおすすめします。
人体って難しいのよ。
この手法にはメリットがたくさんあるので、そこらへんを次回もう少し詳しくお話しようと思います。

「メリットがたくさんある」と書いたら、絵描きさんたちがこんなコメントを寄せてくれました。

「全部自力で描きあげる! (いつまでもできない)」
よりも、
「道具や資料の助けを借りながら、勉強しつつ進める」+「数をこなす」
ことの大切さを感じました。


三上裕喜さん)
「いつかコツがつかめるのかな…?」と思いながら絵の練習をしているのですが、「見て描く」ことがきっとインプットになっていて、別コメントの方が仰っている「数をこなす」ことによって、後々のアウトプットにつながる知識の蓄積になるのでしょうね…。

アンさん)
形を取るという意味ですごく有効ですね。

写真をなぞるのはズルくないです。服のシワ、全体のライン、余計なものを削ぎ落として何を描くのか、結局判断は自分でするしかないのです。本当に人体は難しいです。うまく使えたらいいな、と思いました。

かねきょさん)

みなさん、ありがとうございます!

ここにこれだけメリットや考え方が紹介されているんだから、もう私何も書かなくてもいいよね?って5割ほどマジで思ったけど、「次回詳しくお話します」と約束したので、気合い入れてやりますよー。

前回トレースをぶっちゃけたのには理由がありました。かねきょさんが『漫画を描く人』だからです。7頭身キャラで漫画を描く人にとって、写実的な人体描写は避けて通れない。だから人体の勉強って大事なんだけど、それより大事なことが漫画にはあるので、そのへんも含めて今回お伝えできればと。本気で前回の10倍ぶっちゃけた話をしようと思います。

めちゃくちゃニッチなので途中から有料です。本当に必要な人だけ買って読んでください。(いっぺんやってみたかった有料設定)

一応、この記事で言いたいことを最初にまとめておきますね。こんな感じです。

・トレースでも何でもやってとにかく漫画を描く。 
 ↓
・絵の出来よりもストーリー。
 ↓
・漫画をたくさん描いていると、いつのまにか絵もうまくなっている。

私自身にもムチ打つ内容になる予定です。一緒に打たれましょう。いざ。

1.写真トレースをやりまくった話

2年前、こういう仕事を受けました。体のツボを使ったセルフマッサージをわかりやすく紹介する本のイラストを描くというもの。


画像2

画像3

『おひとりさま 新・按摩術』。この本を書かれた中国の先生や編集スタッフさんが、実際にご自身でポーズをとった動画や写真を大量に送ってくださり、それを参考に描きました。155点。

登場人物は上の男女2名。私のオリジナルキャラです。(綾乃と良平・仮名)
この2人にとにかくいろんなポーズを取らせました。

それぞれが独立したイラストなので、1枚1枚、きちんと絵になっていないといけません。マンガみたいにセリフや雰囲気でごまかせない。

元になる写真がそのまま使えたらラッキーだけど、なかなかそうはいきませんでした。膝から下全体を真横から見たアングルで描かないといけないのに、届いた写真は膝頭から足首への俯瞰になっていたりするからです。手に持ったスマホを胸の前に構えて上から撮るので、まあ仕方ない。

正確性が求められるイラストだったので、いい加減には描けません。しかも納期があり、時間が限られている。
人体を正確に描写できる、いちばん手っ取り早い方法を考えました。自撮りです。自分でポーズを真似し、Macの内蔵カメラでそれを撮る。お絵かきソフトに画像を取り込んでトレース。完璧。

例えばこの、耳と手だけのアップ。
(耳のツボを押さえてます。ちなみにこのツボ、体系崩れの予防にいいそうです)

125-2体型崩れ_耳ツボ口つまむ

これ、想像だけで描けたら天才だと思うんですが、私は早々にあきらめました。なにしろ1ヶ月後には155点のラフを提出しないといけないんです。耳の絵に何時間もかけていられない。絵描きのプライドとか言ってるヒマはありません。

撮りました。Macの内蔵カメラ『PHOTO BOOTH』でパシャリ。

画像5

手がやけにデカいので、耳とのバランスを考えながらのトレースです。

冬でした。厚着の季節。服がジャマで体のラインがわかりにくい時には、Macの前で脱ぎました。椅子に乗って足を交差させたり、お尻を突き出したり。いろんなポーズを取りながら、自撮りした写真を1ヶ月間トレースしまくりました。仕事です。人としてのプライドとか言ってる場合じゃない。

締め切りに向かって必死に描きながら、思ったことがひとつあります。

(私、絵、上達するな)

ペン入れしたイラストを納品した時点で、私はトレースのプロになっていました。『プロトレーサー』です。これだけ真面目に写しまくったら、誰でも技術が身につきます。実際この仕事以降は、苦手意識のあったむずかしいポーズを漫画で描くのにも、躊躇することが少なくなりました。いざとなったら自撮りすりゃいいんだから。

引き受けてよかったと思っています。もしもう一度同じ仕事の話があったら、3日ほど考えます。(マジで大変だったの)


2.漫画で人体を描く一般的な方法

さて、漫画を描く人なら一度は調べたことがあると思います。人体の描写法。
一般的に紹介されているのは、「まず骨から始めよ!」じゃないでしょうか?
こんなやつ↓

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