テレビを見ない理由

私がテレビを見ないのは、コマーシャルが苦手だから。１時間番組にCMタイムが４回あるとして、それぞれ４本流れたら合計16本にもなる。チョコです！　保湿クリームです！　新車です！　バーゲンです！　と、有名タレントが最大の笑顔とテンションで矢継ぎ早に訴えかけてくる15秒CMの連続に、私の脳がすっかり疲れてしまうのだ。

誰だったかシンガーソングライターが、その人も先輩からの受け売りだと前置きして、こんなことを言っていた。音楽は、コンビニやラジオなどで、それを聞きたくない人の耳にも入りやすい。そのことを意識して曲作りをしていると。

主張が強すぎないように、とかそういう意味合いだったと思う。やさしい人だと感心した。なのにそのシンガーの名前も顔も覚えていない。なんだか申し訳ない。

当然だがCMにはそのようなやさしい配慮は一切ない。逆にほかの用事をしている人の首を無理やりそちらへねじ向けさせるほどの大音量で、売りたい商品を眼前に突きつけてくる。私がチョコが好きだろうが嫌いだろうがまったくお構いなし。その強引さというか、訪問販売的な厚かましさが苦手なんだろうと思う。

ちなみに私は甘いものを好まない。冷蔵庫にカカオ80％のビターチョコを常備しているが、それは血糖値が下がっていると感じたときに口へ放り込むためのいわばサプリメントみたいなもので、毎日食べないし食べても１個なので、40個入りの箱が２ヶ月ぐらいもつ。

だいたい私は押しの強いものが昔から苦手なのだ。商品でも人でも。宣伝するのは勝手だけれど、その回数があまりに度を過ぎると見たくない人の目にも触れる機会が増えることを、少しは考慮してほしい。

なんて私がいくら言ってもテレビからCMはなくならないので、自分から見ないことにした。

若い頃から静寂が好きだ。できるだけ物音立てず、静かに暮らしたい。とはいえ部屋中があまりにシーンとしているのも寂しいので、２匹の猫に時々構ってニャ〜ンと鳴いてもらっている。