所有と気がかり/メタモルフォーゼに感化された話と談笑会のお知らせ
猫が目の前で毛繕いをしている。長い舌の上にはザラザラした突起が無数についており、首をねじった鼻先にある肩甲骨の下のあたりをその舌でひと舐めすると、細い櫛で梳いたように毛並みが美しく整う。
時々こんなことを考える。猫はすごいな。この体ひとつあれば、どこでも生きていけるのだからな。
人間は、髪を梳くにも櫛がいる。服を着ないで外は歩けない。お金を持っていなければ食料も買えないし、猫のようにどこかの家の庭先で眠るわけにもいかない。野宿して生きている人もいるにはいるが、やはり裸では