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【詩人の読書記録日記】リターンズ!2023年1月1日~1月7日

はじめに


こんにちは。長尾早苗です。
去年は新刊の準備もあって趣味の読書記録日記を続けることができず、お仕事として読んでいた本が多かったので詩集に重きを置いていたのですが、今年は1月1日が日曜日、ということで重い腰を上げて再開することにしました!
拙い読書記録日記ですが、よろしくお願いいたします。

1月1日 日曜日

新年おめでとうございます。
最近読書ラジオのアーカイブを日が昇るまでの時間に聞くことが多くなりました。四時に起きて、六時から作業を始める生活をまだ続けています。
聞いているラジオは講談社のバタやんさんの「真夜中の読書会 おしゃべりな図書室」やミエさんとダイチさんの「文学ラジオ 空飛び猫たち」。ふつふつと読書熱が再燃していました。去年はミエさんとダイチさんに文学フリマでもご来店いただき、活動を応援してもらってうれしい一年でした!
去年は詩集や詩に関わる方たちの本がとてもよかった一年で、すべて紹介できなかったことが心残りです……。
今年はプライベートでも穏やかに読めるようにするぞと初詣に行っていました。おみくじは末吉でした。

安達茉莉子『臆病者の自転車生活』AKISHOBO

安達さんの『私の生活改善運動: THIS IS MY LIFE』(三輪舎)もとても好きで、そういえばこれもこれから紹介する本も自由港書店さんで買っていました。『私の生活改善運動』は須磨のお店で買っていて、今回の『臆病者の自転車生活』は自由が丘に自由港書店さんが出店していたので買いました。「自由」と安達さんの本は気持ちが合いそう。
Google mapで行きたいところや行ったお店なんかをメモしておくというのはわたしもやっています。白地図を埋めていくようで楽しいんですよね。わたしも自由に街を自転車でめぐりたいし、海に行ってみたいなと思います。
普段の何気ないきっかけが、自分の生活を大きく変えることになる。自転車で往復一時間、二時間って結構色んな所に行けるんですね。
この本はサイン本で手に入れましたが、「Y.A.F」とイラストの下に書かれていて、それは「You Are Free」の略なんだそうです。
自分もそして自分を取り囲む状況からも、自由になるということ。
改めて「自分の自由」について考えていました。

1月2日 月曜日

図書館の予約かごに、気になる本をどんどん入れる作業から始まった月曜日。今年最初は17冊。これからもっと増えていきそうな気配。
三が日は図書館もやっていないので、すこしやきもき。近くに神社が多くあるので、カメラ代わりのスマホを持ちつつ、ご近所の初詣を視察したりしていました。とてもにぎやかでいいお正月です。

三角みづ紀『とりとめなく庭が』ナナロク社

三角さんのエッセイはいつか読んでみたかったもの。
詩人という生き方、詩を作ること、誰かに何かにすべてに恋をするということ、そうしてそれらから感覚が「ひらかれている・とじている」ということ。この本は熊本の橙書店さんで購入しました。帯と栞に店主の田尻久子さんの素敵な紹介文があって、そうだよなあ、と三角さんのことばの力に圧倒されていました。
「鈍感より繊細の方が幸せだ」ということばはいつでも持っておきたいし、お守り代わりにもなったりするのです。

1月3日 火曜日

豚汁を大量に作る日。せっかくだからえい! と図書館予約かごに予約数0人のものから放り込もうとしたのだけれど、あんまりなかった。近くの公民館で割と借りられるお得本が多いので、そちらに期待することにする。明後日から作業場所のコワーキングスペースが通常営業するのだけど、そこからバスで5分の所に図書館があるので、とても楽ちん。コワーキングスペースにも図書館にも通う日が楽しみ。コーマック・マッカーシー/著 黒原敏行/訳『越境』ハヤカワepi文庫ジョン・マグレガー/著 真野泰/訳『奇跡も語る者がいなければ』Crest books の2冊を予約。

1月4日 水曜日

本格的に今日から仕事始め。といっても図書館もコミュニティ・コワーキングスペースもオープンは明日から。なんだか気持ちが大きくなる。
夏目漱石『漱石俳句集』岩波文庫C・パム・ジャン/著 藤井光/訳『その丘が黄金ならば』早川書房R.ブローティガン/著 藤本和子/訳 『西瓜糖の日々』河出文庫 小林聡美『読まされ図書室』宝島社文庫 
の4冊を予約。

1月5日 木曜日

今日から初出勤。30分遅れで公民館に寄ってから。本当は違う本を借りたかったのだけど、くやしく思いながらコワーキングスペースで作業をする。朝いちばんはクリエイティブな作業、それが終わったらインプットする作業をしてみる。眠る前に読む本があると心強い。昨日一昨日予約した本が4冊も回送中になっていて、とても楽しみ。

那須正幹『The End of the World』ポプラ社

小学六年生ごろに読んだのだけど、ズッコケ三人組とは全然違う読後感がありました。表題作は核戦争の後、そして他にも不思議で戦慄の残る作品がおさめられています。幼稚園でいじめられて亡くなった子を思い出してしまう同窓会、ありもしない街にバスで行ってしまう短編……。
那須さんは一昨年の夏に訃報がありましたが、彼が戦時中に広島に生まれて、作家として残したかったものがこの作品にぎゅっと込められているようにも思います。
小学六年生の時には「こわい」という思いしかなくて、泣き虫だったわたしはとにかく泣いた。子どもだったから、今わたしが考えてみたら浅い読みしかできていなかったように思う。それでも「こわい」という感情自体が大事なんじゃないかと思います。
いさかい、争い、それは大きなものから小さなものまで、人のいのちを脅かしてしまうものだとしたら。そうして、誰かに会いに行くことがいのちがけだとしたら。未来にずっとのこしておきたい短編集でした。

1月6日 金曜日

夕方図書館に行く。昨日回送中になっていた本が次々届く。前のわたしだったらすべて読み込めずにあたふたしていただろうなと思うけれど、今年で三十代になるのだ。大人の余裕を持ちたい。

茨木のり子『倚りかからず』筑摩書房

茨木のり子さんはわたしの憧れです。シャキッとしたいときに読む。シャワーを朝浴びて、パソコンの前に向かう前に読んでみる。
時代遅れでありたいという姿勢がかっこいいなと思う。わたしは何を手に入れ、気ぜわしさと引き換えに何を手に入れたのか考えてしまう。
茨木のり子さんの詩には、自らを自らとして立ち帰らせる気品と力があるように思う。彼女の感嘆符に込めた思いなどをくみ取り、作業場所へのバス停まで行く時間に作業をする。

1月7日 土曜日

昨日睡眠不足になり、今週から土曜日曜も続けて作業。公民館でししまいをやっていたので見に行く。ししまいにかまれて、今年も縁起のいい一年になるなあと思いました。
今年はグループワークメインで行こうと思っています。新しい詩誌の活動、来週の現代詩の会のオンライン合評、などなど。

宮崎駿『シュナの旅』アニメージュ文庫

コワーキングスペースの知人に『風の谷のナウシカ』の原作を借りる約束をしていたのだけど、なかなか機会がなくて借りられていません。やきもきするわたしに他の知人が紹介してくれたのがこの本。
漫画仕立てになっているのですが、宮崎駿さんが描くものは、彼が世に問いたいことは、とても大きな意味を持っているのかもしれないなと思います。
三鷹の森ジブリ美術館も大好きだし、ジブリパークも行ってみたいのですが、その前に色々、問いを立てておきたい。
生きること・食べること・戦うこと・死ぬこと・誰かを愛すること。
その、人間のすべて。シュナという王子が旅に出て、人々の幸福だったり世界だったり、神人と呼ばれる人々を見にいくという旅の物語です。読み終わった後色々考えてしまいました。

コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳『越境』ハヤカワepi文庫

失い続けた先には何があるのか。
十六歳のアメリカ人のビリーは、何かわからない衝動に突き動かされて、捕らえた牝狼を連れてメキシコに不法入国し、狼を野生に返そうとします。
彼は三度この物語で越境する。アメリカからメキシコへ、少年であったころから大人になるにかけて。
狼をうしない、父母をうしない、最後に本当に大切なものをうしなう。
孤独というものは失い続けながらいきていくことだと思っていて、それは果てしのない漆黒の中に自分をおいやるということ。
一人が好きとか、友達がいないとかそういうレベルではなく、本当に「うしなう」ということと、わたしたちは共生していけるのか。
孤高の生き方というものと、失いながら生きていくことは違う。誰しもの中にいて一人でも平気、ということと、誰かを失い続けながら生きているのに、もしかしたらそれを自分が引き起こしているのかもしれないと考えた時の怖さ。この中で二度目の越境を弟のボイドとビリーは父母を失ってするのだけど、父母を殺害した犯人は実はビリーが物語序盤で助けた人なのかもしれないという伏線回収が待っています。
人生は思い出だ。名言ばかりの硬質な文体の中に、哀しみの沼の底を見た気がします。

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長尾早苗
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