【詩人の読書記録日記ミニ】草間小鳥子『源流のある町』(七月堂)所収「役に立たないものについて」を読んで
こんにちは。長尾早苗です。
今日は寒かったですね! 朝早くから読書会だったので、寒さが身にこたえたけれど、よい時間でした。
今日は、役に立つもの・立たないものについてお話しします。
こころに闇や影をまとう時
今年こそ「宿題を早く終わらせたい病」を治す
と誓った元旦。
いろいろなことが起こったし、リアルでしか出会えないお仕事も
年始からたくさんありました。
雑談の中で、こころに闇を抱くときの話が出たのだけど、
闇や影を持っている人って、何事もなく明るいままで過ごしている人より
なにか魅力を感じます。
謎めいている方が魅力的なのかもしれない。
もしかしたら、そういう人の方が多いのかもしれない。
役に立たないものについて
時々、知ったかぶりをしてしまう時があります。
だいたいは頭が疲れている時。
今日の朝読書会でもしてしまって、してしまってから
「やってしまった!!!」と猛反省するのだけどもう遅い。
みんな大人なのはありがたいです。でも、わたしはその人に対して、そして周りに対してとても不愉快な思いをさせてしまった。
一応切り替えて仕事はしたけれど、なんだかなあ……
そんな気持ちで帰り道、とぼとぼと歩いていたら
ワラ300円
と書かれた古いタバコ屋の軒先販売がありました。
ワラ……300円。
見てみると相当な量のワラ。
でも、300円。う、うーん。おにぎり2個買える。
役に立つというか、それを買う人がいるんだろうか……
でも、それを買い求める人がいるからこそ売っているんだろうな。
売れたらいいな。
そんなことを思いながら、ふと草間小鳥子さんの『源流のある町』(七月堂)所収の「役に立たないものについて」を思い出していました。
ちなみに今日の朝、頭が疲れていたのは、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を精読していて31ページまでしか読めず、
相関図と照らし合わせながらメモをとっていたからです。
(この本を一晩で読んでいた自分、ゆるせん……もっとゆっくりと読みなさい! と自分に言い聞かせている)
そういえばと思い返せる詩人がいること
草間さんにこの本のサインをもらったのがカフェだったこともあり、
そのコーヒーを懐かしく思いながら帰ってデカフェを淹れました。
『源流のある町』の中でも「役に立たないものについて」は、草間さんの幼少期からの創作についてのことが書かれていて、
答えは見つかったわけじゃない。けれど、自分にしか見えない世界や創作がほかのひとにとって役に立たないものであったとしても、
自分は自分で孤独に耐えながらも創作者として生きること。
それを思いながら読みました。
詩や創作は「役に立たないもの」かもしれません。どんなに表現者があがいても、「役に立たないもの」として切り捨てられてしまう。
それでも、ことばの力ってすごい。そう感じ取った人々こそが、
そしてことばに救われたり、創作することにより自身から何か開放できてさえいれば、それはめちゃくちゃ「役に立つもの」なのではないかとわたし自身は思っています。
そういえば今日はこの詩集の「ハセガワマートの爆発」の舞台になった若葉台団地の中にある書店さん、「BOOK STAND 若葉台」に芸能人がロケで来ていたなんて口コミで聞いたなあと思いながら、
その放送を見終わったらBOOK STANDさんにも伺おうと、
前向きな気持ちになれました。
わたしにはどれだけ失敗してしまったとしても、
自分の中で「そういえば」と思い出せる詩がある。詩人がいる。
そのことがとても豊かなことのように思ったのです。
終わりに
どんな人の日々にも少しの高揚と、少しのへこみ具合があっていいと
わたしは思っていて、それが「日々」のように感じます。
そしてふとした時に、思い出せる本を持っていること。
その本を読み返したいと自発的に思うこと。
その本についての思い出がきちんと自分の中にあること。
そういうことを含めて、自分の中で豊かな気持ちになれたのは
今日がとてもよい一日だったと思えることでした。
実際に帰って読んで、やっぱり素晴らしい詩集でした。
何度も再読したいです。
知ったかぶりをしてしまったことについては、
長い時間をかけて自分の中で治していくことと
その人たちとの関係を良好なものにしていくために
やっぱり知ったかぶりをしないようにがんばろうと思いました。
今年上半期読みたい本を整理していたら82冊……
図書館が開くまで、図書館のシステムが直るまであと3日。がんばって待とう。