“独り占めしてたはずの不眠症が私だけのものじゃなくて落胆した”
5年間寮生活をしていた。
建築学科の多忙な課題に追われて、夜遅くまで机と向き合う日々
寮では、深夜12時を超えるとWi-Fiが使えなくて、ダウンロードした音楽だけでは夜が長くて乗り越えられないと感じる時にテレビのあるコモン室でよく作業をしていた。
コモン室からは向かいにある男子寮が見えて、そこにはいつも灯りがついている部屋があった。それは、3時、4時といつまで経っても灯りが消えず、夜遅くまで他の寮生とゲームをしているのか、同じ学科で課題に追われているのか、灯りがついてないと眠れないのか、まぁだいたい色々と推測した。
その明かりは、夜中1人静かに課題している私に寄り添って応援してくれているようで救いだった。
この文章につけたタイトル
これは欅坂46の『角を曲がる』という曲の歌詞の一部で、でも当時の私にはあまり理解できなかった。1人じゃないと感じる夜がありがたかったから。
現在、別の土地で一人暮らしをしている。
寮生活に比べて制限がない一人暮らしはとても快適である。
相変わらず夜遅くまで作業作業作業の日々なんだけど、
部屋からは電気のついた窓は見えない。見えても気まずいかもしれないが。
ほんとに1人なんだなと感じる夜だ。
ある日ふと、気晴らしに散歩しようと深夜2時くらい24時間営業のスーパーまで行くと、そこには若い学生達が屯している。飲み屋が近いから遅くまで飲んで今もまだ道端で駄弁っているのだろう。私は嫌悪感を覚えた。寝たくても眠れない(不眠症ではないから眠れないは語弊か)私に対して、暇を持て余していてこの時間まで起きている人たち。
その時、先に書いた歌詞がふとよぎって、1人だと思っていたのに、彼らと同じ夜を共有していたということが嫌だったのかもしれない。こんな感情だったのかもしれないと少し理解できた気がした。
寮にいた時は灯りがあるから起きていると想像しただけで、直接見えない誰かという関係が心地よかったのかもな。
あまり気づかなくてもいい気持ちだったかなと思うけど
1人だと感じる孤独と、1人じゃないと感じる嫌悪感も
色んな夜があるんだよ、と。