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いい子でもいい女でもなく、いいやつでいたい

わたしは割といい子だったと思う。
勉強が得意だったし、学校行事には率先して取り組んでいた。
優等生タイプで聞き分けがよかったから、先生からも頼りにされていた。
中学のときはそこそこうるさかったけど、それでもやっぱり勉強ができたからいい子だったと思う。
高校に入ってからは先生に注目されるのが嫌で大人しくしていた。
学校は休みがちだったけど、制服を着崩さず、メガネをかけて授業を受けていた。
そのときのわたしもやっぱりいい子だったと思う。

大学生になってからは、いい女だと言われることが増えた。
よく気が利いて、うるさくない、いい女。
わたしの周りは、いい女と言われるような子しかいなかった。
みんな頭が良くて、可愛くて、それでいて謙虚だった。
今の時代だったらいろいろ問題になるだろうけど、当時のわたしはいい女と言われることに悪い気はしていなかった。
むしろ、いい女であることに誇りすら持っていた。

あれから10年以上経って、いい子でもいい女でもなくなったわたし。
勉強が得意でいい子だったわたしは、今では社会にうまく馴染めず、細々とフリーランスとして生きている。
愛想が良くて気が利くいい女だったわたしは、今では苛立ったときに「は?」と言い返せるくらい気が強くなった。

いい子でもいい女でもなくなったけど、わたしは今の自分が好きだ。
今のわたしは、いい子とかいい女と言われても全く嬉しくない。

でも、いいやつと言われたときは嬉しかった。
どうしてわたしのことを好きになったの?と聞いたとき、「いいやつだから」と答えた人がいた。
いい子でもいい女でもなく、いいやつと言われたのは初めての経験。
この人はわたしに恋愛感情を抱きながら、友情も感じてくれているんだと嬉しくなった。
いいやつって、すごく友達っぽいじゃない。
わたしもあなたとは親友になれると思う。

いい子のレールから外れて、いい女から脱落した先にたどり着いたのは、いいやつのわたしだった。
次は何になるんだろう。
いいやつの次って何があるのかな。
でもしばらくは、いいやつでいたい。


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