強くて弱い? イングランド代表の問題点
EUROスペシャル
遂に開幕EURO2024!!
まず最初にお届けするは、我らがスペイン代表、、、ではなくスリーライオンズ!
このチーム、強い?それとも弱い?
タレント軍団 イングランド代表
◼️セルビア戦で招じた、ビルドアップの問題
今回取り上げるは初陣のセルビア戦。vsピクシー!!
イングランドのスタメンですが、まずは見てもらいましょうか。
このネームバリューでは文句のつけようがないこのスタメンですが、ビルドアップで大きな問題を抱えることになります。
開始10分くらいで右サイドを鮮やかに崩してケインを囮に使ってベリンガムという、なんとも贅沢過ぎる先制ゴールを決めたわけですが、それ以降は勢いが続かず、まさかのセルビアに押し返されるという展開。何が起きたのかというと、
トリッピアー、ビルドアップガン無視問題
これが起きてしまった。極端な右サイドオーバーロードが生まれてしまったんですね。
もちろん、イングランドとして狙いがあって右編重のオーバーロードであるなら何の問題もありません。ですが、明らかに問題があった!!
それが後半。ピクシーはイングランド左に対する守備を捨て、右に全振り。すると途端にイングランドのビルドアップがストップする。
■1つしか作れない迂回ルート
右編重ビルドアップになってしまった理由としてはいくつかあります。
まずは左SBがトリッピアーだったということ。
トリッピアー自体には問題はないです。ただ、このメンツだと左への迂回ルートが作れない。左へ迂回が作れないとどうなるかというと、フォーデンが孤立する。
フォーデンに対しては、このファジーまでボールを動かせればあとはフォーデンならなんとかしてくれます。左に関してはここまで運べればOKなんですが、これができない。
まず、トリッピアーが右利きだということ。ただ、これに関しては起用法によってはプラスに作用することもあります。例えばアーセナルにおける冨安は内側にカットインせぇ!だからむしろ左の方が戦術的にやりやすい。でも、アーセナルの場合はなぜ左SBに右利き置いても左への迂回ルート作れるかというと、左CBにレフティーのガブリエウを置いてるからなんですよね。
戦術的にその設計があればトリッピアー左でもフォーデンへのルートを作れますが、それがそもそもない。
だけど現実は、CBがボール持ってもトリッピアーは左に張っている。そこに対するマークも付いている。CBもボランチも左利きがいないから正対してフォーデンに送り込むことは物理的に難しい。あっここ詰んだ。
だから右に向かわざるを得ない。
これに対する解決方法なら、例えばトリッピアーではなくリコ・ルイスを偽SBとして使ってCB→フォーデンへのルートを作るか、左SBにレフティを置くかの2択。だけどリコ・ルイスいないし、ルーク・ショーはケガだしでそもそもいない。それで特に工夫がなければ、僕がピクシーの立場でもここの守備は捨てますわ。守備しなくてもトリッピアーへのルートを遮断すればすべて解決だもん。
■TAAのボランチ起用問題
右オーバーロードの問題としては、これです。本職SBのTAAをイングランド代表ではボランチとして使ってます。その展開力を買っての起用ですね。
これもトリッピアーと同じで、TAAは全く悪くないです。TAAのボランチ起用だと、右への展開はスムーズになる。でもTAAを経由するということは必然的に右へしか迂回ルートを作れない。
TAAボランチ起用でイングランドが得たものもありますが、戦術的には左への迂回ルートが確立されているがセット。これがないと、バランスが全く取れない。
後半のピクシーが取ったイングランド対策に、TAAに対するプレス強度を上げて右旋回をストップさせる。
TAAに対するプレス強度が上がったことで配給元を差し押さえられたイングランドはズルズルさがることになり、ライスがより右寄りのポジショニングに、そしてベリンガムも下がらざるを得なくなり、その結果ケインまでもが孤立。
これでセルビアはラインを上げられ、ハイプレスが面白いように嵌る嵌る。
イングランドのポゼッションは時間が経てば経つほど停滞していった。
■イングランドの抱える問題の根本は?
サウスゲートが無能かと言われたら、イングランドを復活させたような人なのでそれは絶対ない。戦術と豊富すぎる選手層による最適解を見つけられていない感じがする。
例えば、ビルドアップ問題を解決するならまずはそれに適した人材を選出すべきで、今回外れたリコ・ルイスとか今季エバートンでブレイクしたブランスウェイトとかいるわけです。ベンチにもダンクはいるけど。
ただ、ストーンズを軸にしているDFラインのバランスとか、ビルドアップ重視のメンツで行くなら前線のトランジションの強度問題はどうなのかとか、ウイングに質は求められたりとかあるし。ウイングといえばグリーリッシュも外れた。
戦術的なことで言えば、右旋回がメインである理由が戦術的狙いではなく、左への迂回ルートを作ることができないという、ある意味明確な理由でやっていないので、すでに初陣にしてセルビアにわずか45分で見抜かれたことが今後の戦いにどう影響するか。イングランドが改善策を出していくのかそれとも強引に突き進むのか。なんかどっちも上手くいかない気がするんだよな。というか、今大会のサウスゲートはまさかこうなるなんて想定していなかったかのようなメンバー選考なんですよね。
今回のイングランド代表の選考はかなり手堅いというか、サウスゲートがTAAのSB起用を一切頭に考えていないところを見ると保守的な感じはする。それが「vsイングランド」に対する対策を上回れないというジレンマ。手堅いメンバー選出が今のところ負の要素として出ている。
たぶんルーク・ショーが戻って来れば今よりかはだいぶ良くなりそうだけどGL全休らしいので今大会中にトップコンディションに戻って来ることは計算しない方がいいでしょう。さて、いろいろと詰んでる感あるサウスゲートは次の手をどうしてくるのか。
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スペインよ!!お前たちは本当に優勝候補として考えていいのか!?
Thanks for watching!!