ロペテギの今! ウェストハムの現在地
取扱説明書
今季のプレミアで、個人的に注目しているチームがあります。
それがウェストハム。
なぜウェストハムなのかというと、まぁこの人ですね。
フレン・ロペテギ
一応バルサOBにして、ポルト時代にペップバイエルンをコテンパンにしてコテンパンにされ返されて、スペ代でまた一時代を築こうとしたらまさかの契約延長後にレアルと新契約結んでワールドカップ開幕前日に強制送還され、そのレアルでめっちゃ微妙に終わって3ヶ月でベルナベウを去り、再起を誓ったセビージャで1年目にしてEL制覇を成し遂げてやっぱ名将なんだなと思わせといて2022年にプレミア上陸ウルブスの監督に就任も、補強で揉めて開幕1週間前にして解任。そしてロンドンに辿り着いたスペイン人です。
個人的にロペテギは好きな監督の1人でして、それはなぜかというと、
「ファンタジスタの扱いがめっちゃ上手い」
ってことです。
現代サッカーでは絶滅種に成りつつあるファンタジスタですが、なぜ絶滅しつつあるかというと、戦術の細分化によりそのファンタジー性は省略されちゃったんですね。
ただ、ロペテギは現代サッカーの香りを残しつつ、ファンタジスタの生きる活路を作ってる!イスコやオリベル・トーレスが唯一輝いたのがロペテギの元でやってた時というのが悲しいファンタジスタの性!
さて、シャボン玉に合わせてピッチにアートを描く今のロペテギは如何に!?
THIS IS LOPETEGUI
■ウェストハムの現在地
まずは今のウェストハムから見ていきましょう。
大体こんな感じか。たまにダニー・イングスが入ったりとか、なかなかメンバーが揃わないですけど、基本フォメはこんな感じ。ミチェル・アントニオは離脱しちゃいましたが。トティボここにいたのか!!
今夏の補強の目玉であるカルロス・ソレールは、最近スタメンで出るようになった感じ。ロペテギの肝いり。そして今のウェストハムの中心はブラジル代表のルーカス・パケタ。シティに行くんじゃないかとか言われてたけど結局残った!!
誤算だったのが、これも今夏の目玉であったブンデス得点王のドイツ代表フュルクルク。ケガありとなかなかフィットせず。
ロペテギのファンタジスタの扱いが上手いといわれる所以は、個々の絶妙な配置。プレーエリアがお互い被らないように各々の役割を制限させる。
ファンタジスタに制限を設けると、大体ファンタジスタから反感を得ます。でもロペテギがやっていることは戦術的に役割を制限させているのではなく、プレーエリアの制限化。
例えば、織田信長と徳川家康、今川義元、武田信玄が同じ軍勢なら絶対強いだろ!!な~んてことはないです。彼らは武術がすごいというより、指揮を執るのが上手いのです。
ファンタジスタも同じで、ロペテギが科しているのは、指揮権のエリアを各々に設定。
ボールを持っているヤツが指揮権。これが別の選手に渡れば、
こんな感じでローテーションしていく。ここにロペテギはエリアが被らないように、ハーフスペース限定とか、パケタはここまでなら下がって受けていいぞとかのエリア規制を掛ける。
多数の指揮権を持つ人材を並べるなら、彼らに動かされる人材も必要。ロペテギが求めるのはこれです。スペイン代表時代に、1トップはジエゴ・コスタではなくU21から見てきたモラタを重視したのも、彼らファンタジスタに合わせられる黒子的役割や我を出さない柔軟性があるからです。フュルクルクを獲ったのもたぶん狙いはそれ。テクニックないけど信頼し続けているワンビサカはガンガン上下動できるし、ボーウェンなんてどんなポジションやらせてもクオリティ落ちない。ボーウェンも本来はファンタジスタ系なのかもしれないけども。
所謂「水を運ぶ」選手が重要なのですが、セビージャの末期やレアル時代の失敗もここで苦戦してたんですよね。
■ロペテギ・ボール
ファンタジスタが輝く時間こそボールポゼッションなんですが、その上で大切なのがどうビルドアップしていくか。実はロペテギの上手さはここなのかもしれません。
この前のアーセナル戦から振り返りたいんですけど、
この試合はパケタが実質のアンカー。パケタ!?
ロペテギってこういうこと普通にやるんですよ。最も失わない選手=ファンタジスタをアンカー。さすが、現役時代にクライフのもとでやってただけあります。このパケタに預けてからそこからの展開の選択肢を増やすことでパケタの能力を活かす。その受け手に
この多数のパスコース先にもファンタジスタ。受け手の配置作りが上手さがありまして、次に受けた選手にも多数のパスコースがありますよを提示する。
ファンタジスタはこの選択肢を間違わない。とんでもないところにパスを出せるからファンタジスタ。
だからこんなとんでもパスも出せちゃう。
ただ、このアーセナル戦はほとんどボールポゼッションを握られていた試合で、パケタのアンカーだと守備が決壊。ロペテギはSBに関して片上げして少なくとも後ろは3枚残してるんですね。でもそれだけで対応できるわけなくて、前半だけで4失点食らったのはだてではないですね。
つまり、ロペテギの場合はボールポゼッションできないことは死を意味するので絶対に失ってはならない。
・確実にボールを失わない選手の存在
・パスコースの充実
・パスコースの選択における確実性
ボールを持っている選手に対しては完全に自由にやらせているので、ファンタジスタとしてはやりやすいでしょうね。ペップみたいに「ここに出すんだぞ!」を徹底させてるわけではないんで。
■ポジショナルプレーに見えて統制ではない
従来のポジショナルプレーにおいて、相手のポジショニングから逆算して配置を設計するのが基本型です。
ただロペテギって、ボールホルダーからして最適な位置を元に配置作りする。どんなポジショニングしてようと、ファンタジスタならパスは通せるし、いいとこさえ走ればパスは確実に出てくるから。
ただやっぱレアルで失敗したときやセビージャの末期でも同じ光景がみられたように、支えられる選手がいないと崩壊はしますよね。それはどこでもそうなんですけど、ロペテギはそれが顕著というか、マジで勝てなくなる。戦い方が1つしかないから、この前のレスター戦みたいに、カウンターに怯えまくってレシーバーの位置が悪くてボールポゼションしてるだけに終わったりとか。
例えば、ボールホルダーに対して前方にパスコースが多いかどうかですが、カウンターにビビってSBが上がれずポゼッションができないとか。
またウェストハムのビルドアップがSBを肩上げして3バック+アンカーの4枚で回すことが多いですが、実は迂回ルートを作れていないので、プレッシングで嵌められたらキツくなる。セビージャ時代に迂回ルートとして相手プレッシングからの回避場となれたクンデが抜けた途端に崩壊したのもそうで、現状のウェストハムにはまだいない。
■ボールプレーこそがロペテギ?
トランジションに一抹の不安を抱える現状のスカッド。これだけのボールプレーヤーを抱えていればポゼッションなんて簡単でしょ?なんて上手い話はありません。奪いことができなければ当然、サッカーのルールがボール1つしかない以上ポゼッションなんてできるわけがない。今のウェストハムが抱える最大の問題点はネガトラでしょう。CF選びはロペテギにおいて最も大切であって、ここのネガトラが早くになければ守備自体が崩壊する。エンネシリはネガトラこそよかったけど得点力がなぁでしたが、セビージャの時は重宝していました。2列目のネガトラに期待はできないためです。
比較的ポゼッションは可能だろうなと思ってたレスター戦にウルブス戦も、
1度奪われるとなかなか取り返すことができない。
メンツ的に仕込むのが難しいと言えばよいでしょうか。ロペテギも、かつてのポルトでペップ・バイエルンをコテンパンにした時に絶賛されたのがトランジションです。ただ、そのトランジションを重視するならばそれなりのメンツに入れ替えなくてはならないですし、そうなると本来ロペテギがやりたいポゼッションスタイルができないジレンマ。あまりにも不安定な戦いが続いてますが、なんかロペテギだと無謀でもポゼッションを貫こうとしそう。。。
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次回は、もう年末です。恒例企画の、あの男と一緒に年越しをしようではないか!!
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