ポジショナル?ストーミング?今のバイエルンってどんなサッカー?
今のバイエルン、どんなサッカーやってるか知ってます?
ブンデスがスカパーオンリーなので、余程のファンかもしくはWOWO経由CLで観てるかのどちらかしかないですよね。
サッカー観るならば、大半の人はDAZNでしょう。プレミア観る人はSPOTVNOWかAbemaかな。プレミアは観る試合が多いですからね。それに引き換えてブンデスって、、、日本人選手多いけど、わざわざ高い金払ってでも観る人ってそんなにいないんじゃないかと。僕もそんなにブンデスを観る方ではないので最初はよく分からなかったです。
そんなこんなではありますが、今回はブンデスを代表するビッグクラブであります、バイエルンを紹介します。
This is Bayern Munchen
■そもそも、今どんなサッカーやってるの?
僕の記憶の中のバイエルンなんですが、正直に言います。アンチェロッティで終わっています。大体2018年までですね。その後はCLとか、ネットニュースくらいしか入ってこなかったのでよくわかんないです。アンチェ後はニコ・コバチで、すぐハンジ・フリックで2-8でボコられた記憶はかすかに残ってます。どこがとはあえて言わないですけど。そんでフリックがドイツ代表監督になった時から今に至るまでユリアン・ナーゲルスマンがやっているというわけですね。
バイエルンの印象というと、ロッベン&リベリーかレヴァンドフスキがバカみたいに点獲ってるサッカーという感じで、ペップの時はもろにポジショナルプレーでしたけど、アンチェからコバチですね。このあたりから変わってきた印象です。フリックの時はドイツサッカーらしくストーミングっぽさも感じましたけど、基本的にはペップの時のポジショナルプレーの香り程度は残っているのではないかじゃないんですかね。ナーゲルスマンについては、すみません、正直どんなサッカーをやるのかよく分からないです。そもそもそんなにブンデス観てないし、ナーゲルスマンがこれまで率いていたホッフェンハイムとかライプツィヒはCLでバルサと当たれば観るくらいなんで、よくわかんない。そんで、ライプツィヒ率いていたということでストーミング系のサッカーをやるのかなという先入観は持ってます。なので今回は全くのフラットな状態で観ていこうと思うのでお付き合いください。
今回は2試合見ていこうと思います。まずはブンデス第4節ボルシア・メンヒェングラートバッハ戦。板倉スゲェって評価された試合です。
■ビルドアップと前線の立ち位置
バイエルンのスタメンです。今季からリバポのマネが来てましたね。
この後、先言っちゃいますね、もう1試合がドルトムントとのデアクラシカーなんですけど、この2試合共通が前4枚がポジション関係なく入れかわりまくっている。ペップの時のような5レーンとか、サイドの幅一杯使うとかそんな場面は前4人からはそんなに感じられなかった。
バイエルンのビルドアップの基本立ち位置です。
左SBのアルフォンソ・デイビスが1人だけ高い位置に張り出して、後ろは3枚プラスでボランチが関わるみたいな。
この試合は右ウイングにコマンがいたので、大外には右コマン左デイビスで張ってますよな感じ。前4人のうちコマンがサイドなので残り3人はというと、
これはミュラーが落ちて裏に抜けだすコマンにキミッヒからフィードが通る場面です。コマンが裏に抜けるというのは、逆のデイビスと同じで決まり事にはなっているんじゃないかと思うんですけど、ミュラー、サネ、マネに関してはこの画像からも見る通り、ポジションはフリーダムです。
この後のシーンなんですけど、例えばシティとかバルサみたいなシステマチックなチームは誰がどこのポジショニングを取っているとか、細かな戦術ってあるじゃないですか。ポジショナルプレーなんですけど、この画像見る限り、前の選手、もっと言うならファイナルサードに関しては選手の質に合わせてといった形が多い。左SBのデイビスがこんなに高く上がってますからね。でサネがセカンド拾える位置に待機してるところとか。
この形、最近どこかで見たことありません?
はい、ドイツ代表です。ドイツも左SBを上げて右SBにCBタイプを置いたと。バイエルンもパバールは本職CBなので似たもんですね。デイビスはビルドアップはほとんどウイング化していて、
この陣形がバイエルンの基本形なんです。
この試合の決まり事って大体こんな感じで、前の選手は質で殴りまくれ!その舞台は他の選手で作ったる!!なんですね。確かナーゲルスマンはエコロジカルアプローチに関してなんかの研究で論文出してたような気がしたんですけど、きめ細かい作業より大胆かつ決めるところは決める、がナーゲルスマン流なのかな。
具体的な崩しって言っても、「めっちゃポジショナルぅ~」なシーンはなくて
これ、同点シーンなんですけど、キミッヒからデイビスへのフィードです。
デイビスからムシアラへ
ムシアラがターンして、同時にニャブリが走って引きつけて裏のサネ空けて
同点に追いついたわけですが、ポジショナルプレーらしさのある崩しではないんですよね。
この試合だけだとまだ掴めないので、デアクラシカーを見ていきます。
■ナーゲルスマン・バイエルンの本性
では第9節のデアクラシカー、ジグナル・イドゥナパークでのドルトムント戦です。
スタメンです。これだとよく分からないですね。
この試合のビルドアップもボルシアMG戦と変わらずで
デイビスの肩上げで後ろ3枚プラスでボランチ、この場面はゴレツカでした。
ドルトムント戦はサイドは左デイビス右は…なんて思いきやです。この画像の次のシーンなんですが
パバールがサイド、デイビスは内側に絞ってます。ボルシアMG戦では見られなかった形です。
この陣形になった理由の1つに、前の4人の組み合わせ。ボルシアMG戦はコマンが右にいたことで「じゃあ俺左♪」という感じでデイビスが左に張っていたのですが、今回はマネとサネでウイングをやっていたので、なんか、う~ん、臨機応変っていうと言語化が難しいんですけど、前4人のポジショニングに合わせてポジション変えてくみたいな。
これ見ると、後ろ6枚はキレイな形なんですけど、前4人に関してはフリーダム。サネとかもうトップ下にいるし。
一瞬、中盤空洞化して、裏狙うなり中盤使ってくなりしていくのかな、と思ってたんですけど、それもありつつ前4人が「偽9番×4」みたいなフォーメーションにしてくるので、これはドルトムント守備陣からしたらカオスでしょうよ。もちろんバイエルンからしたらいい意味でですよ。シュポ=モティングに契約延長話出てますけど、バイエルンからしたら彼ほどこの複雑化したエコロジカルアプローチな攻撃設計に合わせられるFWはいないですから当然だと。逆に今のバイエルンにレヴァンドフスキは合わないわ。
■主役は誰?
ちょっと面白い場面があったので見てみます。
右からのビルドアップですね。
パバールがインナーラップ、ムシアラが下りてくる。
ムシアラが下りて、またウパメカノへ。
そしてまたムシアラへ。近くにサネ。奥にマネも下りてきた。因みに画像に写ってないんですけど、右サイドにパバールが裏抜けしています。
ムシアラは再びウパメカノへ。
続いてパバールが下りて、裏にムシアラが抜ける。
面白かったのが、さっきも言ったんですけど主役はあくまで前4人。パバールの動きが面白くて、全てムシアラのために走っている。ムシアラのサポートで下りてきたサネとマネはあくまでボールの逃がし処としてのサポート役でして、パバールはスペースを作るために動いていた。パバールがフェードアウトしていた画像も、パバールが裏に走っていたことで手前のスペースが空いてサネとマネが下りてこれた。
今のバイエルンは相手からしたら理不尽な攻撃が多くて、前4人が気持ちよく前を向いて質で殴っていく。得点シーンもほとんどが「打った方を褒めるべき」な点が多いんですよ。でもそんな得点ばっかというのもおかしくて、それがかなり多い。そこにロジックはあるわけです。サネにマネ、ニャブリ、ムシアラ、ミュラー。この辺りがポジションフリーに伸び伸びプレーする。これこそがバイエルンの一番の勝ち筋。土台は残りメンバーで作る。あとは全て任せたよ、みたいな。
■バイエルンの「ハイブリッド・フットボール」
ペップ時代のサッカーとは大きく異なっていました。フリックの時はよく分からないんですけど、多分その時とも違うと思う。ポゼッションもできればカウンターもできる。そして前線の持ち駒が変わればそのまま攻撃カラーも変わっていくという、まさに理不尽。こういうサッカーも面白いですよね。ナーゲルスマンって戦術家なイメージがあったので、もっときめ細かいことやってるのかなと思ったんですけど、ライプツィヒとかホッフェンハイムの時はやってたかもしれないですよ。でもバイエルンではエコロジカルアプローチなサッカー。これを組織に落とし込んで機能させるというのは凄いです。いやマジで。
なんでもできる。This is Bayern。
次回予告
次は次世代スターを紹介。オサスナのアイマール・オロス。