見出し画像

バルセロナvsセビージャ:ジョアン・フェリックスの使い方/復讐のセルヒオ・ラモス

復讐


ラモス「マドリーのユニを脱いでも、許すまじきバルセロナ」

フェリックス「孫の代まで許すまじきシメオネ」




取扱説明書

■バルサにおけるジョアン・フェリックス

問題児加入する!!と8月末に実際に来たポルトガルの神童ですが、アトレティコで全くスタイルになじめず撃沈して、やっと抜けられると希望を持ってロンドンに渡ったもののチェルシーがカオスすぎてそれどころではなかった。残念。

買い取りとかそんなオプションもなかったみたいで、仮にあったとしても買い取らなかっただろうなとは思うんですけど、地獄のシメオネ塾に戻って干されること覚悟に就活して「オラ、バルサに行きたいダ!」と声に出して念願叶うという、当初は本当にwin-winなのか分からなかったですけど、結果なったんじゃないのというここまで。


フェリックスのメインポジションはトップ下ですが、バルサにはトップ下というポジションがありません。可能性があるとしたら3トップのどこかか、IHか。可能性1番高いのは左ウイングかなと思ってたんですけどそうなりました。

それはやっぱ今季の攻撃戦術の変更が大きくて、昨季であればガビちゃんがトランジション強化のために入っていただけなんですが、今季は5トップ化の対面構築化なので寧ろスッポリ当てはまった!!

で、しかもよ!左ウイングのスタートは、5トップ化したときは左ハーフスペース担当になるわけです。

「これ、オレの時代来たんちゃう?」


幸かなんなのか分かりませんが、この現行の戦術にバリ嵌ってしまったフェリックス。やっと安泰の地を見つけて挑むはアンダルシアの雄、セビージャです。



■メンディリバルの守備網と牙をむくアイツ

現在のセビージャ率いるはホセ・ルイス・メンディリバル。

すっかりおじいちゃん

メンディリバルの戦術はかなりシンプル。本人も戦術の落とし込みの際は難しい戦術用語を使わないらしく、シンプルにハイプレス&ショートカウンターを繰り返す。これだけ。だから持たされるとかなり弱く、リーガの下位クラブなんか特にやるんですけど、所謂「弱者の戦い」やられると勝てない。そのかわり戦力的に上回られると逆に強く、それが昨シーズンの残留&EL優勝に繋がっているんですね。

そんなメンディリバルに対するバルサは5トップ化の対面構築図です。「1対1×5」の構図を作り、アイソレーションできる形態を生み出す。

今クリステンセンが持ち運ぶんですが、主人公は左大外ですね。

クリステンセンが運ぶことでセビージャの2ブロックが乱れる。左ハーフスペースのガビちゃんと真ん中のレヴァンドフスキが空きます。

レヴァに入れる。ここで左ハーフスペースが空く。

ガビに来ると思ってセビージャ右SBがガビちゃんに絞る。でも狙いは更に大奥のフェリックス。

これやりたい!!
今季のバルサはこの形をやりたいです。デンベレが抜けたことで質で違いを見せつけられる選手がいなくなった。そこでフェリックスに求めたいのが、アイソレーション化においては決定的な違いを生み出してほしいということ。

そのためのビルドアップとして、前線が各々アイソレーションできる布陣を築きたいための仕組みを作る。

現状では4トップですが、相手4バックに対してそれぞれが1対1の対面構築ができています。


ラフィーニャが空いた中盤に下りてボールを受けに来る。アイソレーション出来てるのでCBを釣り出せば裏ががら空き!!と思いきや、ここでアイツが姿を現す。

2季ぶりにリーガに戻ってきたアイツがセビージャでもバルサに牙をむく!!

ラモスがプレス。ここでラフィーニャを挟める。

チェックメイト。さぁここからショートカウンター。

奪った!トップはこの時点で動き出している。

これなんですよ。メンディリバルは確かにシンプル過ぎる戦術なんですけど、このハイプレスからのシームレスなポジトラによるショートカウンター。これメッチャ嫌なんですよ。そしてメンディリバルの専売特許です。エイバル時代からずっとこれ。乾許すまじき。今は味方だけど。

ラモスの合図によって行われたこの鮮やかなショートカウンターは、対面構築化しているバルサにとって表裏一体の戦術的相性です。1対1の状況に勝てば、が対面構築化の前提条件。これに誘われたかのように1対1でやられたらバックラインはスカスカなのでショートカウンターをえらいほど喰らう。で、これはアグレッシブなスタイル信条のラモスとは相性がいいのでバルサからしたらかな~り嫌な展開です。



■対面構築化でのフェリックスの活かし方

フェリックスの活かし方についてですが、ハーランドのような決定力とフィジカル、デンベレのような圧倒的加速力といった身体能力で他を圧倒できるものはありません。しかし、テクニックや創造性では他を圧倒できるスキルを持っています。これを対面構築化で活かしたい。

この試合では右サイドのヤマルにボールを集めてセビージャでDF陣を寄せフェリックスのいる逆サイドが仕留める展開。

ここ右サイドでカンセロがキープ。ヤマルに引っ張られているセビージャは左寄りに。

カンセロがカットイン。中央のフェリックスのポジショニングは如何に。

カンセロが相手を釣る。相手CBの裏が空く。

ストライカー顔負けのプルアウェイで裏に抜けだしてクロスバーヒット。ラインブレイクができた。

この試合に関しては左ハーフスペースよりも完全に左サイドでポジショニングを取っていましたが、右サイド深くまで支配できたならスルスルっとゴール前までポジションを獲る。この瞬間ストライカーの顔となる。



フェリックスならでは

別シーン。69分。

フェリックスは左ハーフスペース。右サイドでカンセロが持つ。

裏に抜けたレヴァンドフスキに楔が出る。

レヴァの落としが浮き球に。

これは全員騙されるわ。

ハーフスペースでこのバックヒールっぽいことやられて、裏にフリーのガビちゃんがシュート打てるこの流れはフェリックスにしか作れないです。


簡単に言えば、フェリックスに求められるはこのプレーなんですけど、大外とハーフスペースの2つレーンにおける1対1×2を1人で打開すること。

「1対1×5」の内2つはフェリックスが1人で担当することで数的優位を作る。このセビージャ戦ではガビちゃんがフリーになるシーンが多かったので、早速と効果は出てきています。



■因縁と復讐の結末


本当はフェリックスに求めたかったことをヤマルがやっていて、フェリックスは別のことで新しい可能性を見つけるとは思わなかった。あとラモスドンマイ。





次回予告

フレンキー、ストーンズ、ジンチェンコ。対面構築における切り札「ラスト・パーソン」


Thanks for watching!!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?