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老猫ちゃんを看取るまでと看取ったあと日記

このメモ帳垂れ流し日記を少しだけ簡潔にしたやつです。


12月7日土曜日、老猫ちゃんが虹の橋を渡るまで

2年前の12月、家の前の駐輪場で風邪をひいてガリガリになって鳴いてたところを保護した。
「最期くらい暖かいところで過ごしてもらおう」というテーマで老猫ちゃんと家族になった。

保護した時にはもう、走れない・ジャンプできない高齢猫だった。老猫ちゃんは普段、お気に入りの場所で寝ている。(寝る場所は時期によってブームがある。)

2週間くらい前から家の中をやけにウロウロするようになった。目ヤニと鼻水も増えた。
トイレの失敗も増えた。あまりにも失敗するから、ペットシートを敷いたゲージを作った。思えばこれが、“その日”の5日前だった。ゲージに入った老猫ちゃんを見て、胸がズドンと重くなった。

“その日”の3日前に、ゲージではなくペット用おむつに変えた。トイレを失敗してしまう猫ちゃんには、ゲージよりおむつが圧倒的に良いと思った。行動を制限せずに済み、お布団で一緒に寝れるから。老猫ちゃんは多尿な方だけど、漏れることはなかった。すごい。ただ、この頃から老猫ちゃんが歩き回ることはなくなってしまった。じっとして、頭が細かく震えていた。

最後にご飯を食べたのは“その日”の2日前だったと思う。ほんの1週間前まではチキンカツをつまみ食いに来ていたのに。「人間のご飯クレクレ」してくる老猫ちゃんはすごくかわいい。


“その日”の前日には完全に排泄がなくなった。
こたつ布団の外側に密着させて、膝掛けや毛布でくるんでじわじわ暖かくして寝かせた。

ずっと寝ていた。昨日まではボーッとしてても、たまに立ち上がり、座ってることもあった。
今は、目が開いてるのか開いてないのかわからない感じで眠り続けてて、ご飯も食べないし水も飲まない。
指に水をつけて口元に持っていったけど全然反応しなかった。
昨日まで、目ヤニを拭くの嫌がってたし、撫でるとびっくりしたような反応してたのに、今日は何の反応もない。
ずっと鼻水が垂れてくるから顔の下にティッシュを置いた。
スピスピ寝ている。
たまに伸びをして動くのが、嬉しかった。
このまま逝けたらすごく穏やかだと思った。
夜は一緒に布団で寝た。

その日

朝の8時過ぎに夫に揺さぶられた。「老猫ちゃんが、安らかに、逝ってしまった」と伝えられた。
私は少し硬直したあと「はぁ〜〜、そうかぁ〜〜〜」と言って、ちょっとして涙が出てきた。
昨夜は、老猫ちゃんと添い寝して眠りに落ちた。夫が朝7時前に自分の懐に寄せた。その時は生きていた。夫が胸の中で温めてて、今気づいたら、心臓が止まってたらしい。
触ったら手とかふにゃふにゃ動いて柔らかかったから、本当に今さっきなんだと思った。あまり信じられなかった。心臓、弱くなってるだけで、まだ止まってないのでは、とかも思った。
でも大量に失禁してたから、あぁと思った。万能おむつも対応できなかった。
ご飯食べられないのとか、鼻水ずっと出てるのがかわいそうだったから、「楽になれたんだな」という気持ちがあった。苦しそうに鳴いたり暴れたりしなかったことに救われた。
猫の看取りを初めてしたけれど、かなりイージーモードでやらせてもらったと思う。
思ったより気持ちが落ち着いてたので、そのまま仕事に向かった。
昨日の方が「一緒にいてあげた方が良いのではないか」と仕事に行くのを迷っていて、仕事中もソワソワと不安に囚われていた。

定時で帰って、猫を看取った経験のある友人に、今後のことをLINEで聞いた。

看取り方、調べておいて良かったこと

老猫ちゃんは、保護した時から高齢猫だったので、1年以内にも「その時」がやってくるんじゃないかと思って、「猫の看取り方」はよく調べていた。

猫の最期は、とにかく自宅でゆっくりさせるのが良いらしい。
病院に連れて行って延命しても、高齢猫にとっては病院という慣れない環境がストレスになる。(もともと病気で治療を必要としてた場合は違ってくるかもだけど。)


頭では分かっていても、前日は何度も「本当は病院に行けばもっと生きられるんじゃないか」という考えが過ぎった。でも立てなくなった高齢猫を病院まで運ぶのは確かにかわいそうだと思った。
「老猫ちゃんは今、寿命を全うしている」と、心を正した。


あと、ご飯を食べなくなった時は無理やり食べさせてはいけない。
18歳以上のペーストご飯を最後に食べたのは2日前だったと思う。
せめて水は飲んでほしくて、指先につけた水を何度か口元まで運んだけどダメだった。口を開けさせようとしたけど、固まってて全然開かなかった。何回か試みたけど、口の周りが濡れるだけで不快だろうからやめた。


猫の看取り経験のある友人に「じんわり温めるのが良い」とアドバイスをもらったので、こたつ布団の外側に密着させて、ゆるく暖めることを徹底した。


他にも、リラックスできる音楽をかけたりアロマを炊いてあげたりする人がいるらしい。うちはやらなかったけど、猫好きはみんな良い人なんだなと思った。
こういった看取り方を調べていたのと、何より老猫ちゃんが緩やかな老衰であったのとで、ある程度落ち着いて対応できたと思う。

看取ってから

「看取り」に関しては自分なりには落ち着いて対応できたと思うけれど、実際に老猫ちゃんが虹の橋を渡った後はどうするのか漠然としていた。


そういえばペット用日光ライトをAmazonで注文していた。ショップからの購入で、3日経った今日もまだ発送されてなかったから、まずはそれをキャンセルした。


家の近くに友人の猫が眠るペット霊園があって、前からその時が来たらうちの猫も同じところがいいなぁと思っていたけれど(猫同士は面識ないのに)、そのペット霊園は火葬とか全部してくれるわけではなかった。


[地域名 ペット葬儀]などで検索して「火葬車」というのを見つけた。ペット用火葬炉が搭載されたワゴン車があって、家まで来てくれる。猫ちゃんを入れて、30〜40分後には遺骨を骨壺に入れて返してくれるサービス。希望すれば骨揚げもさせてくれる。1000円くらいで骨の入ったキーホルダーやペンダントを作ってくれるところもある。
友人も親身にアドバイスしてくれて、火葬車にお願いするとこに決めた。

ちなみに「ペット葬儀マップ」という比較サイトを参考にして、そこそこ口コミの良いところにした。サイトはこれです。

https://www.pet-farewell.net


帰ったら、朝はふにゃふにゃ動いてた手足がカチカチに固まってて、老猫ちゃんは死んでしまったんだと再確認した。しっぽだけはずっとふにゃふにゃ動いた。
Amazonの箱に、私が高校の時に使ってた膝掛け(淡いふわふわ)を敷いて、そこに硬くなった老猫ちゃんを寝かせた。他の猫2匹は、たまに箱の中を見るけど、全く気にしてない様子だった。もしかしたら動物にとっての死はそんなもんなのかもしれない。
夫が体を拭いてくれて、鼻水とかなくなってきれいになってた。
ヒゲを3本、ハサミで回収した。
遺体を傷つける行為だろうから、あまり言うべきではないのかもしれないけど。
結構かたかった。


夫が「匂いが結構する」と言った。
冬だし、匂いはお布団に沢山出たおしっこじゃないか?と思ったけど、たしかに少ししてるかもしれない。
普通、遺体は氷とかで冷やす。でも、既にこんなに冷たくなってて、しかも冬なのに氷を当てがうなんて、かわいそうで、ベランダに出しておくのも無理で、一晩は一緒にいようと思っていたけれど、夜に火葬車に来てもらうことにした。
17時半に電話して、23時になっても良ければということで、お願いした。
それまでお花を買ったり、近所で摘んできたりして過ごした。
あと、たまに箱から出して、キャットタワーの上に安置してみたりもした。他の猫からの評判が悪くてやめた。


少し早い22時過ぎに電話があって、箱に入った老猫ちゃんを連れて出た。
一応、喪服ではないけれど夫婦で黒装束にした。
ワゴン車の後ろが空いて、小さな火葬炉が現れた。初めて見る火葬車に感心した。
火葬炉の扉が開き、台が引き出されて、私の膝掛けごと(!)老猫ちゃんは乗せられた。
老猫ちゃんを花で囲んだ。夫は何か声をかけてて、私も「ありがとう」の一言くらい言いたかったけど、喉が詰まって、話しかけてるつもりが全く声が出なかった。
大きな花びら一枚、老猫ちゃんの体に乗せたらちょっと可愛くて和んだ。
老猫ちゃんは火葬炉に入れられて、扉が閉まった。
30〜40分後にまた電話しますと言って火葬車はどこかにゆっくり走って行った。
余計なことかなと思いつつ、来て下さった方へのお礼のコーヒーなどを買って、どこでうちを知りましたか?みたいなアンケート書いてたらすぐ電話が来た。


骨壺に入って、すごく小さくなった老猫ちゃんが手渡された。思わず「小さくなってる!」と言ってしまった。まだ温かかった。アンケート渡して(後から気づいたけどボールペン返すの忘れてた)、お金税込15,000円払って、老猫ちゃんを連れて帰った。あまりの小ささと硬さに、この日一番涙が出た。


それで、すぐに骨壺をあけた。
上に頭と喉仏があった。驚くほどきれいな骨で、なんだか安心した。
骨を組み立てられないだろうかみたいなのをしてたら、初めて他の猫がガン見してきた。骨をクンクンして、あろうことか咥えて遊んでしまった。遺骨を、骨壺に戻した。
骨壺と、フレームに入れたヒゲ3本をリビングの目立つところに置いた。写真は選定中。随時更新。

その後

寂しさは翌日の朝が一番すごかった。かなり寂しい。
毎日呼びまくってた名前を口にすることが減るのかなと思うと、もう寂しくて寂しくて無理。
月曜に日記をつけ始めた時は、まさか5日後に虹の橋を渡るとは思ってなかった。
厳しい年越しになるかな、とか、そんな風に思ってた。
本当に一瞬で、弱っていくというより、どんどんスローになっていく感じだった。

老猫ちゃんは生き抜いた。命を全うした。
飼主のはじめての看取りに大きなトラウマを植え付けることなく、むしろ今後も困ってる猫を保護しようという気持ちにさせてくれた。
老猫ちゃんを保護した時のテーマ「最期くらい暖かいところで過ごしてもらおう」もかなったと思う。老猫ちゃんの生き抜く姿を見守れたことに対しては穏やかな気持ちがあり、底無しの絶望みたいな状態でもない。それでもめちゃくちゃ寂しい。
家族がいなくなるのは、すごく寂しい。
老猫ちゃんこと「つもり」は1年と346日、我が家にいてくれました。私たちと家族になってくれて、ありがとう。