初めて飼い猫を看取った日記(1週間分)
12月2日月曜日
今日、夫がつもり用のゲージを手作りした。
うちには3匹の猫がいる。そのうちの1匹が年齢不詳の老猫「つもり」というキジ白のメス。
2017年12月26日に自宅前の駐輪場で保護して、もうすぐ2年。保護した時からヨボヨボで、走ったりジャンプしたりできない高齢猫。詳しい年齢や、どこで生まれてどうやって過ごしてきたのかは一切分からない。
風邪ひいてガリガリになって鳴いてたところを夫が保護した。
だから最初から覚悟はしていたけど、今日、つもり用のゲージを作ったことで、つもりの死がそんなに遠い日ではないことを強く実感してしまい、かなり動揺している。
なぜゲージを作ったかというと、最近つもりがトイレでおしっこをしなくなってしまったから。うんこはよく変なところでしてたけど、その度にトイレットペーパーで包んでトイレに流していた。
おしっこは結構つらい。うちは畳の部屋が多く、フローリングの部屋もゴザを敷いている。
正直なところ、夫婦揃って掃除に疲弊してしまった。何回かに1回はちゃんとするから、それを信じていたけど、主に掃除をする夫が、今日、ホームセンターで揃えたものでトイレシートを敷き詰めたゲージを手作りした。
つもりはだいたい部屋の決まった場所で寝ている。寝る場所は本人(猫)なりにブームがあって、いつも2箇所くらいを行き来している。
それ以外はごはんの場所とトイレくらいしか行かない。それが、最近はよく歩き回っていた。
色んなものの匂いを嗅いで、場所を確認して、はじめての場所に行ったみたいな行動をしていた。
ゲージに入ったつもりを見て、胸がズドンと重くなった。他の猫は様子を見にきても、興味なさそうにすぐどこかへ行った。
元々目ヤニは多かったけど、1ヶ月くらい前から量が増えて、顔がすぐ目ヤニだらけになるから拭いてあげた。身体から強いおしっこの匂いがしたから身体も拭いてあげた。スッキリしたつもりは、かわいい目をキョロっとさせた。つもりはすごくかわいい。
でも、この2年で確実に老いが進んでいて、遠くない未来に、死ぬ。
私は耐えられるだろうか…。耐えられる気がしない…。
目を離さずに見てられる間はゲージから出してもOKのルール。
ゲージから出たつもりは沢山歩いて、部屋のあちこちを嗅いで回った。この場所がどこか分からなくなってるのだろうか。
つもりはこの場所が住み慣れた場所でも、はじめての場所でも、自分の力の限り生きていくんだろうと思う。
つもりは毎日、自分のペースで命を全うしている。そう思うと、なんとなく底なしの絶望感が拭われた。
とにかく今日は、つもりが弱っていくのが、目に見えて分かったのがつらかった。
またつらくなったら日記を書こうと思う。
本当につらくて書けなくなるかもしれないけど、それも仕方ないと思う。
つもりは今日もかわいかった。たまに「ウナッ!」て鳴いてた。
12月3日火曜日
そういえばつもりは保護した時からよく吐いていた。でもこの数ヶ月あまり吐かなかった。調子が良いのかと思っていたけど、吐く元気もなかったのかもしれない。
ゲージから出したら速攻で布団に向かって歩いていって毛布の上でおしっこをした。
毛布は風呂場で洗った。
ごはんはあんまり食べなかった。
何時間もかけてうんこを出してた。
12月4日水曜日
朝、つもりはじっと座りながら震えていた。
ゲージの半分はこたつに入っている状態。
仕事から帰ってきたらおしっこしていたからシートを変えた。
ついでにゲージの外に出したけど、今日は歩き回らず、頭が細かく震えたままで動かなかった。触ったら体温が低くて、すぐゲージに戻して半分こたつに入れた。しばらくしてすやすやと寝始めた。
ずっとすやすやとしていて欲しい。
いつもの缶詰を食べなくなったので、ドラッグストアにちゃおちゅ〜るを買いに行った。
ちゅ〜るは15歳以上向けのものがあって、3つまとめて買うとお得だった。
私は正直「3つもいるだろうか」と思ってしまった。
18歳以上向けのカルカンのペーストご飯があったので、2つ買った。
あと、ゲージもかわいそうなのでナシ。
ペット用おむつSSSサイズを買った。
花柄で可愛らしい。
2.3キロのつもりにはぴったりだった。
おしっこも漏れないことが分かった。
毛もそんなに汚れない。
いつものように布団で一緒に寝れそう。
2日もゲージで眠らせてしまい申し訳なかった。
つもりは保護してすぐは全く懐いてくれなかった。撫でようとしても嫌がられた。他の猫とも関わらず、猫なのに1匹狼だった。
保護して2ヶ月経った頃に私たち夫婦が立て続けに体調を崩した。まず夫が寝込んで、そのとき、人間に近づかなかったつもりが一晩中枕元にいてくれた。看病してる!ってすごく笑った。その直後に私も胃腸炎で寝込み、またつもりが一晩中枕元にいてくれて笑った。この時につもりと私たちの距離が近くなって家族になった実感があった。
つもりの看病にはとても癒されたので、私もつもりがしんどい時はそばにいたい。
12月5日木曜日
朝、つもりを眺めてたら、何回も痙攣みたいになってた。目とか手先とか鼻たぶが順番にビルビルビルッて震えてた。不安になってたら、夫が「それは別に、よくそうなってるよ」と言った。
ペット用おむつは、全くもれてなかった。すごい。
夜は妹が泊まりにきた。
妹はたまたま前から来ることになってた。
妹、つもり、私で川の字で寝た。
12月6日金曜日
朝、おむつ見たけどおしっこしてなかった。
仕事から帰ってきたあともおしっこしてなかった。
こたつ布団の外側で、膝掛けや毛布でくるんでじわじわ暖かくして寝かせた。
ずっと寝ている。昨日まではボーッとしてても、たまに立ち上がり、座ってることもあった。
目は開いてるのか開いてないのかわからない感じで眠り続けてて、ご飯も食べないし水も飲まない。
指に水をつけて口元に持っていったけど全然反応しなかった。
昨日まで、目やにを拭くの嫌がってたのに、今日は何の反応もない。
昨日まで、撫でるとびっくりしたような反応してたのに、今日は何の反応もない。
ずっと鼻水が垂れてくるから顔の下にティッシュを置いた。
スピスピ寝ている。
たまに伸びをする。動いてくれると、嬉しい。
このまま逝けたらすごく穏やかだと思った。
夜は一緒に布団で寝た。
12月7日土曜日(その日)
7時半に目覚ましが鳴って、起きれずにいたら8時過ぎに夫に揺さぶられた。「つもりが、安らかに、逝ってしまった」と伝えられた。
私は少し硬直したあと「はぁ〜〜、そうかぁ〜〜〜」と言って、ちょっとして涙が出てきた。
昨夜は、つもりと添い寝して眠りに落ちた。夫が朝7時前に自分の懐に寄せた。その時は生きてた。夫が胸の中で温めてて、今気づいたら、心臓が止まってたらしい。
触ったら手とかふにゃふにゃ動いて柔らかかったから、本当に今さっきなんだと思った。あまり信じられなかった。心臓、弱くなってるだけで、まだ止まってはないのでは、とかも思った。
でも大量に失禁してたから、あぁと思った。万能おむつも対応できなかった。
ご飯食べられないのとか、鼻水ずっと出てるのがかわいそうだったから、「楽になれたんだな」という気持ちがあった。苦しそうに鳴いたり暴れたりしなかったことに救われた。
猫の看取りを初めてしたけれど、かなりイージーモードでやらせてもらったと思う。
思ったより気持ちが落ち着いてたので、そのまま仕事に向かった。
昨日の方が「一緒にいてあげた方が良いのではないか」と仕事に行くのを迷っていて、仕事中もソワソワと不安に囚われていた。
職場には愛猫家が多く、「休んでてもおかしくないよ」「無理しないでね」「3日くらい無理でも仕方ない」とたくさんの方に気遣っていただいた。
いろんな人が「猫ちゃん幸せだったよ」と言ってくれるたび、涙がにじんだ。
余談だけれど、私が入社する前、他の女性スタッフの愛猫が虹の橋を渡った時の話がやばくて、その女性は出勤するなりワンワン泣いてたらしい。皆の中で、それが猫が亡くなった人の反応のデフォルトに設定されていたので、今回の私はだいぶたくましがられた。
定時で帰って、猫を看取った経験のある友人に、今後のことをLINEで聞いた。
「看取り方」は以前から調べていたけれど「看取ったあと」のことは調べていなかった。
つもりは保護した時から老猫だったので、1年以内にも「その時」がやってくるんじゃないかと思ってよく調べていた。
猫の最期は、とにかく自宅でゆっくりさせるのが良いらしい。
病院に連れて行って延命しても、高齢猫にとっては病院という慣れない環境がストレスになる。(もともと病気で治療を必要としてた場合は違ってくるかもだけど。)
頭では分かっていても、昨日は何度も「本当は病院に行けばもっと生きられるんじゃないか」という考えが過ぎった。でも立てなくなった高齢猫を病院まで運ぶのは確かにかわいそうだと思った。
「つもりは今、寿命を全うしている」と、心を正した。
あと、ご飯を食べなくなった時は無理やり食べさせてはいけない。
18歳以上のペーストご飯を最後に食べたのは2日前だったと思う。
せめて水は飲んでほしくて、指先につけた水を何度か口元まで運んだけどダメだった。口を開けさせようとしたけど、固まってて全然開かなかった。何回か試みたけど、口の周りが濡れるだけで不快だろうからやめた。
冬だったからこたつ布団の外側に密着させて、ゆるく暖めることを徹底した。じんわり暖めるのが良いというのは、看取り経験のある友人からのアドバイスだった。ありがたい。
他にも、リラックスできる音楽をかけたりアロマを炊いてあげたりする人がいるらしい。うちはやらなかったけど、猫好きはみんな良い人なんだなと思った。
こういった看取り方を調べていたのと、何よりつもりが緩やかな老衰であったのとで、ある程度落ち着いて対応できたと思う。
しかし、実際に虹の橋を渡った後どうするかは漠然としていた。
そういえばペット用日光ライトをAmazonで注文していた。ショップからの購入で、3日経った今日もまだ発送されてなかったから、まずはそれをキャンセルした。
家の近くに友人の猫が眠るペット霊園があって、前からその時が来たらうちの猫も同じところに埋葬するのがいいなぁと思っていた(猫同士は面識ないが)。でも調べたら、そのペット霊園は火葬とか全部してくれるわけではなかった。
[地域名 ペット葬儀]などで検索して「火葬車」というのを見つけた。ペット用火葬炉が搭載されたワゴン車があって、家まで来てくれる。猫ちゃんを入れて、30〜40分後には遺骨を骨壺に入れて返してくれるサービス。希望すれば骨上げもさせてくれる。1000円くらいで骨の入ったキーホルダーやペンダントを作ってくれるところもある。
友人も親身にアドバイスしてくれて、火葬車にしようと決めて帰宅した。
ちなみに「ペット葬儀マップ」という比較サイトを利用して、そこそこ口コミの良いところにした。比較サイトはこれです。
帰ったら、朝はふにゃふにゃ動いてた手足がカチカチに固まってて、つもりは死んでしまったんだと再確認した。しっぽだけはずっとふにゃふにゃ動いた。
Amazonの箱に、私が高校の時に使ってた膝掛け(淡いふわふわ)を敷いて、そこに硬くなったつもりを寝かせた。他の猫2匹は、たまに箱の中を見るけど、全く気にしてない様子だった。もしかしたら動物にとっての死はそんなもんなのかもしれない。
夫が体を拭いてくれて、鼻水とかなくなってきれいになってた。
ヒゲを3本、ハサミで回収した。
遺体を傷つける行為だろうから、あまり言うべきではないのかもしれないけど。
結構かたかった。
夫が「匂いが結構する」と言った。
冬だし、匂いはお布団に沢山出たおしっこじゃないか?と思ったけど、たしかに少ししてるかもしれない。
普通、遺体は氷とかで冷やす。でも、既にこんなに冷たくなってて、しかも冬なのに氷を当てがうなんて、かわいそうで、ベランダに出しておくのも無理で、一晩は一緒にいようと思っていたけれど、夜に火葬車に来てもらうことにした。
17時半に電話して、23時になっても良ければということで、お願いした。
それまでお花を買ったり、近所で摘んできたりして過ごした。
あと、たまに箱から出して、キャットタワーの上に安置してみたりもした。他の猫からの評判が悪くてやめた。
少し早い22時過ぎに電話があって、箱に入ったつもりを連れて出た。
一応、喪服ではないけれど夫婦で黒装束にした。
ワゴン車の後ろが空いて、小さな火葬炉が現れた。初めて見る火葬車に感心した。
火葬炉の扉が開き、台が引き出されて、私の膝掛けごと(!)つもりは乗せられた。
つもりを花で囲んだ。夫は何か声をかけてて、私も「ありがとう」の一言くらい言いたかったけど、喉が詰まって、話しかけてるつもりが全く声が出なかった。
大きな花びら一枚、つもりの体に乗せたらちょっと可愛くて和んだ。
つもりは火葬炉に入れられて、扉が閉まった。
30〜40分後にまた電話しますと言って火葬車はどこかにゆっくり走って行った。
余計なことかなと思いつつ、来て下さった方へのお礼のコーヒーなどを買って、どこでうちを知りましたか?みたいなアンケート書いてたらすぐ電話が来た。
骨壺に入って、すごく小さくなったつもりが手渡された。思わず「小さくなってる!」と言ってしまった。まだ温かかった。アンケート渡して(後から気づいたけどボールペン返すの忘れてた)、お金税込15,000円払って、つもりを連れて帰った。あまりの小ささと硬さに、今日で一番涙が出た。
それで、すぐに骨壺をあけた。
上に頭と喉仏があった。驚くほどきれいな骨で、なんだか安心した。
骨を組み立てられないだろうかみたいなのをしてたら、初めて他の猫がガン見してきた。骨をクンクンして、あろうことか咥えて遊んでしまった。遺骨を、骨壺に戻した。
骨壺と、フレームに入れたヒゲ3本をリビングの目立つところに置いた。写真は選定中。随時更新。
つもりと毎日寝てたからかなり寂しかったけれど、夜遅かったので寝た。
12月8日日曜日
まるまるつもりがいない日、1日目。
普段はつもりが朝起こしに来てくれる。胸毛を顔に当ててふわふわさせてくる。前は鼻を噛んだりもされた。私たちはこれをメンタル攻撃と呼んでいた。
つもりがいないなら起きたくないと15時くらいまで布団で粘ったが、夫に「掃除できない」と起こされた。
寂しさは今が一番すごい。かなり寂しい。
毎日呼びまくってた「つもり」「つぅ」「つやぁ」という名前を口にすることが減るのかなと思うと、もう寂しくて寂しくて無理。
月曜に日記をつけ始めた時は、まさか5日後に虹の橋を渡るとは思ってなかった。
厳しい年越しになるかな、とか、そんな風に思ってた。
本当に一瞬で、弱っていくというより、どんどんスローになっていく感じだった。
写真を見返したら、1週間前の土曜はチキンカツをつまみ食いに来てたし、日曜は夫のギターを積極的に聴きに行ってた。本当に一瞬だった。
つもりは生き抜いた。命を全うした。
飼主のはじめての看取りに大きなトラウマを植え付けることなく、むしろ今後も困ってる猫を保護しようという気持ちにさせてくれた。
つもりを保護した時のテーマ「最期くらい暖かいところで過ごしてもらおう」もかなったと思う。つもりの生き抜く姿を見守れたことに対しては穏やかな気持ちがあり、底無しの絶望みたいな状態でもない。それでも、めちゃくちゃ寂しい。
家族がいなくなるのは、すごく寂しい。
つもりは1年と346日、我が家にいてくれました。私たちと家族になってくれて、ありがとう。
後日
12月14日土曜日
つもりが虹の橋を渡ってから1週間が経った。
あれから[ドコノコ]という犬猫ちゃん専用SNSを見つけて、私の中ですごく癒されると話題になっている。
飼主のアカウントの中に、猫ちゃんごとのフォルダが作れて(伝わるだろうか)、子猫や子犬を育ててる人はもちろん、亡くなった子の思い出を他のユーザーと振り返ることができるめっちゃ素敵なアプリなのだ。実際にペットを飼っていなくても参加できるし、街で出会った地域猫ちゃんを載せる用のフォルダもある。
そこでつもりがかわいいと褒められると、ちょっと笑ってしまう。
今日もぼんやり眺めてたら、今年の1月に虹の橋を渡った猫ちゃんが出てきた。
その子は19歳で、痩せ方とか、骨の出方とか、つもりとそっくりだった。美人なところもそっくり(!)。
前に高齢猫で検索したとき、15歳ばかりが出てきて「まだ若いな」と思った記憶があるから、多分つもりも19歳くらいだったんじゃないだろうか。もしかしたら、20歳を超えてたかもしれない。
20年前には、つもりは世界のどこかにいたのかもしれないと思うと、すごくワクワクした笑
つもりはまじで何歳だったんだろうな。。
2020年1月2日
歳が明けた。年末の大掃除で、夫がつもりの神棚を作った。私のPC机の真上に吊られている…。
つもりが食べきれなかった高齢猫用ペーストごはんを、少しずつ他の猫にあげている。猫はあまり気にせず食べている。
例のドコノコという犬猫ちゃん専用SNSで高齢猫ちゃんを見つけては、「つもりと似てる」とにこやかな気持ちになっている。
この前、つもりともう1匹の載ってる写真が放送局デビューも果たした。笑
つもりはいつも私の生活の中にいる。ドコノコでは新しいニャンちゃんワンちゃんとお友達になれて楽しい。
まだ1ヶ月も経ってないなんて不思議な気持ち。