シン・仮面ライダー未見予想 ~もしくは母から私への物語の「継承」~

私は今日これから、シン・仮面ライダーを観ようとしている。観てしまう前に、物語の全貌を知ってしまう前に、一つの予想を述べておこうと思う。

シン・仮面ライダーのプロモーションで「孤高」「信頼」「継承」の3枚のポスターが公表されたとき、私は、きっとこの映画では、1号→2号に代わったときの物語の空白を埋めようとしているのではないか。と感じた。

この文章を読んでいる人の多くはご存知かもしれない。初代仮面ライダーはテレビ放送時、アクシデントによって突然物語に出てこなくなり、いきなり2号が登場したという。

したという、と伝聞調なのは、私は初代仮面ライダーのテレビシリーズをほとんど見ていないからである。(ここから自分語りなので読みたい人だけ読んでね)

平成初頭に生まれた私は幼少期のある日、初代仮面ライダー第一話「怪奇蜘蛛男」を見させられて、そのあまりの恐ろしさに恐れ慄き、二話以降を全く見ることができなかったのであった。
そして私に第一話を見せた張本人、子供時代に仮面ライダーを浴びて育った、私の亡き母(オタク)が、突然の二号登場についてこう語っていた。

「ある日突然本郷猛が出てこなくなって、仮面ライダー2号が登場して、いったいどうしてしまったのだ、と大変混乱・心配していた」

検索すればだいたい分かる現代と違い、当時の子供が物語の作り手がどうなったか知る術はほとんどなかっただろう。後年、ずいぶんたってから、本郷猛=藤岡弘さんの怪我により、急遽2号が登場したこと、変身後の仮面ライダー(1号)も藤岡さんが演じていた、という(今から思えば信じられない)舞台裏を知り驚いたとのことであった。

中の人も藤岡弘だったのである。
(仮面の意味とは…)

この話を聞いていたので、3枚のポスターを見たとき、庵野秀明監督は、演者の怪我というアクシデントで発生してしまった物語の空白を埋めようとしているのでは、と直感的に受け取った。

庵野監督は母より2歳くらい上であるから、放映当時テレビの前で母と同じように混乱・困惑・心配をしていたと推察する。
その答えを、提示してもらえるのではないだろうか。

その期待を胸に、私はシン・仮面ライダーを観ずにうっかりあの世へ行ってしまった母の代わりに、物語を見届けに行くのである。


(ちなみに母とシン・ウルトラマンの話もあるので、そちらもそのうち書いてみたい)

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