AIパソコン
最寄り駅近くのビックカメラを訪れたら、おもちゃコーナーの前で「AIパソコン体験会」なる謎のイベントが開催されていた。ちらっと見た感じ、お客さんが絵のイメージを入力し(赤いチューリップとか)生成した画像をプリンターで印刷してプレゼントする、まあ手品見せるのと変わらない内容ぽかったが、「AIパソコン」というフレーズの…こうジョークの枠を出ない安っぽさに一周回って良さを感じてしまった。なんとなくB級映画のような味わい深さを帯びている。
「AIパソコン」に脳内を侵食されたおかげで、上の階にある書店へ移動するも全然集中できなかった(これを読んでいるアナタも同じ呪いにかかるがいい)。仕方がないのでボーっとしながらフロアをぐるぐる回っていた時、ふと最近読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の内容を思い出した。簡単に要約すると、火星から地球に逃げてきたアンドロイドたちを賞金稼ぎが追い回す話なのだけど、アンドロイド達との交流を通じて「人間」と「人間以外」の境界線を探る壮大なテーマを内包している。小説自体は1968年に出版されたが、現代の写し鏡のようでとても感慨深かった。
で、何が言いたいかというと「人間」と「AI」の境界線がより曖昧になった時、そのアウトプットを受け取る側は一切変わらない体験を得られるのだろうかと疑問に思った。「AIパソコン」が生成した絵を受け取った子供達は、その絵の作り手を重要視するのだろうか?とか(断っておくと、自分はSNSや某イラスト投稿サービスがAIイラストによって埋め尽くされている現状を快く思っていないです)。昔から問題提起されてきたことだけど、AIとの共存が進む未来を迎えるにあたって改めて「人間とは何か」という素朴な疑問がより深く問われいくのではなかろうか。おもちゃコーナーにポツンと置かれた「AIパソコン」はその端くれのように感じた。
…という話をして真面目に「人間」について考えを巡らせた人に朗報が。なんと世の中には「人間証明タイムアタック」なるものがあるらしいですよ?「私はロボットではありません」を100回押して、思う存分「人間」だと認めてもらえるみたいです。手っ取り早い解決方法ではありませんか。
うん、まごうことなきクソゲーですわ…。