アメリカ大陸を繋いできた

5年前に購入したデス・ストランディングをやっとクリアした。感無量。最近よく読んで考えていた事柄(特にネガティブ・ケイパビリティ)と嚙み合っていたので上手く咀嚼できたと思うし、デススト2を来年に控えた今このタイミングに遊べて良かったと思う。

あの世とこの世。物質と反物質。生と死。
交わることのない二極の概念にStrand(繋がり)でBridge(橋)を架けていく。UCAとヒッグスの思想が表裏一体であったように、BBを赤子(生)と装備(死)として認識できたように、二項対立的な構図に視点を置きながらどちらの極にも振れない絶妙なバランスでストーリーやキャラクターが構成されていた。その白黒ハッキリしない曖昧な状況を耐え忍ぶ中、サムが絶望に至らなかったのは「繋がり」があったからだった。見知らぬ人が設置した梯子やロープを使って山を登り、配達先のプレッパーズからいいねや感謝の言葉をもらう。世界は荒廃していて遠い未来に絶滅してしまうけど、みんなで明日を生きようと助け合って必死にもがいている。その「楽しい地獄」のような明るさがひたすらにあたたかくて、エンドロールでは思わず涙をこぼしてしまった(リチャード・ローティが語った「われわれ」を拡張するフィクションをまさにこの作品が体現したのではないか…と何となく想像している。)

「”待つ”ということは、未来を生きることなんだ」

なぜ配達をコンセプトにしたのか。
小島監督の意図を汲みとれた気がして嬉しくなった。


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