ちょっとした希望
「わたしは・・・・・。希死念慮がありましてね。」とその人は静かに言った。
「毎晩、寝る前に『あした、朝起きたら天国にいますように。』と思って床につくのです。」
朗らかなその人は私にそう言って、少し嬉しそうな表情を浮かべながら話し出した。
今朝、きのう買っておいたクロワッサンをトースターで、あぶって食べたんです。マシーンで作るインスタントのカプチーノも飲みました。
日曜のいつもの朝なんですが、
なぜかいつもより
ほんの少し
美味しく
感じたのです。
それと、起き抜けに時間を確認するのにスマホを見たのですが、その流れでなんとなく“Twitter”を開くと、広告で『ムーミンハウスをつくる』というのを目にしたのです。
それは、ムーミンに出て来るキャラクターやら、ムーミンの家の家具やらが、月に一度、家に送られて来て一つ一つ組み立てていくキットなんですがね、
2年と4ヶ月で“ハウス”が完成すると言うものだったんですよ。
わたし、こう言うの大好きでしてね、否、まだ注文はしてないんですけどね、
2年4ヶ月先の完成を勝手に想像しましたら、なんだかワクワクするって言うのか・・・・・
わたしにとっては2年4ヶ月先なんて遠い遠い未来なんでね・・・・・、
もしかしたらコレで(ムーミンハウスを完成させるまで)もう少しこの世にとどまっていようかな・・・・・とどまっていられるかな。
なんて、思ったんですよ。
と、その人は穏やかな顔で言った。
わたしはその人の話を聞いて、
『人は、希望があれば生きて行ける。ムーミンハウスを作ることでその人が死なずにすむなら、それが生きる希望に繋がるのであれば、ぜひハウスを作って欲しい』
と思った。
生きる事に息苦しさを感じると言うその人に、やはりわたしは生きて欲しいのだ。
できるならば希望の中で。
おしまい。
今日のお話しを思いついたきっかけとなった本
今日のお話しを思いついたきっかけとなった記事
それと、本日のおススメアルバム!
ピアノだけの、ペダルを踏んだ時のコトコトいう音までが
愛おしくなる優しいメロディ✨