2022 1/20 日記
コロナになった。
まさか自分が…と最初は思ったけど これだけ全国で流行していたらいつ自分がなってもおかしくないよなあ。むしろ、今までならなくて運が良かったなと思う。コロナ、と聞いたとき良く述べられる症状は必ずしも全員に出るわけではないらしく 私なんて当てはまるのは高熱とうっすらとした喉の痛みくらい。あとは腰がめちゃくちゃ痛いかな。体感、かなりキツめの風邪という感じ。これで軽症らしいので、重症の方の辛さはどれだけのものだろうと思う。誰がなるかもはやわからないご時世なので皆気をつけてくださいね。
高い熱と、痛む体と、ぼんやりした頭で イモムシのように丸まって、体が少しでも居心地が良くなる姿勢を探す。あまり体が丈夫ではないから、熱を持った体でじっと回復を待つことにはすっかり慣れている。良い慣れではないかもしれないが、慣れてるおかげでコロナと聞いた時も特に取り乱さなかった。
初めは腰の強い痛み、という私が何度か入院している半分持病みたいな病気の症状があったものだから すっかりそれだろうと思って 看護婦さんに相談し、準備して行ったほうが入院がスムーズだろうとのことなので、慣れた手つきで入院セットを整え(同じ病気でもう3〜4回は入院している)病院に向かった。ご時世がご時世なのでPCR検査とその病気の検査を同時に行える大きな病院というのはそう多くはなく、一度入院したことのある大学病院を選んだ。
割と余裕だった。体が辛くはあるけど、もっと辛い時だってあったし もっと辛くても最終的になんとかなったことを覚えていた。耐性があるので、私はこの程度ならなんとかなるなと思った。初めは自宅療養でいいだろうと思っていたくらいで、ただご時世的に自分の症状をはっきりさせておかないと人に迷惑をかけてしまうなと思ったので、病院に行くことにした。
お金がかかってしまうのが嫌だから正直入院なんてまっぴらごめんだったけど、通っている大学の制度に医療費の補助があって どうやらそこに適応されそうなので ほぼタダで入院できるぞ!と思い(わざわざ大学に電話をかけて聞いた その時すでに身体中が痛かったので 唸りながら電話をした。学生支援課の方に申し訳ないことをした。)それなら入院しちゃうか…その間家の光熱費も食費も節約できるわけだし…などと思い、入院を決めた。我ながら、ほぼお金のことしか考えていない…
でも、ほんの少し 本当に少しだけ、こんな状態になっても光熱費をケチりたくて暖房を付けずに、熱を持った自分の息が白く蒸気を上げることで部屋の寒さに気付いたり キツさよりお金を使いたくないと言う気持ちが勝る自分って 自分を良く思ってくれている人たちに対して悪いかもな。自分を労るか…みたいな気持ちになったりもした。我慢できなくはなくても正常じゃない時はあまり我慢すべきではない、自分一人なら中々思えなかったけど 最近好きな人が増えてきてそんな感じのことを思うようになった、ありがとう。
打算の心ありまくりで病院に行き、PCR検査の結果が出るまでの数時間を隔離コンテナの固いベッドの上で横たわって過ごした。(本当は検査結果が出るまでの一時帰宅を勧められたんだけど、交通費をどうしても節約したかった…だって片道、5000円以上かかるんですよ!?)蓋を開けてみたらまさかのコロナで今度は帰宅ができなくなり(当たり前な話、コロナと判明した状態で交通機関は利用できない。)保健所からの送迎車の迎えを待たねばならず、そこからさらに5、6時間固いベッドで待つ羽目になった。家に辿り着いたのは夜10時前だった。これが1番辛かったな…自宅のありがたみを思い知った。そして保健所の方々、本当にお疲れ様です…
母が死んでから病気になって寝込んだりするたびに、母親はこんなのが生ぬるく感じるような苦痛の中で死んだんだろうなと思って 辛いと思うのすら申し訳なくなる。熱が高くなるといつも 何もない空に向かって謝罪する。ごめんね、と。当然返事はないし、仮に母が生きていてもこんなのには返事をしてくれないだろうなと思う。そんなことはわかっているんだけど、熱が出るたびになんとなく謝ってしまう。
思い出したことがある。私が初めて入院したときに、母は九州から私の進学先の関西まで飛んできた。その時私は点滴されていた抗生剤の成分が体に合わなかったらしく 酷い薬疹が身体中に出て 醜いアザのようなものに塗れた自分の体を見て怯えて泣いていた。そんな私をみて母は 代わってやりたいと言ってくれた。
そんなことすっかり忘れて何年後、呼吸がいつ止まるかもわからない母に私がおんなじことを言ったとき「キツいよ、代わらんでいい」と母は短く言ったってこと 熱が出て揺れたような頭で、思い出した。
愛されていたし愛していたのにって思う。この先生きていく中で何度、後悔に 取り返しがつかなくなった時点で気付くんだろう。嫌になってくるなあと思うけど、私にしか抱えられないこの後悔を手放すのはもっと嫌だなと思う。
鎮痛剤で体が少し冷えてきた。少し寝る。
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