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恋愛が至上のものではなくなった時代に~文化系男子のための恋愛入門⑦

※この記事は文化系のためのオンラインマッチングサービス「猫Match!」の『「モテたいわけではないのだが」文化系男子のための恋愛入門/読書会&トーク』
より、トイアンナさんトークショーパートの一部を書き起こしたものです。

その⑥はこちらより


語り手:トイアンナ(作家/恋愛・就活ライター)
聞き手:あじさい(文化系恋愛アドバイザー/猫Matchマネージャー)


■本編終了後の質疑応答コーナー、その続きです


――良い問いかけをして会話を盛り上げることをうまく出来るようになるにはどうしたらいいでしょうか。習得方法等を教えていただけると嬉しいです。

やっぱり猫Match!さんとか、あるいは猫町倶楽部みたいな肩ひじ張らないコミュニティで練習を繰り返すのが一番いいと思います。じゃあ今からいきなり婚活パーティ行ってくださいなんて言われたらガッチガチになるじゃないですか。でもそうじゃなくて趣味のサークル、オンラインの対話のあるイベントとかにいっぱい参加していただいて、そこで練習して成功体験を積んで自信を持つ、それではじめて口説きたい女性に対してアプローチするっていう順番だと、階段を一歩ずつ上がるのでそれほど怖くないと思います。

――明日、マッチングアプリで出会い交際している彼女の両親に初めて挨拶します。彼女の両親にモテる方法を教えてください。

明日(笑)準備期間がもうない、まずは下調べですよね。できれば明日までですけど。まず、相手がどういう人かですよね。親って、親っていう種類の決まった敵とかではないので。親によってキャラが違うじゃないですか。だから、パートナーさんからひたすら「どういう親御さんなの? どういうものが好きなの?」って聞きまくるのめちゃくちゃ大事ですよね。で、その上で相手に攻略法を聞いた方がいいですよ。自分の親の攻略法は自分が一番知ってるものですからね。なので、パートナーさんに聞くのが一番いいと思います。

――男性のモテには暴力性が必要という説があり(あじさい補足:これ弱者男性界隈でよく話題になる話ですね)、トイアンナさんはこの説にかなり批判的なスタンスですが、この件について少し詳しく教えていただけますでしょうか。

えーっと、暴力性っていう単語自体が私はすごくふわっとした抽象的すぎる言葉だと思っていて、ある意味では賛成である意味では反対と言わざるを得ないんですね。
もう少し詳しくお話させていただくと、全てのコミュニケーションは暴力的であるっていうのがまず暴力性の話の原点にあって、例えば私がここにいらっしゃるどの方にお話させていただいても、私のせいで傷ついた人はいるかもしれない。だから、全ての対話、全てのコミュニケーションは暴力になりうる、暴力的でありうるっていうのは私はそうだよなって思っています。
で、そういった意味で男性のモテにはその暴力性が必要かって言われたら私はイエスって言います。だってコミュニケーションを取ろうとする態度がなかったらモテもへったくれもないじゃないですか、人間関係がないので。そういった意味で、ある程度の暴力性、あるいはコミュニケーションをとろうとする努力、いわゆる嫌われる覚悟っていうのもないと、コミュニケーション自体が成立しないので、モテには暴力性は必要だと思っています。
一方で、もっと上、いわゆる暴力的な話、たとえば男性はオラつかないといけない、そうしないと女性を惹きつけることは出来ないとかになってくると、下心を出せって意味ではイエスだと思うんですけど、例えば女性を従わせないといけないかっていうと、そんなことはないと思うんですよね。女性を従わせたいって主張をする男性の元には彼に従いたいって女性が集まってきがちなので、一種のSMみたいものじゃないですか。いじめたいっていう男性がいるといじめられたいって女性がやってくるので、その主張してる人はモテると思うんですよぶっちゃけていうと。主義主張がはっきりしてるので。でも、そうすると主張してる人は、やっぱりそうなんだと。女っていうのは男に従いたいものだって思っちゃうんですよ。でもそう主張してる彼からはそういうオラオラ感が嫌だなって人は離れてるので、視界に映らないっていうだけなのかなとは思っています。

――そもそも人と出会うことは暴力なのではって話を斎藤環さんがコロナ禍の最初の頃に書かれてたりしましたもんね。

そこまでいっちゃったらそれはそうでしょうっていう。全ての接触は全て人を傷つける始まり。

――先ほど都合のいい男になるなというお話がありましたが、自分が都合よく扱われているとわかっていてもサンクコストもありますし、とはいえ必要とされているので、もしかしたらという期待をもってしまい、スパッと切るのは難しいと思います。女性でもセフレ以上になれないとわかっていても関係を断ち切れないという話はよく聞きますが、こういう状況で、自分はもう脈ナシなんだと自分を納得させるにはどうしたらいいんでしょうか

脈のある別の相手を作る。

――(笑)。

その人に失望しようとしたって、夢中になってる限り無理ですよ。でも他に自分のことをもっと大事にしてくれる人が出てくると、なんだこいつみたいな。なんで俺に私に優しくしないでこんな態度をとるんだ、っていうのを客観視できるようになるので、もういいやってなるんですよ。

――なんで今まで泥水飲んでたんだろうって思いますよね

あれ、これもしかして泥水だった? 真水がすぐ近くに流れてるのに……みたいな。
という訳でデートをしたらいいと思います!

――自分にとってどういう人が合うか自分でもよくわかっていません。こういう場合、どこで見つけていけばいいんでしょうか? 自己分析が足りないんでしょうか?

これは私、女性限定の魔女のサバトっていう婚活結社、婚活相談グループをやっているんですけど、


そこで使っているメソッドが役に立つと思うのでご紹介しますね。三つのイエスっていう方法なんですけど、まず、

①自分の理想の人生は〇〇だって文章を50個作ります
②その理想を5つに絞ります
③理想の人生5つに耐えうる伴侶の条件を3つ出します

これをやると相手の条件がクリアに出ます。

――なるほど。自分の希望から相手を探るっていう。

そうです。まず相手のことを忘れて、自分が理想の人生を歩んでる時どういう状態なのかをクリアにします。
50個ってすごく大変なんですよ。最初の10個くらいはみんな書けるんですけどだんだん詰まるんですね。でも詰まった時に出てきたものが本音だったりするので無理くり書いていただいて、その理想を、絶対生き残らせるのはこれだって絞っていただく。で、さて、私が理想の人生を歩むとして、そこに耐えきれる、付き合いきれる伴侶ってどんな人って考えると、生涯の伴侶の条件が出ます。

――鉄道模型を捨てない人とかそういうことですね。

(笑)仮に理想の人生の中に「一生鉄道模型を愛している」っていうのが入っていたとしたら、鉄道模型を馬鹿にしない人が条件になってきますよね。

――これめちゃくちゃ実践的ですね。

で、伴侶の条件を3つ出すんですね。だから3つのイエスと呼んでます。3つイエスって言える条件があったらこの人と結婚しなさいと。そういう感じです。ぜひ試してみてください。

(トイアンナさんの3つのイエス)
1.劣等感を私に抱かない人
2.私をちやほやしてくれる人
3.子供がいても、いなくてもいい人

――次の質問です。一度すっかり友達になってしまった人と、恋愛として関係をやり直すことは出来るものでしょうか。その場合、どのようなアプローチ方法がおすすめですか?

理想は一回距離をおいて、友達の中でも連絡とってない方になってからやり直した方がいいと思います。完全に友達枠に入ってると、まず、そもそも〇〇さんのこと友達としか思ってなかったし、って断られやすいです。ですので、そこはちょっと一回最近連絡取ってないなくらいの仲になっておいて、デートしようよって誘う。まあデートしようよって誘うかどうかはさておき、デートっぽい場所に一緒に行くとかはすごく大事だと思いますね。

――今回の課題本は2018年に書かれたもので、世の中としてもトイアンナさんとしても当時から変化したものがあったと思います。仮に同じテーマで書くとしたら、当時から追加したかったり変わる部分があるかなどを教えていただけますでしょうか。

ふふ(笑)難しいですね。というのもコロナという不可逆的というか、想定外の出来事が起こってしまったのでそれを入れ込むかどうかでかなり変わりますよね。そもそもコロナに入ってから婚活をしてる人の人工って六割くらい減っちゃったんですよ。みなさん今日こういう恋愛の話を聞いてくださってる時点で、貴重な残った四割なんですよね。なので、そもそも結婚を諦めちゃった人がすごく多いこの世の中で、恋愛をする必要があるのかとか根本の問いが出てきちゃうと思います。
コロナ前の2018年であればある程度みんな結婚したいとは思ってるよね、その強度は様々にしても、合意がなんとなく社会にあったと思うんですけど、今ってもうその合意がない可能性があるので。結婚しなくても生きていけるためにとかそういう本の方が必要とされてるんじゃないかなとかちょっと思っちゃうんですよね。ベクトルが変わっちゃったかなとは思っています。
でもあえて今恋愛とか結婚の本を書くとしたら、残ってる四割の方ってすごく結婚したい方、結婚強度が強めな方だと思うので、本当にひたすらメソッドだったり、私集計おすすめ結婚相談所ランキングとか、実践の細かい話しちゃうんじゃないかなと思います。

――逆にもう恋愛がそんなに求められてない、至上のものじゃなくなったからこそ、恋愛をしたいっていうニーズには応えていきたいですよね。

そうですね。恋愛がいま趣味とか、嗜好品に近くなったと思うので、じゃあその嗜好品を愛するために何をやっていったらいいかって話になってくかなって思います。

――これはスタッフからの質問なんですけども、このトイアンナさんの課題本を読んだ男性からの成功体験を知っていますか?

よく私のTwitterに、おかげさまで結婚できましたみたいなのが届くんですけども、そのたびに「いや私は結婚してねーけどおめでとう」みたいな気持ちになってます(笑)。やっぱり届きます。メールでくださる方もいますし、DMの方もいます。すごく嬉しいなって思いますよ。やっぱりほっこりします。ただそれを周りに宣伝するのはちょっと嫌だなって思う自分がいて。なんか嫌じゃないですか、見ろよ私のおかげで結婚できたぜみたいな感じで出してくの(笑)。なのでいただいても別に公開することはしないでうね。でもそういうご報告は、特に募集してないんですけど年に四、五通来てます。

――人生を変えてますもんね。

ありがたいですね。

――もういくつかスタッフからの質問です。読書会での話題提供にもあったんですが、トイアンナさんにとっての理想の恋愛とは何ですか?

えー……共に生活して楽であること(笑)
そもそも私恋愛経験たぶん平均よりは多くなっちゃった方なので、ドラマティックなどうこうっていうのにはもうカロリーを使い果たしており、冷蔵庫に置いておいたら干からびてしまった人参みたいな状況なんですよ……。なので私が今望むことって、そばにいてお互いが楽であることですかね。自分だけが楽ではなくて、お互い生活の相性が合っていて、お互い不快にならないことがすごく大事だと思っていて。意外と一緒にいて不快にならない人ってすごく少ないので、そういう人を見つける旅なんだと思っています。

――デリカシーのレベルとか角度って人によってそれぞれ違いますもんね。

あとお互い限界な時どうするかもですね。

――そういうのって決められたりするんですか? お互いの限界の時にこういうサインを出すようにしようとか。

「ぶっちゃけ限界の時はどうなる?」って聞いてます。

――それ見せてきたらどうする、みたいな。

距離を置こう、とか。

――それを決めておくのは大事ですね。あともう一つ質問、Twitterに書かれていた情報からなんですが、パートナーからのプロポーズを受けた決め手って何ですか?

一緒に暮らしてて楽だから。

――やっぱりそこは理想の恋愛と繋がってるんですね。

そうですね。私もさっきの3つのイエス自分で作ったんですよ。で、それにそもそも合致してるからお付き合いしていて、それに逸れることもなかったので。

――えーと、最後に猫Match!関連の質問です。

マッチング読書会では遠距離のマッチングが割とよくあるようです。もし遠距離のマッチングになった場合、男性の、これ女性もだと思うんですけど、よいコミュニケーション、振る舞い方を教えてください。……遠距離恋愛をどうしていけばいいかってことですよね。

うーん。密に取ることですよね基本的には。普通より連絡の頻度を増やす。温度感を保つためにはいっぱい連絡をするのが大事だったり、あとはよく遠距離同士でやってるのを聞くのは、LINE通話とかを繋ぎっぱなしにして休日とかお互いそれで過ごしちゃう。ずっと囁きあってる必要はないので、そのまま同居してるかのように一緒に空間を共有する。

――大きい声で呼んだら応えてくれるくらいの距離感ってことですよね。

はい。家事やってたりする。ていうのがすごく遠距離感をなくすためには使えるかなと思いますね。

――とてもためになるお話を伺えました。
トイアンナさん、長時間本当にありがとうございました!

(イベントクロージング)


猫Match!からのお知らせ


ここまでお読みいただいてありがとうございました。
ここからはお知らせです。

10月14日(金)20時より、漫画家の松本千秋さんをゲストにお迎えして
「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記&ヤバい結果日記」/読書会&トークイベントを開催します!!


トークパートだけでもご参加いただけますが、読書会パートから参加するともっと楽しめるはず……課題本がマンガでかつ時間も少し短めなので、読書会が初めての人にもおすすめです。
著者の松本さんにも読書会で各グループを少しずつ回っていただく予定です。

また、イベントとは別にメインの定例会としてマッチング読書会を月に2~3度開催しておりますので、ぜひチェック&ご参加いただけると嬉しいです。


今後とも、どうぞよろしくお願いします。

猫Match! スタッフ一同

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