EX3話:『アボーティブ・マイグレーション』01
波の下は静かな世界
降り注ぐ、光の帯
星のような珊瑚
虹色の熱帯魚
ゆらめくイソギンチャクの森
どこまでも青い、水のとばり
助けなど来るわけがない
誰にも気づかれず、気づいたところでもう手は届かない
そこに助けがあると言うなら
それは間違いなく奇跡だろう
――11月24日、22時。
太平洋沿岸の綿津見原子力発電所を、環境保護団体アースセイバーが襲撃。警備員と交戦ののち逃走、隣にある綿津見水族館に立てこもった。
犯人は発電所に仕掛けた爆弾の解除と引き替えに国外逃亡を要求。12時間経過ののち、電力会社は膠着状態を打開するため、交渉役のエージェントを派遣した。