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人災派遣RPGリプレイ最終話『仇星、闇を駆ける時』02

●02

 翌朝。都内の某埠頭。

 朝もやのかかった桟橋に、小型のボートが停泊している。

 そこには藤村の他に、かつて見知った、三十代の背広の男と、場違いなチャイナドレスをまとった少女が待っていた。

 かつての任務で敵対した『大賢良師』、そして『轟天雷』。

 華僑系エージェントが集うMBSでも、トップに君臨するエースコンビである。


GM:「やあ、『枯れ柳』。またお会いできるとは光栄だ」背広の男は親しげに声をかける。

柳沢:「どうもどうも、『大賢良師』殿」

GM:「あ、ジャージ!相変わらず幸薄そうな顔してるナ!」とチャイナ少女。

カヤカ:「誰がジャージだゴラァ!仕事じゃなかったら知らない人のフリしてたかんな!」

秀史:「しばらくぶりだな」

GM:「おっニンジャもいるナ!相変わらず闇討ちが得意そうアルな!」

秀史:「どーいう評価だ」

カヤカ:狙撃って闇討ちに入るのか?

柳沢:まあ光属性ではないかなあ(笑)。

GM:「参加に感謝している。君たちをMBSに推薦したのは、私なんだ」

柳沢:「おやおや。かの『大賢良師』に見込んでもらえるとは、それこそ光栄なことだよ」

GM:「……君たちを推薦した理由は二つ。一つ、これから我々は、非常にデリケートな任務に従事する。民間人とはいえ、A級エージェントが参加することは、極力避けたい」

カヤカ:「A級お断り、って。あー。国と国の政治的なアレコレが絡むから、企業のカンバン背負ってるメンバーは動かせねえってことか」

GM:「そのとおり。よって、実質A級の力を持っているが、まだ公式には認知されていない君たちが、一番動かしやすい」

柳沢:我々は『A級並』扱いだったね、そういえば(苦笑)。

チシャ猫:まぁ一つの分野ならA級並、ですにゃ。総合力はまだまだだと思うけど。

紗綾:遊撃隊扱いですかね。ランク詐欺で相手が油断してる隙に暴れまくる(笑)。

カヤカ:初見殺しで使い捨てされる飛び道具じゃん!俺ら!(笑)

GM:「そして、もうひとつ。……笑わないでほしいのだが」至って大真面目に、『大賢良師』は告げる。

紗綾:なんです?

GM:「……私の占いで、『禍津神を討つべく、縁ある者が必要』と出た」

秀史:「……占術ね」

カヤカ:「禍津神、なるほどなあ……」

紗綾:「うーん、謎の説得力があります」(笑)。

チシャ猫:「悪霊が普通にいる世界、占いも馬鹿にできんにゃよ」

柳沢:「ほう、そりゃあむしろ安心できるね。僕も系統こそ違え、不可思議に類する術を修めた身なんでね」

カヤカ:「占いで結果が出た上に、俺たちにとってスッキリしねえ事情が一つかっちりハマってりゃ信じるしかねえ」

秀史:「というかそれで分かった。誰かは知らんが、向こうから俺達を指名している奴がいる」

紗綾:「でも『必要』なだけで私たちが生きて戻れる保証はないんですぅ」(笑)

GM:「現在、メルジャヒ島は『共工』が指揮する部隊の襲撃を受けている。これを撃退するため、C国は内々に鎮圧部隊を出動させる。君たちは、これに合流して島に上陸してほしい」

柳沢:「『共工』の別名は『ピラーブレイカー』だったか……。名前を地でいかなくてもいいんだけどねえ」

GM:「知っているようだな。これといった特殊能力は持たないが、作戦指揮とテロリストとしてのカリスマだけで『竜』の称号を得ている、S級エージェントだ」

カヤカ:「『竜』……!業界の化け物たち……!」

GM:「C国も精鋭部隊を送り込むはずだが、ヤツに正攻法が通じるか怪しい。君たちにも別働隊として動いてほしいのだ」

柳沢:「彼はC国軍のやり方を知り尽くしているからねえ」

カヤカ:ちょ、直接相手にするわけじゃなさそうだし(震え声)。

柳沢:「彼にとってのイレギュラーである我々の方が、寧ろ裏をかける可能性はある……と、信じたいね」

チシャ猫:「ぶっちゃけ噂通りなら、別働隊がいることは間違いなく読まれているけどにゃ」

GM:「CCCとしても、あなた達をできるだけ支援したいと思っています」と藤村くん。「直接の増援はできませんが、カヤカさんと紗綾さんに追加装備を用意しました」

カヤカ:「追加装備?」……冒頭の切り札回収ですね(笑)。

紗綾:大おじいちゃんのお友達とかです?

柳沢:怪傑Pナッツ?

チシャ猫:あれはお友達かなあ(笑)。

GM:「まず、カヤカさん。バイクは持ってきていますか?」

カヤカ:「はい、今回は持って行けるってことだったんで。修理も終わりましたぁッ!!」

秀史:前回大破したアレか。

チシャ猫:まさか、バトル○ッパーに改造!?

GM:「ええ、では、これを」と、藤村くんは一冊の本を取り出す。

カヤカ:「へ?整備マニュアルなら純正のと業界のと両方持ってますよ?」

GM:何やらボロボロのいかめしい本だね。「契約を……告げる。この車を守り給え」

柳沢:おお、乗物用エンチャントだ!

秀史:麻生さんの謹製の本か?

紗綾:ついに大おじいちゃん以外の喋る無機物が!

GM:『契約は……為された……』というと、一瞬、首なし騎士の姿が浮かび上がり……ずずず、と青黒い霊気に転じて、バイクにまとわりついて、消えた(一同爆笑)。

チシャ猫:ひぃ!

秀史:違った!ヤバい方だった!(笑)

紗綾:でろでろでろでろでーん。

チシャ猫:カヤカ の バイク は のろわれた!(笑)

カヤカ:「……えぇ……」

GM:具体的な効果は以下の通り。


●カヤカの切り札『亡霊騎士の加護』

 バイクに『亡霊騎士』が憑依し、性能が向上する。

 ・このミッションの間、下記の効力を永久に得る。
   ・荒地・悪路:踏破可能
   ・VHP+100

 ・いずれかの技能を、合計3回まで使用できる
   ・トラフィッカー判定の際に +10
   ・『突撃』使用時、ダメージ+4D
   ・イニシアティブ判定時 +100
   ・バイクが「かばう」を行う(ダメージをVHPで受ける)


カヤカ:なるほどなるほ……ど?

柳沢:イニシアティブ+100ってなんだよ(笑)。

GM:要は「ラウンド開始時、必ず最速で行動できる」とお考え下さい。

柳沢:先制してよし、盾に使ってもよし、運転しても突撃してもよしと。

チシャ猫:カヤカの追加のHPもバイクの可能性(一同笑)。

柳沢:「カヤカクンノタメナラ、ボクナンカコワレテモイインダ」

カヤカ:ぐ、グロムくーんッ!!!

柳沢:「ボク、ジャンプキノウナシ、カヤカクン、サイゴノキボウ……」(笑)。

GM:『契約に従い、汝を守護する』

紗綾:うん、仮に谷底に落ちてもぜんぜん死にそうにないですねこれ(笑)。

カヤカ:「……船の中で点検しよ……」

チシャ猫:やっぱりカヤカが無茶するたびになんか財産が破壊されたりするのかしら?

カヤカ:やだーッ!俺のPS4−ッ!(笑)

一同:PS4が壊れたらPS5を買えばいいじゃない(笑)。

カヤカ:なんでみんなハモるんだよ!(笑)

GM:費用はCCC持ちですね。君たちに借りがある『亡霊騎士』のマスターがサービスしてくれたのでお安く済むらしい。おじさんには分かるが、悪質な呪いではないようだね。

柳沢:顔見知りっちゃ顔見知りだからね。そこは心配してないさ。

カヤカ:「契約があるから下手な改造なんかよりずっと信用できるのがなあ」

チシャ猫:「正直しつこさだけは折り紙付きにゃよ」

カヤカ:「今回限りだろうけど、頼むぜ相棒」

GM:『心得た。これより我が意識は溶け……この鉄馬の意思が我が言葉となろう』

カヤカ:今回限りにして欲しいけど(笑)。

チシャ猫:カヤカはテレパス持ちだから、普通に意思疎通出来そうにゃね。

カヤカ:実は……っすねぇ。今回新スキルで『韋駄天』持ってきたんすよねぇ……!

柳沢:『韋駄天』使うと威力+2Dになるから、確定で先手を取れるのは嬉しいね。


GM:「そして、紗綾さん」

紗綾:はーい!何もらえるんです?(わくわく)

GM:「はい、これです」藤村くんはスーパーのビニール袋に入ったカップラーメン3つを渡す。

紗綾:!?

GM:そこには『MBS謹製 ぱるぷんて担々麺(インスタント)』と書かれているのであった(一同爆笑)。

秀史:商品化したんだ……!(笑)

柳沢:ひでえ!

チシャ猫:ひどいにゃ!

GM:「あと、こちらも」と、馴染み深いお茶の香りがする水筒を渡してくれる(笑)。

紗綾:オチ担当!(爆笑)

柳沢:一応紅一点でヒロイン枠なのに悪食キャラが定着しちゃってもう!

チシャ猫:もう結構お金持ってるのに!

紗綾:食べられるものは食べられるときにちゃんと食べておかないと生き残れないんですぅ!

GM:効果は以下の通り。


●紗綾の切り札『謎の担々麺とペットボトル入りのお茶』

 うさんくさいご飯を食べてパワーアップ。

 ・ラウンド開始時、ファスト前に使用できる。(手番消費なし)

 ・紗綾本人が1Dを振り、下記いずれかの効果を得る。他者には使用不可。
   ・1-2:HP+15点
   ・3-4:SP+15点
   ・5:LP-1点
   ・6:LP+2点

 ・合計3回まで。1ラウンド1回のみ使用可能。


柳沢:手番消費せずに回復できるけど、ランダムでドツボを引く可能性がある、と。

カヤカ:あの……なぜギャンブルを……??(笑)

GM:あと、3食いっぺんには食えないのでご注意。

紗綾:今回は普通の女子高生のはずだったのになあ!

一同:(今更無理があるという顔をしている)

GM:いやー、もう一つのリプレイ(柳沢のプレイヤーがGMを務める別のキャンペーン)の最終回で、今までお世話になった人達が助けに来るって演出がとても良かったので、こっちでもやりたかったのよね。でも、皆には自力で頑張って欲しいという思いもあるので、今までのミッションで縁があった人達からお助けアイテムが支給されるという構成にしました。そしたら紗綾さんは……これかな、って(一同笑)。

紗綾:出目でキャラクターが生成されていく……。

GM:怪傑Pナッツの魔剣の欠片をおじいちゃんに融合させるとかも考えたのですがねー。

柳沢:一時Pナッツになっていた落花生屋の長男が異能者に覚醒して助力に駆け付けるとか、……っていうほどキャラ描写なかったから来られても困るな(笑)。

チシャ猫:あの時の量から考えるとGIGAペヤングみたいな量ありそう。

柳沢:死にそう(笑)。

紗綾:それを手順なしで食べきる女子校生。

チシャ猫:まぁ普段の動き考えても1日5000カロリーぐらいは普通に消費してそうなんですよね、紗綾さん。

柳沢:『憑依体』だからお腹が減りやすいとかそういうことなのだろう、きっと(苦笑)。

紗綾:おおおじいちゃんにカロリー吸い上げられてる気がします(笑)。

GM:さて、駆け足で展開してきましたが、前回のミッションは先が見えずモヤモヤだったこともあり、今回は内容を明示いたします。

 ・最終クリア目標は、宇宙ステーションにいる人々の安全確保。

 ・そのために、メルジャヒ島に上陸して、襲撃をかけている部隊を撃退し、管制塔を取り戻す。

 ・そこでおそらく、前回登場したアダシなる神が敵対すると思われる。

 ・それに備えて、アダシやそれに深く関わっているであろう前回の登場人物の調査をすすめ、対策を見つける。

GM:主にこのような流れになります。ラストミッションということもあり、当然島では激戦が想定されるので、ご注意ください!

柳沢:「アダシ、か。先日の一件を天美から聞いて、気にはなっていたんだけどね」

GM:「天美さんも前回の結末には納得されていないようです。個人的にも調べ物をされていたようですが……」

紗綾:「ちなみに、なんで『共工』は宇宙ステーションを狙ってるんです?」

GM:「はい。どうやら、アダシは、己が築き上げた「リベンジ騎士団」の財力をすべて使って『共工』に作戦を依頼したようです。つまり、今回の敵はアダシ、そしてアダシの雇ったエージェントが『共工』となります」

秀史:「こんな時まで外部委託か!」

柳沢:「資料によると、『共工』は、とにかく『C国を打倒すること』を目的としたテロリストだからねえ。C国のメンツを叩き潰せるチャンスなら乗ってくるだろうさ」

紗綾:『利害一致というやつじゃな』

カヤカ:「嫌な一致団結もあったもんだわ」

柳沢:アダシと『リベンジ騎士団』の関係についても調べたいんだが、そこは調査判定を開けてからかな。

GM:ということで、ここで調査判定もオープンにします。

紗綾:さっきも言ってましたけど、船で島に行ってしまうと調査には参加できないってわけですね。

●【調査】:アダシについて

 復讐神アダシとは何だ?とにかく今わかることを調べよう。

【東京】にいるメンバーが挑戦可能。
  スカラーで判定:古代の文献にあたる
  ミスティックで判定:他の神話や伝説から類推する


●【調査】:小菅とパロカについて

『復讐神アダシ』を名乗った女、小菅とメルジャヒ人の少女、パロカ。
彼女たちはそもそも何者なのか?今一度調べてみよう

【東京】にいるメンバーが挑戦可能。
  ネゴシエートで判定:前回の関係者にヒアリング
  ビジネス、アウトサイダーで判定:公式情報を整理


●近況判定

GM:船が出向する前に、まずは近況判定お願いしまーす!

一同:うーい(気が重い)。

柳沢:では私から(ころころ)。『団欒』、家族と緊密な関係が築けている。LP+1。

一同:団欒!?

紗綾:どう考えてもこれは。

カヤカ:死亡フラグでは?

柳沢:まぁ、危機に瀕して天美との関係がいつもより緊密になってるってことだろう。

チシャ猫:多分前回の件で、天美さんがおじさんを頼ったんだと思う。

柳沢:……こういうときしか頼ってもらえないのは、少々切ないけどね。

カヤカ:こんな時にならないと近づかない家族かあ。

柳沢:おじさんはふつうには生きられない男だからねえ。

チシャ猫:本当に(能力を)信頼している証でもありますからね。

柳沢:ちょっと、そのカッコはなにー!?(笑)


チシャ猫:続いて私。(ころころ)『スランプ』、げ!

カヤカ:猫ーッ!?

チシャ猫:これマジやべぇ……。最近、仕事がうまくいっていない。最も判定値の高い〈職能〉判定-1D。

紗綾:ハッカー判定直撃ですぅ……。

GM:LPで振り直し可としますが。

チシャ猫:……んー、でも。美味しいからこのままにしましょ。調子悪いからこそ『切り札』を切ったってことで。

紗綾:そのおいしい所業が回り回ってカヤカさんに届くのですね(笑)。

柳沢:と言っても、実際猫くんのダイス数なら誤差レベルだしねぇ。


秀史:(ころころ)わーい、『激戦』。任意の〈技能〉判定一つ+1D。

柳沢:やる気まんまん。

チシャ猫:シタナガに吸われてるー!(笑)

GM:前回の師匠との戦いを経て、君の勘は研ぎ澄まされている!

秀史:カラテの高まりを感じる……。


紗綾:(ころころ)おふっ、『疑惑』。近所の人に変な目で見られている気がする(笑)。AP+4。

チシャ猫:でも、そりゃそうでしょ、としか(笑)。

カヤカ:まだ変な目で見られてなかったのって感じが(笑)。

紗綾:おとーさん、半年近く帰ってきてないですぅ。

GM:いよいよ児童相談所の人が見回りに来ている。

柳沢:納得するしかないよねえ。

一同:(頷く)


カヤカ:最後は俺(ころころ)『醜聞』、最近、仕事で悪目立ちをし過ぎている。AP+3。

秀史:悪目立ち……。

カヤカ:……いや、あの、俺は、俺は悪くねーッ!!!(爆笑)

チシャ猫:「ほら居垣さんの息子さん、いっつもバイクボロボロにしてきて。暴走族なんじゃない?怖いわー」

柳沢:「最近カヤカ君、すぐジャージぼろぼろにしてるよねー」「着替えとかないのかしら。カワイソウ!」

カヤカ:着替えてますーッ!ちゃんと修理もしてますーッ!(笑)。

秀史:前回の配信動画で写り込んでいたとか。

カヤカ:えっちょっと映り込んだだけでバレるの?こわ……。


チシャ猫:なんだろう。最終回にして近況がキャラにマッチしすぎている(笑)。

柳沢:本当だなあ(苦笑)。

GM:続いてイニシアティブをお願いします!今回は島に上陸して行動順が運命を分けます!

 イニシアティブを決定した結果、
 柳沢、チシャ猫、カヤカ、紗綾、秀史
 となった。

柳沢:おおう、まさかの初手。おじさんとは思えない速さ。

カヤカ:ひっくぃ!

チシャ猫:チシャは早めでもまぁ多分良しだにゃ。

GM:今日は第一ラウンドのファストまでということで。

一同:はーい。

GM:「……さあ、そろそろ船の時間だ。乗る人、残る人を決めてくれ」

カヤカ:「あー、つまり。盛大に厄介者どもとえんがちょしてくりゃいいんだろ」。おれは乗るぜ。

柳沢:おじさんも乗る組だね。

紗綾:『紗綾よ、カチコミは早さが勝利の鍵じゃ!』とおおおじいちゃんがノリノリなので船に乗りますぅ。

秀史:俺はパスして、東京での調査に回る。ボイザ氏と話すこともあるしな。『侵入移動』は得意なので、調査終了後に島に向かう。

チシャ猫:チシャは当然残留にゃ。アバターのぬいぐるみを船に乗せておこう。

柳沢:……さて、軍港と砂浜、どっちから行ったものかな。

GM:ここで、エリアデータが開示されます。

●メルジャヒ島 戦況図

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●軍港と砂浜の判定について

 軍港、砂浜は天候が変化する。それぞれ毎ラウンド開始時に、滞在者がダイスで決定する。

 天気が良いほど判定にペナルティ無い代わりに露出度高く、雨が強くなるほど判定にペナルティを受ける代わりに、露出度は低くなる。

『軍港』は兵士4体が道を塞いでいる。蹴散らして管制塔へ迎え!

 メインアクションで「突破」を試みることができる。
  トラフィッカー:目標値30
  イントルーダー:目標値40
 成功すると、「管制塔」に移動できる。(成功した本人+同乗者のみ)

 ・兵士を一体倒すごとに、目標値-10
  ただし次のラウンドの最後に兵士1体が補充される。

 ・ハッキングで通信妨害可能。6を上回るたび目標値-1(恒久)


『砂浜』エリアも同様に兵士3体が道を塞いでいる。蹴散らして管制塔に迎え!軍港と同じ内容だが、条件がやや異なる。

 トラフィッカー:目標値40
 イントルーダー:目標値30

 ・兵士を一体倒すごとに、目標値-15
  ただし次のラウンドの最後に兵士1体が補充される。

 ・ハッキングで通信妨害可能。8を上回るたび目標値-1(恒久)


GM:「ざっくり、軍港は守備が堅いが、道路が整備されており動きやすい。砂浜は守備が薄い代わりに道が悪い」と『大賢良師』。

秀史:「そりゃ大型船が乗り入れできる施設だからな」

GM:藤村くんも言う。「前回は二正面作戦を行いましたが、今回は戦力を一点集中したほうが良いかもしれません」

秀史:「前回とは少数の強敵を個別に排除したが、今回は無限に湧く敵兵を突破する形だからな」

紗綾:軍港の方が人数が多い分、斬り甲斐がありそうじゃのう。

柳沢:我々的には、混雑度の低い軍港で暴れた方がよさげだね。

カヤカ:こっちで派手に暴れたら二サンが砂浜からニンジャ出来るかもしれないし。

チシャ猫:軍港や管制塔を制圧して、通信設備を掌握できると助かるにゃ。
GM:では、ここからゲーム開始となります!

●第1ラウンド

●ファストアクション

 乗船を選んだ三人は、MBSのメンバーの操るボートで沖に出ていく。

 沖合で彼らを待ち受けていたのは、C国の軍艦であった。

 手際よくボートがピックアップされ、一行は艦の乗客となった。

柳沢:「今天这次请多多关照(こんにちは、このたびはよろしく)」

紗綾:「に、にーはお?」

カヤカ:「あいきゃんのっとすぴーくいんぐりーっしゅ!!」(笑)

GM:すると、何やら位が高そうな軍人が君たちを出迎える。「……ふん。『大賢良師』、彼らが君の推薦する人員かね?」「はい、大校殿。我々と彼らが、貴方がたをバックアップさせていただきます」

柳沢:『大校』、いわゆる大佐クラスということかな。

紗綾:「なんか歓迎されてない感じですぅ」

秀史:「軍艦を足代わりに使われて愉快な艦長はいない、か。どこも同じだな」

GM:「そうか。異能力者、だったか。君達に希望するのは、不確定要素の抑止と排除だ。我々正規部隊の行動には干渉しないこと。あとは好きにしたまえ」

チシャ猫:では、ポフポフとアバターが歩いていって。「チシャだにゃー、よろしくなんだにゃー船長さん」あくしゅあくしゅ。

カヤカ:「猫おま」

紗綾:フレンドリー猫さん。

GM:『大校』氏はそんな君をガン無視して。「……良師よ。あの管制塔には我が国の命運がかかっているのだぞ。よもや、こんな素性の知れぬハッカーを近づけるつもりではあるまいな?」

チシャ猫:「ふふーん、呉越同舟って四文字熟語しらないのかにゃー」

紗綾:あ、チシャさん、今回は黄色い熊の着ぐるみの方が良かったのでは?(笑)

チシャ猫:はーちみーつたーべよ(笑)。

柳沢:「ま、こちらとしては受けた依頼を果たすだけだからね」……あと、この件でしくじられると、あなたの祖国だけでなくいろいろな国に被害があるので、ね。

GM:「大校殿の作戦を邪魔するつもりはありません。ご随意に知略を駆使なされませ」「ふん。当然だ。異能力者とやらの不確定要素を排除すれば、我々が落ちぶれたテロリストごときに負けるなど、万に一つもありえん」

カヤカ:うーん見事なフラグ建築(笑)。

紗綾:軍人なんぞ辞めて建築家になったらどうじゃ?

GM:おじさんは大校氏の顔を見て気がつく。彼とよく似た顔の人が、C国の政党の大物にいた気がする。

柳沢:ははは。党幹部のご子息さんかあー。この作戦を無事成功させたらさぞ出世するんだろうねえ。

秀史:軍こそ実力主義であるべきだろうに。

紗綾:なんかこのミッション、失敗した方が世のため人のためな気がしてきましたです。

柳沢:「ただ、ひとつ忠告しておきますが、『共工』を見くびるのだけは絶対にやめたほうがよろしい。彼は、異能力者ではない。にも関わらず、異能力者を含むカウンターテロ部隊をこれまで何度も手玉にとってきた」

GM:「油断などしてはおらんさ。奴のデータは把握している。ゲリラ戦に長けたテロリストだとな。ゆえに、万全の装備を整え、奇策なく押しつぶすのだ」

柳沢:「(ぼそり)それをベトナムとアラブでやった国がどうなったか……」

GM:「妖術使いが戦の趨勢を決するのは、封神演義の世界の中だ。現実では、仮にいくばくかの超常の力があったとはいえ、戦の決着を左右することなど出来はせん」

カヤカ:超常の力とか持ってないんだよな、『共工』……。

チシャ猫:「ハッカーは現代の戦の決着を左右してるにゃよ」

GM:「我が軍には優秀なサイバー部隊がいる。フリーのハッカーの介入する余地はない」

紗綾:軌道エレベーターより先にフラグの方が成層圏に達しそうです……。

秀史:「……おっさん。忠告ってのは聞き入れる耳を持ってる奴にするもんだ」

柳沢:「いや、C国のことは責任の範囲外だからある意味どうでもいいんだけどね。……さすがのおじさんも『共工』は怖いんだよ」

 なごやかとは言い難い雰囲気のまま、船は海路を南へ。

 やがて水平線の向こうに、島が姿を表す。

 かつては森に覆われた、だが今は開発により切り開かれ、C国の管制塔がそびえ立つ要塞島、メルジャヒである。

GM:「作戦通り、軍港と砂浜より包囲殲滅する!各自、配置につけ!」……軍艦は島を包囲し、兵士たちを載せたボートが展開され……上陸作戦が開始されるのであった。

チシャ猫:「にゃんにゃーん、さすがC国軍、すごいんだにゃーん」

GM:そして、すでに島の外周を制圧している『共工』の部隊は、これを迎撃。銃火の飛び交うさなか、君たちも上陸を開始するのであった……!次回よりメインフェイズ。初手から割とガチバトルなのでよろしくだ!

カヤカ:おっしゃーこいやー!

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