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人災派遣RPGリプレイ06話『洋灰の雨に茉莉花散る』09

●カヤカのターン

カヤカ:よっしゃァ霧が開けた!いよいよ本丸、工場エリアに突撃ーッ!

GM:了解。君はアスファルトが途切れた獣道を登ってゆく……。

カヤカ:悪路だから近距離で標準だからコストなし!でも混雑度3なので登場露出で2点もらいますつらい。

GM:罠の類はない。本来、従業員たちは湖側ルートから車で工場へ通勤していた。こちらは裏道のうえ車も通りにくく、使われないうちに荒れ果ててしまったようだ。……やがて森を抜けて、工場の裏門に出た。

カヤカ:「っと、へぇ。こんな所から入れんのか。ガッコに忍び込んだ時を思い出すぜ」

天美:『軽口叩いてないで。敵の本拠地なんだから』

GM:そこで君に警告が飛ぶ。「誰だ!」「誰だ貴様!」「茉莉花グループの連中カ!」作業服に、思い思いに鉄棒やスコップをもった姿。工場を占拠しているメルジャヒ人達に間違いないだろう。

チシャ猫:「わかってたけど、一般人の壁はきついにゃぁ」

カヤカ:(少し考えて)「麓の食堂にいた女の子に言われて来たんだけど。あの子のお父さんっていますかァ」

天美:ナイス判断!

秀史:これはファインプレーだな。

チシャ猫:学生の姿でエージェントらしくないし、ある意味絶妙。

GM:「麓の子、だと!?名前を言ってみろ!」

カヤカ:おおっとしまった(笑)。

GM:あ、意地悪クイズじゃなく演出です(苦笑)。ログを読み返せばわかるし。

秀史:パロカですね(即答)。

紗綾:すっご(笑)。

チシャ猫:最近NPCどころか人の名前を覚えられない。

一同:うんうん。

GM:「パロカだと?」「じゃあボイザの……!」バタバタとやりとりがあって、「通れ」と君は工場内に通される。

カヤカ:「さて。勢いで中に入っちまったけど、こっからどうすっか」

天美:「とりあえず、メルジャヒ人の主張を確認してみて。彼らの生の主張も、要求も、何も手がかりがない状態だから」

カヤカ:「うっす」


 殺気立ったメルジャヒ研修生たちに連れられ、工場内に入るカヤカ。

 会議室に入ると、まさに動画で顔を見たメルジャヒ側の交渉メンバーにずらりと取り囲まれていた。


GM:リーダー格の男が君に言う。「俺がパロカの父親のボイザだ。娘に言われて来たと言ったな?用件を言ってみろ」

カヤカ:「星が落ちる、だってさ」

秀史:なんか適当なこと言い始めたぞ(笑)。

GM:うーん。そう来るか。ではこういう返しになるな。「星が落ちる?」「アダシ様が我らに罰を与えるというのか」「いやまさか。星が落ちるとしたら連中の方だ!」「そうだそうだ!」なにやらザワザワとさざなみのように動揺が拡がる。

天美:今日のカヤカ君、ファインプレイ連発だ。

チシャ猫:今日の?(笑)

天美:わ、悪気はないのよ?(一同笑)。

秀史:ラドンもそうだそうだと言っています(笑)。

天美:与太はさておき。アダシ様?新しい単語が出てきたわね。

GM:「お前ら落ち着け!」ドンッ、とボイザがテーブルを叩く。「あのピエロ男から聞いている。学生みたいななりをしているが、こういう一見場違いな連中こそが、交渉団の切り札だとナ。上遠野サン、……いや。茉莉花グループの連中はどこだ!?」

カヤカ:「まあ落ち着け、すぐ来るよ。だからそれまでにちょっとお話しようぜ。……星が落ちるって、どういうことなんだ?」

GM:「俺達メルジャヒの神話さ。神様……アダシ様に願をかけるんだよ。『人を騙すものは水に流され』、『人から掠め取るものの頭上には、星が落ちて一族郎党国ごと滅べ』、ってな。単なるまじないだ」

天美:むぅ、もっと詳しい話を聞きたいですね。

カヤカ:「ふぅん、つまりあんたら、星が落ちてくるようなことに心当たりがあるんだ」

秀史:あの子の思わせぶりなセリフに意味があるなら、星が落ちる、ということはかすめ取っていた者がいる、となるが。

チシャ猫:メルジャヒの伐採計画のときにこの人達が不正を働いていたとか?

GM:「いいや、ない」ここははっきりと断言する。

カヤカ:んんー?外れか。

GM:「俺達がやることは、『騙した奴ら』に『水を流す』ことさ」

紗綾:あー。もしかして。

天美:……まさか、鬼伏湖のダムを決壊させるとかそういう?

GM:せ・い・か・い♪

一同:うわーい!!

GM:ボイザは会議室の奥の扉を開け放つ。そこは廃墟、ではなく使われていないボロ倉庫。そこにいたのは、ロープを首にかけられた人質、上遠野恭輔氏だ!

カヤカ:「うっ、……わ」

天美:むむむ!

GM:「鬼伏湖の上流には貯水ダムがある。それにこの砕石用の発破を使えば……。この工場ごと何もかも水の中だ」

カヤカ:「……それ、あんたらも流されねえのか?」

GM:「そうだが?」

カヤカ:ひぇえ。

天美:うわー、論陣張りたいシーン!(笑)

紗綾:んー。なんか微妙に話がかみ合っていないですぅ。ずっと違和感がある。

天美:確かに。未だに彼らの真の目的が聞き出せてない感じ。

カヤカ:「星が落ちるのと、水に流されんの、どっちが先になるかねあんたら」

GM:君のカマかけもボイザには通用しない。「さあ、交渉団をここに呼んでこい。それがお前たちの仕事だ!」と、上遠野青年の体に手をかける。いつでも突き飛ばせるといった体勢だね。

カヤカ:「あっ……せんなよ。ゆっくりいい子で待ってろ」

GM:「ホーホーホー!そうですよCCCの準A級サン!君ももう少しそこで待っているとよろしい!」会議室に入ってきたのは、動画に写っていたあの男だ。

カヤカ:「うげ、クソピエロ!」

GM:「ンンンー。お気に入りの結界が解除されて私はとても悲しい。でもま!そういうこともあるね、チェンジマインド、ポジティブ思考!さ、君たちも大体話がわかってきたわけだし、本番を始めましょーう」

カヤカ:「てか交渉団が着かねえのはそっちが妨害してきたからで——あーもうっ!」

GM:エリア踏破により『復讐の方法』が開示されました!ここでカヤカくんのターンは一旦終了でござる。


●『復讐の方法』開示


紗綾:(熟読)結局、彼らの目的は、交渉団が工場に来たらダムを爆破して全員を押し流す、ってことですよね?

天美:わけがわかりませんね。自爆テロなの?

秀史:水に流される、って自分達も嘘をつくから罰を受けるってことか?

カヤカ:おれとしては『星が落ちる』も気になるんだが。

チシャ猫:娘さんを麓に逃してたのかもにゃ。結果論だけど、連れてきたのは正解だったにゃね。思いとどまらせる材料になるかも。

カヤカ:あ、サブで応急処置しておきます。SPを少し回復。露出が溜まって罰則、AP1蓄積です。


●天美のターン

GM:『小空母』とイニシア同値の天美さんのターン。

天美:んー、色々ツッコみたいところはありますが、まず空母を殴りましょう。『魔力の矢』はなんと『投射』なのです!

カヤカ:エネルギーダメージだから、有効のはずだけど。

チシャ猫:『海鋼馬のエージェントについて』も最後まで開けたいのだけど、手番が足りないにゃ―!

天美:【魔力制御]】、【魔力の矢】で(ころころ)命中23。LPは温存で。
GM:おけ、回避(ころころ)15でそこそこ。

天美:ふぅ、成功じゃなければとりあえずダメージ通るから、(ころころ)35!27抜け。

GM:現在は73点累積ですね。ぶっちゃけちゃいますと、撤退ラインは80点です!

天美:うーん、おしかった。

GM:では、君たちの攻撃でだいぶ凹んだ『小空母』ですが、反撃を開始!

天美:待った!ここは手番を削る意味もこめて『速攻』します!(一同笑)

カヤカ:やっちまえーっ!

天美:AP2、SP22消費して攻撃ーっ!28で命中!

GM:回避(ころころ)11、全然だめ。

天美:7D6+8で(ころころ)43!さっき出てーっ!(一同爆笑)

秀史:さっき出てれば一回で済んだというやつですね。

チシャ猫:あるある。

カヤカ:今日は『さっき出て欲しい』が多い日ですねえ。

天美:罰則判定、露見でAP+1です。


●『小空母』のターン

GM:これにて『小空母』は撃退となる。だが同時行動のため、最後に怒りのドローン部隊の空爆をぶっぱなす!!範囲攻撃で天美とシタナガに(ころころ)23の投射!

秀史:ここは確実に回避しよう。(ころころ)30、LPも乗せて……33!完全回避。

チシャ猫:んじゃ、天美にサポートを集中。今回いまいち使用する場面がない『アドヴァイス』(笑)。「天美、右斜め後方に電波死角があるにゃ!」

天美:『ありがと、猫さん!』【フラッシュムーブ】、【魔力制御】で(ころころ)、LPも1点足して、こちらも完全回避!

チシャ猫:「にゃんのにゃんの」SPを5消費。

GM:ちいーっ!!君たちは的確に移動。湖面と湖岸を爆撃がえぐりとるが、ついにその影を囚えることは叶わなかった!とほほ、まさかのA級二人で誰にもまともにダメージを負わせることが出来ないとは。

紗綾:そうならないための先手必勝ですぅ。

秀史:こちらもHPにはダメージ行っていないが、その分リソースがな!

天美:私もこのラウンドで50点近くSP使った(苦笑)。

GM:「撤退。クライアントの要求は達成。個人目標未達は致し方なし」

天美:「戦争するなら他所の国へ行ったら? この国じゃ流行らないわよ!」

チシャ猫:「ん?要求達成?」

GM:そして、ざぷーん、と音を立てて、『小空母』は水面下に沈んでいった。「情報更新。次は衛星砲を以て対応する」(一同笑)

チシャ猫:えいせいほう!?

天美:ナニイッテルノコノヒト!?

秀史:すごいですね(棒)。

GM:『今回は中ボスだから自制した。シナリオボスとして登場した時は使用する』とか言ったりしたかも知れない。

天美:メタいメタい。


●交渉団の移動

GM:最後に交渉団の移動をお願いします。

一同:北の森へ。

GM:まあそうですね。交渉団の一行は、君たちの活躍で安全が確保された北の森エリアへと移動するのであった。……ここで、イベントが発生します。

天美:むむっ。

GM:先程から配信されている『メルジャヒ人が待遇の見直しを求めている』という動画の視聴者はどんどん膨れ上がっている。ネットでは「早く交渉のテーブルにつけよ!」「会長出てこいよ!」などといった意見が飛び交っている。

カヤカ:つかせてくれよテーブルにぃ!!

GM:メルジャヒ人のリーダー、ボイザが、ウェブカメラの前で宣言する。「我々は話し合いをする準備がある!だが茉莉花側は交渉のテーブルにつくのを遅らせようとしている。とても誠意ある対応とは思えない!我々は交渉が握りつぶされることを懸念する!よって、この交渉はこのまま、生中継で配信しながら行うことを提案する!」

秀史:うわー。世間の注目はどうなっています?

GM:もちろんネットの食いつきは最高だ。義侠心に駆られた者も野次馬も、こんなイベントを見逃すものかと閲覧者数はもはや100万単位である。山の上空にはヘリとかも飛びはじめている。交渉団の車を捉えようとしているが、車が森の中に入ってしまったので追いきれない、と言ったところ。ちなみに、こんだけ負荷が集中しても配信は実にスムーズである。機材や回線の事前準備は十分のようですね。

カヤカ:どっから出てんだその金ェ!

秀史:金もそうだが、専門の知識のある人間も必要だろこれ。そんなスキルが有る人間が工場に出稼ぎに来るとも思えん。

チシャ猫:チシャは交渉団の出発時の動画をSNSの捨て垢で拡散したりがんばってるにゃ。交渉団のライブ配信も流すにゃよ。

GM:おっと、それについては君たちと交渉団のスマホに通信が入る。「ホーホーホー!それはあまり賢明な対応とは言えないなあ、数字の魔術師よ」

チシャ猫:来たか。「ふっふーん。そうかもにゃ。で、なにで遊んでくれるん?」

GM:ボイザが演説している死角で、人質の肩に親しげに手を置くピエロの姿が映し出されている。その側にはカヤカくんもいる。

カヤカ:えっじゃあ顔隠しておきます。

GM:「ご心配なく、こっちの画像はプライベートさ。君たちと、上遠野さんにだけね。この勇敢な青年のおかげで、我々のやりたいことはだいたいわかっただろう?」

天美:「行動はね。でも、因果関係がさっぱり」

GM:「だが君たちのやることはかわらない。粛々と交渉団を工場まで連れてくればいい」

カヤカ:「だからそのうち来るからおとなしく待ってろって言ってんだよ」

GM:「そう激昂しなくてもいい。一つ約束をしよう。余計なことをせず、交渉団がこのまま到着した時点で、この青年を開放することを海鋼馬公司としてCCCに約束する。悪い条件ではないと思うがね?」

秀史:「仁義を考えるならそれはただの最低条件だろうが。恩着せがましく言うな」

チシャ猫:この通信そのまま配信で流したろかい。

GM:「ホホホ!かまわないよ!ただしこの青年の肩を少し親しく叩いてしまうかも知れない」

天美:わー、ムカつく奴ね! わかってたけど!

紗綾:仁義破り上等とかひどすぎです!

GM:するとピエロ男は、意外とマジトーンで回答する。「それは我々に対し失礼極まる発言ですなあお嬢さん?」

紗綾:破る気満々じゃないですかー。

GM:「我々とて、仁義はわきまえておりますよ。これはクライアントの趣向、とだけ申し上げておきましょう。我々、本来このメンバーが揃っているなら、いくらでも最適解がありましたからなあ」

チシャ猫:「もう二人減ってるんだにゃ」

GM:「はっはっは、これは手厳しい」

チシャ猫:「これだけは言っとくんだにゃ。うちに偉そうに喋りかけてきた人たち、全員作戦失敗してるにゃ。楽しみにしているといいんだにゃーっはっはっは!」

天美:猫さんが負けたのはホテルの管理人さんだけですしね(笑)。

チシャ猫:いつかあのホテルもハッキングしちゃる(笑)。

GM:「その忠告は肝に命じておくとしましょう」 意外にもピエロのセリフは真面目だ。

カヤカ:「猫が言うと説得力がすげえわこれ」

GM:「まあ我々に敗北とかありえませんけどねギャーハッハッハッハッハハハハ!では皆々様、もうすぐ直にお会いできるかと思います。そのときには改めて『箱入りジャック』がご挨拶いたしましょう!」そう宣言すると、通信は切れた。

天美:正直、現状こちらが一方的に押してますよね(笑)。

紗綾:でも、明らかに手を抜いてますよ、あっちの人たち。

カヤカ:まあ絶対全力で挑まれたくはねえけどな。

チシャ猫:うちのチームA級に片手落ちで挑まれるの多すぎません?(苦笑)

天美:うーんやっぱりわかりません。メルジャヒの人たちに恨みがあるにせよ、上遠野さんに復讐できれば他はどーなってもいい、という行動にどうしても繋がらない。復讐はカモフラージュで、工場破壊が主目的?

紗綾:そういう「賃上げと思わせて復讐と思わせて実はビジネス」って真相もいくつか推測してるんですが、そうなると「たかがいち企業の問題にエース四人が出張ってくる」と矛盾するんですよね。

チシャ猫:さっきのやり取りで再確認したんだけど、連中、絶対有利な人質ってカードを持ってるのに、うちらに登ってくることしか要求してないにゃよね。

秀史:交渉団のライブ配信はどうする?

チシャ猫:ゲーム的には特に選択肢がないのでフレーバーかもだけど、衆目を集めておくことは重要だと思うので、配信は継続しておきたい。人質に危害が加わったらごめんねなんだけど。

天美:そのリスクを踏まえても、配信が抑制力になる、と猫さんが言うなら支持します。

カヤカ:GMが判定のチャンスさえくれれば、LP突っ込んででもなんとかするさ。


GM:さて、君たちは、隠し目標である5ラウンドより早く工場に到達しました。

カヤカ:隠し目標なんてあったんだ……。

天美:このGMは……(苦笑)。

紗綾:速攻しといて良かった(笑)。

GM:これにより、交渉団が到着するまで十分に準備を整えることができたとして、ラウンド開始時にボーナスを得る。

秀史:ほうほう。

GM:1.交渉団はファストで行動して良い。2.次のターン、ファストアクションとは別に、『治療を2回』もしくは『調査を1回』行って良い。

一同:おおー!

天美:それは嬉しい!

紗綾:助かる〜。SP回復ほしいですぅ。

チシャ猫:正直偉そうに言ってたけどリソースやばかったのにゃ。

秀史:正直俺もかなりSPまずかった。

天美:SP回復はまかせろー!(笑)

カヤカ:ダイス運が欲しい。

天美:それはどうにもならない(爆笑)。

GM:次回は交渉団が到着したとこからクライマックスです!

紗綾:色々分からないことが多いままクライマックス。

カヤカ:やきもきさせるなー!

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