人災派遣RPGリプレイ05話『かがやけ!ゆるキャラの星』02
●開会式
GM:「ええと、早速ですみませんが。皆さん、開会式へ出席をお願いします!」
カヤカ:「ああそうか、番組だもんな。って、リハとかもねーの!?」
紗綾:『ぶっつけ本番の生演出の方が、視聴者にはウケるもんじゃよ』
カヤカ:(ひそひそ)「刀のおじーちゃん妙に俗っぽいよな」
紗綾:(ひそひそ)「私が学校に行ってる間、ずっとテレビ見ているみたいですぅ」
天美:「はぁ。気は進まないけど仕事だからやることやろう」……実際のところ、この企画、負け組に引導渡す様を嗤おうっていう感じがありますよね?
秀史:ですね。カ○ジとかと似た空気はありますね。追い詰められて底辺で必死にあがく人間を見て楽しむってやつ。
カヤカ:とにかく身バレだけは死守!顔だけは死守…ッ!!
秀史:「……では行くか」
チシャ猫:「え、チシャも行かなきゃダメかにゃ?自分で言うのもなんだけど、現場混沌とするにゃよ?」
GM:「あ、スタッフの方は任意ですね。ただ、ねぎざむらいと、せんべいまるは必ず出席して下さい」
チシャ猫:「なるほど。みんな頑張ってにゃ☆」……実際、顔を死守したいのは猫も同じなので、極力競技には参加したくないにゃね。
カヤカ:「誰が着ぐるみに入るんだ?」
秀史:「カヤカは確定で、あとはどうするか」
カヤカ:「え、オレ確定なの?」
一同:(頷く)
カヤカ:「やればいいんだろ!?着ぐるみを着ればいいんだろぉ!?やってやんよ!」(爆笑)
チシャ猫:「さすが、こーいうときは頼りになるにゃぁ」
秀史:「頑張れ、おおかみケン太」(笑)。
チシャ猫:「芸人根性が染み付いているにゃね」
天美:「まぁ、状況次第では私が代わりますから、とりあえずはお願いね」
GM:「ええと、ねぎざむらい役はすみませんが紗綾さんにお願いします。サイズが小さくて、紗綾さんしか入らないのです。第一試合開始までには調整できそうなんですが」
紗綾:では私がねぎざむらいに入ります。GMから主役をやれと指名されている気がする(笑)。
カヤカ:こういう細かい調整が間に合ってないところが落ち目の原因では?
GM:「あっすみません!時間が押してますので、紗綾さんと……。じゃあ、居垣さん、お願いしますっ!」わたわたと焦る依頼人。
天美:では、私はスタッフ役で会場に。シタナガさんと猫さんは部屋でお留守番ですね。
GM:了解です。もちろん、チシャさん達も部屋のテレビで開会式は見られますからね。
●宴の始まり
準備を整え、ホテルの地下に向かった一同。
ホテルの地下には広大なスペースが設けられ、競技場となっていた。
天井には無数のライトや中継用カメラが取り付けられ、スクリーンにはスポンサーである「FOREST」のロゴが踊っている。
周囲にはぐるりと観客席が設えられ、すでに観客でびっしりと埋め尽くされていた。
会場のテンションはすでにオーバーヒート。凄まじい歓声が地下の空間にとどろき渡っていた。
GM:う お お お お お お お お お お お お !
GM:お お お お お お お お お お お!
GM:お! お! お! お! お! お! お! お! お!
紗綾:大歓声ですね!盛り上がってますぅ。
GM:「殺せーッ!!」「ぶっ殺せぇー!!」(一同爆笑)
カヤカ:「待って待って!?」
紗綾:「そっちですか!?」
チシャ猫:「ぶっ殺せーはおかしくないかにゃぁぁぁぁぁぁ!!!?」(爆笑)
天美:(唖然)
GM:「中身を観たいわ!その着ぐるみの中身をみせてちょうだい!」と貴婦人風の観客。
チシャ猫:スポンサー客だぁぁぁ!
GM:「そうだ!中の人をぶちまけて果てろ!!!」
カヤカ:「いやだァァアアア!!?」
紗綾:『中に人などおらんわ!』
秀史:「妖刀が言うなよ」
GM:「あがけ!あがけ!お前たちが苦しむ様が!どんな酒よりも俺の乾きを癒やす……ッ!!!」
天美:「まぁ、破格の賞金てあたりで多少予想はできましたけど。これは想像以上っていうか」
秀史:「着ぐるみ着てるだけのコロシアムだな」
天美:想像以上にカ○ジ(笑)。
紗綾:ニュー○ークに行きたいかー!ぐらいかと思っていたらだいぶ斜め上(笑)。
カヤカ:「くっそ、もうヤバい雰囲気しかないんだけど!!」
チシャ猫:「相変わらずCCCは仕事選ばないにゃねぇ」
GM:「誰が勝つと思う!」「そりゃおめえ、キデジカだろう!」「いいや、今年はスシガッパもすごいぞ!」「何言ってんだ、スシガッパは前回中の人が再起不能になったじゃないか!」「ああ、だから今回はもっと優秀な奴を入れたっていうぜ!!」
天美:うわぁああ、これはひどい。
カヤカ:「勝ち抜くしかないじゃんか!ちくしょうがー!!」
GM:さて、控室の皆様。スマホを持ってると、FORESTVのアプリで、この動画配信が見られるよ。
チシャ猫:チェックします。
GM:『がんばってー!』『その子が戦う姿を見たいわ!』『中の人っているのかなー★』
カヤカ:えっ。
GM:『まけないで!まけないで!君の頑張る姿が力をくれるの!!』
チシャ猫:「……なるほどにゃ」
GM:どうやら、撮影からライブ配信のわずかな間に、音声を穏当なものに自動変換しているようだね。
チシャ猫:っていうかシステムすごいな!!!
カヤカ:どこのエージェントが関わってんだ……。
紗綾:『ふん、殺伐こそ祭りの空気よ。わざわざ穏当なものにする事もなかろうて』
怒号が飛び交う中、他のゆるキャラたちも一同に介する。
皆、見たこともないようなマイナーキャラ、あるいはどこかで見たようなパチものキャラといった、微妙なゆるキャラたちばかりであった。
だが、そのいずれも、ゆるい姿とは裏腹に、ギラついたオーラを放っている。
GM:『皆様、長らくおまたせしました!!今回も司会は、我々FORESTVが務させていただきます』司会の男性が、壇上に立つ。
天美:賞金額も、番組上では500万とかそのくらいの穏当な額になってるかもですね。
GM:……男性が手をかざすと、ステージの上から、5億円……50kgの札束の塊が壇上に「ド ン ッ」!と降ってくる(爆笑)。
天美:そんなことはなかった(笑)。
紗綾:ビジュアル的にわかりやすい(笑)。
カヤカ:「すごっ」
――余計な前置きは無用です。
司会は告げる。
我々が欲しいのは、『ホンモノ』の映像です。
つまらぬ規制を取り払った世界で繰り広げられる、退けない事情を抱えた皆様の、全てを賭けた死にもの狂いの姿。
それを私たちと、ここにいる皆様、そしてネットの向こうの世界中の人々に見せつけてください。
貴方の『ホンモノ』に、我々もまたシンプルな『ホンモノ』……すなわち、多額の金銭を以て応えましょう!!
GM:お お お お お お お お!! 選手たちも観客席もヒートアップだ!!
カヤカ:「やべー連中じゃん。やべー会社じゃん」
秀史:「シンプルで実にわかりやすい」
天美:「そんな予感はしてましたけどね……」
カヤカ:「ドキュメンタリーでも作ってろよ……っ!」
紗綾:これは選ばれなかったマスコットキャラ達の熱き戦いの物語である、とか冒頭にナレーションが入りますね。
GM:『さあ、一回戦の種目の発表です!!』
紗綾:だらららららららら(ドラムロール)しゃーん!(シンバル)
GM:『一回戦は……『ゆるキャラマッスルクイズバトル!』 腕力と知恵を生かして、栄光をつかめ!!!』
カヤカ:「マッスルクイズ」(真顔)
●第一競技:マッスルクイズバトル!
概要:ゆるキャラたちによるクイズバトルだ!他のゆるキャラとの相撲に勝つと回答権が得られて、三問正解すると勝ち抜けになるぞ!
判定:①ねぎざむらいがダメージダイスを振る(命中判定は不要)
20点を超える → クイズに回答。②へ
20点以下 → ①をやり直し
②せんべい丸がクイズに答える。
達成値 3:推奨 スカラー、ビジネス、サーチャー
すべて突破 → 競技終了
突破しきれない → 目標値を5下げて、①に戻る
天美:「……あれっ!? これ私がいかなきゃならない流れ!?」
秀史:「俺パス」
GM:ざっくりゲーム的に説明しますと、一人が物理攻撃判定に成功すると回答権が得られ、もうひとりがクイズ判定に挑戦できる、というものです。
カヤカ:「物理」(真顔)
紗綾:回答権を得る手段がひどい(笑)。
GM:『知力と腕力にすぐれたコンビでなければ勝ち抜くことは困難でしょう!!もちろん、一人で挑戦しても構いませんよ!!』
カヤカ:つまりこれあれですよね。
一同:東京フレンド○ーク(一同爆笑)。
カヤカ:さあ走って!
チシャ猫:最近の若い子はわからないぞ!
カヤカ:ぱーじぇーろ!ぱーじぇーろ!
秀史:カヤカがたわしを持って帰る未来しか見えない(笑)。
チシャ猫:そしてパジェロを1投目で余裕で撃ち抜いて『選ぶ』に変えられるシタナガ。
紗綾:最後はエアホッケーですね(笑)。
天美:絶対そんな甘いものじゃないと思う(笑)。
チシャ猫:風雲た○し城のやばいやつとか、サ○ケとか(笑)。
GM:『以上で開会式は終了となります。一回戦開始までしばらくお待ち下さい!!ご視聴の方はこのままFORESTVのムービーをチェケラ!!』……お疲れ様でした。これでいったん解散となります。
秀史:「この内容なら紗綾さんと天美さんかな」
天美:「はぁ(ため息)。でも実は正直、私が行った方がいいかもとは思ってたんですよね」
チシャ猫:「電脳使えるならチシャだけどにゃぁ」
紗綾:『知力(物理)は任せい!』(笑)
天美:「これだけの賞金が絡むとなると、"手段を選ばない奴"が出てくる可能性が非常に高いですし」
GM:(笑顔でさむずあっぷ)
カヤカ:「ああ、もう相手にもエージェントがいる前提ってことなのか」
天美:「依頼書にもそう書いてあったものね」
チシャ猫:「そもそも、うちらも普通の参加者に比べればチートしてる側だと思うにゃ」
天美:「着ぐるみ、バックアップ、控え。配置は熟慮したほうが良さそうですね」
チシャ猫:「ある意味、着ぐるみに隠して異能を出し物にしているとも言えるにゃね」
GM:……さて。開会式を終えた君達は、そんな相談をしつついったん部屋に戻ろうとする、のだが。
カヤカ:はい?
秀史:って、変な着ぐるみが増えたぞ(笑)。
GM、妙なピーナッツの顔に人間の胴体がついた、ゆるキャラを描いたコマをマップ上に置く。
チシャ猫:本当に変だにゃ(笑)。
カヤカ:なんて悲しい目をしているんだ(適当)。
GM:こちらは千葉のゆるキャラ「Pマン」をモデルにさせていただきました。千葉のゆるキャラ一位に輝いたこともあるメジャーキャラなんですよ―。
紗綾:猫マーク2さん?
チシャ猫:一緒にするなにゃん☆(笑)
GM:……変なゆるキャラが、ねぎざむらいこと、紗綾さんに近づいてくるね。
紗綾:「なんでしょう?」
GM:すっとぼけた表情の着ぐるみなのだが、腰に剣を佩いている。……ちなみに、大おじいちゃんはどうなってます?
紗綾:ねぎざむらいの元々の刀と取り替えて、持ち込んでいますー。
カヤカ:取り替えてるんだ!?真剣に!?
紗綾:鞘に入ってれば見た目は一緒ですぅ。
チシャ猫:何でもありだにゃぁ。
GM:(そのために侍のゆるキャラにしたのだから、そうでなくては困る)……妙な着ぐるみは、君の脇をすっと通り抜けるんですがね。
紗綾:はあ。
GM:……すれ違いざまに、自分の鞘を、おじいちゃんの鞘にカツン、と当てます。
一同:(ざわっ)それは……!
天美:鞘当てだぁーーーーっ!?
鞘当て。
武士と武士がすれ違うときに、鞘と鞘が当たってしまうこと。
非常に無礼な行為であり、口論から刃傷沙汰に発展することもしばしばあった。
鞘当てを防ぐため、武士たちは道の左側を通行するようになり、現在の日本の車道が左側通行なのはこの名残とも言われる。
そして、故意に鞘を当てる行為が意味することは……。
カヤカ:喧嘩売られてるゥーーッ!!?
GM:そしてすれ違いざまに、ねぎざむらい……紗綾にだけ聞こえるように、こう呟く。「フン。なまくらか」
天美:ウワー!?
秀史:……やりやがった。
紗綾:『――紗綾よ、斬れ』
「大おじいちゃんはなまくらなんかじゃないですぅっ!」
刀に意志を預けるまでもなく、紗綾は振り返りざまに鯉口を切る。しかし――
GM:はい、ご想像の通り。君が振り向いたときには、すでに着ぐるみの姿は、いつの間にか間合いの外に出ていたのであった……。
紗綾:「……」
カヤカ:っかしいなあ。今回の任務はゆるキャラグランプリのはずだよなあ!?
天美:今日のGMからは、紗綾さんに好きなだけ暴れて頂くという気概を感じます!(笑)
GM:そしてその後ろを、「ちょ、ちょっと待ちなさい、怪傑Pナッツ!」と、そのゆるキャラのマネージャーらしき女性が後を追いかけてゆく。
カヤカ:かいけつぴーなっつ……。
紗綾:『……ほう。貴様の墓標に刻む名、然と覚えたぞ』
チシャ猫:墓標に『怪傑Pナッツ ここに眠る』はきついなぁ(笑)。
GM:そして、そんなマネージャーに、「あ、あれ、あなたもしかして、花生ちゃん?」と声を賭けたのは、君たちの依頼人だ。
秀史:「知り合いか」
GM:「桐乃ちゃん……!貴方もこのグランプリに参加していたの!?」とマネージャーさん。
カヤカ:なんか因縁始まった……。
紗綾:百合的な何かを感じる。
「……ごめんなさい、悪いことは言わない、棄権することね」
年若い女性マネージャーが、一同を見据えて言う。
「今回の大会は、私達、『小見川落花生』と、『怪傑Pナッツ』が優勝させてもらうわ」
そう言うと、彼女は踵を返し、怪傑Pナッツとやらを追いかけ、去っていった。
カヤカ:「ライバル出現、って感じだけど、どっちも落ち目企業の不人気ゆるキャラなんだよな」(ぼそ)
チシャ猫:落花生……。
紗綾:我々が深谷ねぎせんべいだから、埼玉VS千葉じゃないですか!『翔んで○玉』ネタか!!(笑)
GM:(笑顔でサムズアップ)以上、オープニングフェイズでした!
カヤカ:ラウンド始まってないのにお腹いっぱい感(笑)。