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親は何回子どもを泣かせてしまうものなの?
親のしつけや感情で子どもが泣くケースは日常的にある
親が子どもを叱ったり感情的になったりして、結果的に子どもを泣かせてしまう場面は珍しくありません。国際機関の調査では、世界中で2~4歳の子どもの約3/4が家庭で心理的または身体的な罰を受けていると報告されていますescap.eu。日本でも、しつけの一環で体罰(叩くなど)を経験した親は約70%にのぼり、そのうち「時々あった」と答えた親が37%いましたnews.mynavi.jp。つまり、多くの家庭で何らかの形で叱る・罰する場面があり、子どもが泣いてしまう可能性があると言えます。
さらに海外の研究では、言葉による叱責も非常に一般的です。例えばアメリカの調査では、過去1年に子どもに怒鳴った経験がある親は約90%に達し、子どもが7歳以上の家庭ではほぼ100%の親が怒鳴ったことがあると報告されていますlisakadane.com。このように、日本でも海外でも、多くの親が感情的になったりしつけのために子どもを叱ることがあり、その際に子どもが泣いてしまう頻度は決して低くありません。
年齢による子どもの「泣きやすさ」の違い
乳幼児(赤ちゃん)期は泣く頻度が特に高い時期です。赤ちゃんは言葉で訴えられないため、空腹・眠気・不快感など様々な理由で泣きます。研究によれば、生後まもない赤ちゃんは1日平均約2時間泣き、6週目頃に1日2時間15分程度でピークに達し、その後は徐々に減少、12週(生後3か月)で約1時間10分になるそうですsciencedaily.com。また泣く頻度には国による差もあり、イギリスやカナダ、イタリアの赤ちゃんは比較的よく泣く一方、デンマークやドイツ、そして日本の赤ちゃんは泣く時間が少ないというデータもありますsciencedaily.com。これは育児スタイルや文化の違いが影響している可能性があります。
**幼児期(イヤイヤ期とも呼ばれる2~3歳頃)**になると、自我の芽生えにより「〇〇したい!」「〇〇は嫌!」という自己主張が増え、要求が通らないと癇癪(かんしゃく)を起こして泣くことがあります。ただし、「毎日のように大泣きする」のは実は一般的ではありません。アメリカの3~5歳児を対象にした調査では、84%の幼児が過去1か月に癇癪で泣いた経験があるものの、**毎日泣きわめく子どもは8.6%**に過ぎないという結果でしたlivescience.com。多くの子どもは時々ぐずったり泣いたりしますが、毎日何度も泣かせてしまうようなケースは少数派で、もし頻繁に起こる場合は発達上の問題が隠れている可能性もあると指摘されていますlivescience.com。
小学生くらいの年齢になると、さらに感情コントロールが発達し、日常的に泣く頻度は幼児期より減っていきます。もちろん、叱られたときや失敗したとき、友達とのトラブル・いじめなどで泣くことはありますが、年齢が上がるにつれて子ども自身が泣くのを我慢したり別の表現をすることも増えてきます。そのため、親が「泣かせてしまう」場面も幼児期ほど多くはありません。実際、ある調査によれば子どもを叱る頻度は「2~3日に1度」が21%と最多でしたが、「月に数回」や「月に1回以下」といった答えも合計で3割以上あり、全く叱らない家庭も8.4%存在しましたmeikonet.co.jp。年齢が上がるほど親も頻繁には叱らなくなる傾向がうかがえます。これは裏を返せば、小学生くらいになると毎日のように親に泣かされるケースは少なくなることを示唆しています。
子どもを泣かせた後の親の心理的影響
子どもを泣かせてしまった後、親自身も少なからず心理的なダメージや影響を受けます。多くの親は**「叱りすぎてしまった」「感情的になってしまった」と後悔し、罪悪感を抱くことがあります。ある育児関連の調査では、母親の82.4%が自分のことを「ダメなママだ…」と感じた経験があると答えていますprtimes.jp。特にその「ダメママ」と感じた瞬間の理由として最も多かったのが、「子どもに自分の感情をぶつけてしまった時」で、実に87.9%の母親が該当しましたprtimes.jp。つまり、感情的になって子どもを泣かせてしまった直後に強い罪悪感に苛まれる親が非常に多いのです。専門家も「親は叱った後に落ち込むことがあるが、それは真剣に子育てしようとしている証」と述べており、適度な反省は次に活かせるとされています。また、別の調査では86.2%の母親が理由のわからない子どもの泣きにストレスを感じたことがあると答えておりprtimes.jp、子どもの泣き声自体が親の精神的負担になることもわかっています。平均すると1日38分**程度を泣きやませに費やしているとのデータもありprtimes.jp、こうした蓄積が親の焦りやイライラにつながるようです。
もっとも、子どもを泣かせてしまった後に**「申し訳ない」と感じるのは自然な感情**であり、多くの親が通る道でもあります。大事なのはその後の対応で、専門家は「泣かせてしまったら、落ち着いてから子どもと向き合い、謝ったり気持ちを言葉にしたりしてフォローすること」を勧めています。親も完璧ではないので感情的になることはありますが、その後のフォロー次第で親子の信頼関係は十分修復できます。日々の子育てでつい子どもを泣かせてしまっても、深く思い悩みすぎず、次はどう接しようかと前向きに考える姿勢が大切だと言えるでしょう。
参考文献・調査データ: 子どもの体罰に関するセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査news.mynavi.jp、ユニセフ「A Familiar Face: Violence in the lives of children」報告書(2017年)escap.eu、乳幼児の泣きに関するウォーク教授(英ウォーリック大学)の研究sciencedaily.com
sciencedaily.com、ノースウェスタン大学による幼児期癇癪の調査livescience.com、明光義塾の子育てアンケートmeikonet.co.jp、ロッテ「子どもの泣きと育児ストレスに関する調査」prtimes.jp
prtimes.jp、ほか.