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ツイッター組長から猫組長に、そして週刊SPA!からコラム連載のオファー


「シン地政学”安倍後を読み解くマネー、オイル、暴力の新方程式」おかげさまで重版出来となりました。ありがとうございます。

組長から猫組長へ

2015年12月14日に山口組を引退した私は、金融取引の精算でドバイへ向かい、その後香港でクリスマスを迎えました。その時、香港滞在中に日本から取材に訪れたのがジャーナリストの鈴木智彦さんでした。対面での取材に初めて応じたのが鈴木智彦さんで、この時は2回目です。ツイッターのアカウント名を組長から猫組長に改名したのもこの時でした。

この頃になるとマスメディアからの接触も急激に増え、いくつかの媒体に寄稿したり、インタビュー取材に応じたりしました。対面での取材は鈴木智彦さんが一番でしたが、ツイッターを通じての接触が最も早かったのは、扶桑社の週刊SPA!です。

この頃、私がメディアに求められるのは、やはり山口組とヤクザ社会全般についてです。巷ではすでに山口組を題材とした書籍が次々と出版されていました。私にも出版のオファーが数件来ましたがお断りしました。競合他社(者)が多い分野で優位に立てるとは思えません。それに、一時的なブームに乗って出版し、アウトロー分野にイメージが固定されることは避けたかったのです。

年間に出版される書籍は7万冊

総務省統計局

2016年(平成28年)の書籍新刊点数は総数で75,039冊となっています。紙の書籍が減ってきているとは言え、今でも1年間で7万冊ほどが出版されています。この中で、アウトロー系というニッチな分野で勝負するのは合理的な戦略と言えません。あくまでも私の目標は”継続的に出版する”というものだからです。一時的なブームはすぐに去り、そこに乗る者は同時に忘れ去られるのです。

ターゲティングと提供できる価値=コンテンツは何か

それでも、私のキャリアを活かすには、デビュー作となる書籍のタイトルに山口組が入る方が良いと考えました。しかし、単純にヤクザ読み物、アウトロー系の書籍になってしまうと次の展開が難しくなります。そこで、出版のタイミングは山口組の分裂騒動に過熱感が出ている時より、やや事態が落ち着いてからの方が得策と考えました。

継続的に書籍を出版するという目標を立てた私に、新たなマーケティング戦略が必要になります。そこでどの顧客層をターゲットにできるか?、私がどんな価値を提供できるか?という基本を分析しました。競合他社(者)、同業他者といった外部環境についても徹底的にリサーチしました。新規参入で競争の激しい分野を選ぶのは避けたかったからです。一流は目指さず、二流の中辺りを狙いに行くという戦略です。

山口組時代もそうでした。レベルの高い一流と言われる組織で活躍する実力など持ち合わせていません。山口組で言えば、山健組や弘道会など主流派組織で幹部になることはとても厳しいです。二流の組織であったからこそ、私でも最高幹部にまでなれたのです。競合他社の多い国内を避けて、海外での経済活動を選んだのもそのためです。日本国内での経済活動も、同業他社が少ない金融取引や株式市場に限定し、不動産や建設いった分野には進出しませんでした。

週刊SPA!からのコラム連載オファー

再び、マーケティングの話に戻します。私が提供できる価値=コンテンツは何かを考えてみました。その結果、海外での経験、特に金融取引や石油取引ではないかという結論に至ったのです。70ヶ国ほどの渡航と他国での活動経験が私の提供できる価値=コンテンツなのではないかと考えたのです。これなら、競合他者・同業他者も少ない上に裾野の広い分野です。海外での逮捕経験も私の経歴からすればマイナスには働きません。こうして、出版の方向性は決まったのでした。

年が明けた2016年になって、週刊SPA!の編集者からコラム連載をしてみませんか?という打診がありました。読み書きに自信はありましたが、素人の私がいきなり週刊誌のコラム連載などできるでしょうか。しかし、コラムなら個人の思ったことを好きなように書けます。書籍出版に向けての訓練にもなりますし、何より書く経験を積むことができると考えました。こうして、私は2016年4月から、週刊SPA!でネコノミクス宣言を連載することになったのです。山口組引退から半年も経たないうちに、私は週刊誌に表現の場を提供されたのでした。


次回は、ネコノミクス宣言の連載開始と週刊SPA!への思いを書きます。




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