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安倍晋三元首相の国葬儀とメディアが生んだテロリスト

2016年12月14日に人生で初となる書籍を出版してから6年目の今年、16冊目となる『シン地政学”安倍後”を読み解くマネー、オイル、暴力の新方程式』を上梓することができました。

2022年はロシアによるウクライナ侵攻、安倍晋三元首相の暗殺と衝撃的な出来事が続きました。コロナ禍で激変した世界はエネルギー、国防の安全保障のみならず、食糧危機にインフレという混沌とした情勢を生み出しているのです。文明とは暴力によって担保され、また破壊されるものなのだということを改めて見せつけられたのです。

9月8日には70年間にも亘り英国君主を務めたエリザベス女王が亡くなりました。その2日前には47歳のリズ・トラス氏が新首相に就任しており、英国は新しい時代を迎えます。10%を超えるインフレにエネルギー価格上昇、ブリグジットによる混乱と新しい英国の船出は前途多難です。エリザベス女王なき後、スコットランド独立論の再燃や英連邦の動揺は今後の大きな課題になるでしょう。

一方、国内では9月27日に安倍晋三元首相の国葬儀が執り行われます。1967年に行われた吉田茂元首相以来55年ぶり、戦後2例目となる国葬儀に首都東京は厳戒態勢です。

安倍元首相を暗殺した山上徹也はメディアが生んだテロリストですが、稀代の犯罪者を英雄扱いする輩まで現れています。そして、今日は霞ヶ関の路上で安倍元首相の国葬儀に反対する男が焼身自殺を図るという事件が起こりました。「反安倍カルト」をメディアが煽り続けている中での国葬儀に、感受性豊かな異常者がテロ行為に及ばないか危惧されています。

第1章「安倍外交」で一変したユーラシアの地政学的ベクトルより

「反安倍カルト」を露出し続けたメディアの大罪

山上徹也は
「統一教会に恨みがあり、元首相と統一教会がつながっていると思い込んで犯行に及んだ。政治信条に対する恨みではない」
という趣旨の供述をしている。

日本語で「下衆」とは最低の評価の1つだが、こんな根拠もない理由で命を奪い、民主主義を暴力で奪った人間は、まさに下衆と言っていいだろう。このような下衆を社会の中で生み出す出発点は、「反安倍カルト」に取り憑かれた「自称・言論人」「自称・文化人」だ。

そうした「反安倍カルト」の教祖の言論は実に刺激的である。だが、根拠があるのかといえば、実はないことのほうが多い。たとえば、いわゆる「集団的自衛権」が議論になった際、反安倍カルトの教祖たちが主張したのが「徴兵制の復活」だ。だが、現在の兵器は専門性が極めて高く、素人を採用してもすぐには前線には出せない。

戦時下のウクライナには西側から大量の武器が送られている。しかし、ロシア製の武器を長く使ってきたことから即前線で使うことができず、このタイムラグに苦しんでいるのだ。この現実だけを考えても、現代戦で「徴兵制」復活のメリットは極めて少ない。このような根拠のない「刺激」によって視聴率や購読数は増加する。すなわち報道でも評論でもなく、ただの利益の追求だ。その利益を求めて反安倍カルトの教祖を露出させ続けたのが、情報の上流にいるメディアである。
                                                          -中略-

「憎悪の連鎖」を断ち切るために必要な心がまえ
「クレジット」が信用であり、無料であるということは「信頼」が存在しないということはすでに説明した。情報がタダで手に入ると思い込んでいる人たちは、「信用」が担保されない情報ばかりに触れているという事になる。

そうした連中は、もはや「情報弱者」というより「情報貧民」とでも呼ぶべきメンタルの持ち主ということだ。無料の情報なら、政府など公的機関がいくらでも発行している。ただしその深層を読み取らなければ、無味乾燥にしか見えない。

一方で、無料のネットニュースが収益を得る手段は、読まれたカウント数に応じた広告収入である。カウントを稼ぐために扇情的でスキャンダラスなタイトルをつけ、事実に乏しい下衆な内容で煽り立てていく。
情報乞食は、そうした下衆な情報を要文にして根拠不明なルサンチマンを募らせてという構図だ。

しかも、安倍元総理に対するお悔やみにでさえ憎悪を募らせるのだから、もはや病的カルトだ。下衆なメディアが山上徹也を生み出す畑であり、情報乞食こそが山上徹也の種ということである。

ビジネス社「シン地政学 "安倍後"を読み解くマネー、オイル、暴力の新方程式」

9月27日の安倍晋三元首相の国葬儀ですが、平穏無事に執り行われることを願ってやみません。


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