見出し画像

ふるさと納税に魂を売れるか


私自身の葛藤の話だ。
ふるさと納税をしてる人を非難する意図はまったくない。
それぞれの考えがあると思うので。


言わずと知れた、納税額が多いほど優遇されるという税金のキックバック制度。

我が家の納税額などたいしたことはないが、それでも利用すれば多少はお得なシステムだと知ってる。
だから何度もやってみようとしたけれど、調べるたびにイヤ~な気持ちになり、やっぱやめとくか‥となる。


だっておかしくないですか。
この町の住民サービスを受けてるのに他の自治体に税金を納めるなんて。

この町に住み、道路を利用し、ゴミを捨て、公園や図書館を使い、学校に通っているのに、それにかかるお金を負担しなくていいの?
住民がふるさと納税を利用すれば、その分、住んでいる自治体の税収が減ってしまうよ。


それにうちの子には障害があり、小中学校は特別支援学級でお世話になった事情もある。
1クラス7人の支援学級でたっぷり手をかけて指導いただいた。
教室には障害児のための玩具や本が用意され、体温調節が苦手な児童のために、校内で一番早くエアコンを入れてもらった。
足を向けて寝れないぐらい感謝している。


学校の設備費等には自治体の税金が使われていたはず。

さんざんお世話になっていながら、いまさら肉や果物に目がくらんでふるさと納税なんかできない…という気持ちがある。
そんなズルいことをしたくない。

調べれば調べるほど嫌な制度だ。


ほかにもいくつかのひっかかる点がある。
地元に納められるはずだった税金が他の自治体に流れるわけだが、当然、全額が移動するわけではない。
システムにかかるお金や返礼品代として何割も消えてしまう。

特に納税サイトを運営する企業はYouTubeで年中CMをうっている。
多額の広告費がかかっていそうだけれどそれだけ儲かるんでしょうね。

これを「税金で経済回してる!」「地域振興!」って喜べばいいの?


それに地方と大都市の格差是正が目的らしいけれど、人気の特産物がある自治体は潤う一方、そうでない自治体にはあまり恩恵がないのでは。
特産品がない自治体は助けなくてもいいの?
不公平だし新たな格差を生み出しそう。

総務省のサイトにはこうある。

ふるさと納税には三つの大きな意義があります。
(中略)
自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。

総務省 ふるさと納税ポータルサイト

疑問だ。自治体間の競争が進むっていいことなの?

私は経済に詳しいわけではないけど。
市場経済で生じた歪みや貧富の差を是正していくのが、国や自治体の役割じゃないの?


税金さえ競争して奪いあってどうするんだろう。

こんなシステムにお金と労力を割くぐらいなら、普通に給食に補助金をだしてメニューを豪華にして、体育館に冷房をつけてあげてよ。
そこに競争原理はいらないよ。

人々の暮らしを軽視してるからこんな変なシステムを作れるのだろう。
ふるさと納税だけの話ではない。
国全体がそういう方向に動いている。

商売人だけが集まってこの国の政治をやってるみたい。


国とは、自治体とは、税金とは何か。
根本が揺らいでると思うわ。


———とおおげさに憤りながら、きっとまたいつか気になって調べてしまうのである。
やればお得なんでしょ。だけど嫌だなぁ。


いいなと思ったら応援しよう!

津村ねここ
この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか? 気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!