私はあなたのオキシトシン
今は昔、私がDJと付き合っていた頃。
今や忘却の彼方に追いやられし元恋人Aは、
私の「恋人として、私に何を求めてる?」という束縛チックな質問にこう答える。
「オキシトシン。」
このオキシトシンという言葉に、私はハートを射抜かれた。
なんて答えなの?
なんて掴みどころのない人なの?
常軌を逸したこの答え。
ところでオキシトシンてなに?
わかんないけどそーゆーカンジのあなたが大好き。
ほ〜っと相槌を打ち、よく分かんないまま満足した。そして月日は流れ、もう付き合えないと振られ、それでも私は彼を好きでたまらなくて無理やり会いに行くような、そんな日々を過ごしていたある日。彼の部屋で適当に読んだ本の中に答えは書かれていた。
オキシトシンとは愛情ホルモンのことだった。
どうやら愛を感じる時にでるホルモンのことで、授乳する時にも出ているらしい。
以下少しNHK味のある話題になるのでここからはすっ飛ばして大丈夫ですが、
人が幸せを感じるには段階があって、要となるのは3つのホルモン。
セロトニン、オキシトシン、ドーパミンの順で3つのホルモンが生成されたとき、幸せが生まれる。
第一にセロトニン。
これは人の体が健康である状態の時に出ているホルモン。
第二にオキシトシン。
友人や恋人など、人との関わりの中で愛を感じた時に出るホルモン。
第三にドーパミン。
いわゆるゾーンに入っているような快感を伴うホルモン。
この3つは、セロトニンを土台としてピラミッドのような構造をしている。
健康な体でセロトニンを生み出し、愛を感じてオキシトシンに満たされ、快感を感じてドーパミンに達した時、人はその感情を幸せと呼ぶらしいのです。
なんだか幸福の科学のような宗教チックな話だけど、私にとって恋愛とは私とあなただけの宗教のようなものなので、この事実を知った時とても辛い気持ちになった。
なぜならオキシトシンを理解した時私はもう振られていたから。
あなたは私といてもオキシトシンを、愛情を感じることができなかったのね。
私が注いでいたのは紛れもない愛だったと思うけど、それはきっと自分勝手なものだったのだ。
彼にとってのオキシトシンではなかった。
まぁこの元恋人Aは一言で言えばゴミクズのような男だった。だけどあの時の私は確かにこの男にリアルな恋をしていて、彼から受けついだ恋愛スピリッツは今もわたしの中で生き続けている。
いつか出会う、隣で穏やかに笑うあなたにとっての唯一無二のオキシトシンになれますように。アーメン