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微細藻類バイオ燃料は現在の取り組みでは実用化できない理由

航空機燃料はCO2を大量に排出するのでバイオ燃料への代替えを目指して世界中が取り組んできました。
単位面積当たりの収量が高いということで微細藻類に注目が集まってきました。
米国を中心にバイオベンチャーが取り組んできましたが、これはコストが合わないんです。
小さい単細胞藻類を培養するんですが、これがコンタミ(別の微生物が混入してくる)でなかなか難易度が高い。
さらに、小さい単細胞藻類を乾燥したって含水率は20%は残るし、その細胞壁を破砕して脂肪を抽出するという難解な工程がたくさんあるんです。
大学や研究機関でも多数取り組んでいますが、だいたい培養がうまくできていないのが実情です。
デリケートな微生物ですから、がっちりした培養装置で温度管理などをしてやっと培養ができるのですが、燃料にそんな事をやっていては採算が合わないということでプール型を進めている方々が多いわけです。

微細藻類からバイオ航空機燃料を作るのに、世界中で同じやり方になっており、同じ失敗を繰り返しているのが実情です。
低コス化になるからとプールで培養(強靭な藻類を扱っていなければコンタミで思うように生産ができない)
次に細胞壁を破砕して脂肪を抽出するわけですが、そのあとエステル交換といってメタノールで生成するのがBDFです。
これはそもそも質が悪くて15℃ぐらいないと点火しないし、アルカリ触媒で劣化して長持ちしない。
さらに、大量のグリセリンが出て寧ろ環境悪化になる。
こんな事やっている場合じゃないんですが・・・
要するに共同幻想、藻類フォログラムとでもいいますか・・・

この世界から抜け出せない人たちがこぞって藻類バイオベンチャーを叫んでやっているわけですが、残念ながら一向に採算ベースには乗りません。

なんでこうなるのか?というと、藻類バイオを研究している専門家は主に二通りで、分類学者と生命工学者が取り組んでいるんです。
分類学者はどんな藻類を発見したか?が研究目標ですから、その先は進みませんし関知するところではありません。
生命工学者は、遺伝子操作を研究しているのでそれ以外は考えません。
藻類ベンチャー企業は、工業化できないので実証だけたまにやってニュースにします。
色々言われていますが、現実には千倍ぐらいコストが下がらないと採算が合いません。
藻類は生物ですから、遺伝子操作したって、新しい分類を探したって、千倍になんてなりません。
だから世界中で廃業、撤退、サプリメントで生き残りへ転換しているのが実情です。

この分野は別の次元の研究開発者によって工業化される可能性はありますが、現在藻類バイオベンチャーとして取り組んでいるグループは従来の考え方を変えないとまず難しいでしょう。
そうこうしているうちに、水素菌で航空機燃料を開発するというニュースまで飛び出してきました。
藻類も菌類も同じく難易度が高く、同じ道を進まなければ良いのですが・・・・
CO2を固定化します!っていい掛け声ですが、藻類だって、水素菌だって
空気中のCO2じゃ足りないからどうする?というおかしなことになるんですよ。
それが実際に苦労してやってきた人たちが取り組んでいることなんです。
CO2を減らさなくてはいけないけれど、あまりに多くCO2を吸収してくれる生物だとわざわざCO2を作らないと足りないとか
有償で買ってきて使うとか
これって、SDG’Sなんですか?

脱炭素が全然なっていないのは太陽光パネル並べても廃棄に環境破壊するとか、何しろ綺麗ごとの裏には意味不明の事実がたくさん転がっています。
この分野も本当の意味でベンチャーが登場するか、それとも別の技術で工業化されて全滅するのか?
今しばらく様子を見ましょう。

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