米中関係の衰退と崩壊を、いかに新型コロナは早めたのか(後編)
PART Ⅲ 習近平からの電話
危機が発生してから数週間、国務省は中国側と建設的なコミュニケーションを維持していた。国務省には米国の外交官と家族を注意深く見守る義務があり、最終的には武漢に飛行機を派遣して、彼らを救出している。その飛行機には医療機器が積まれており、それを必要としている武漢の病院へと届ける役目も果たしていた。
中国も独自の救援活動を展開している。中国は3月末までに120ヵ国に援助物資を提供し、大規模な『マスク外交』を展開した。これは当初は歓迎されていたが、後に『マスク外交』は中国が自国内で発生させたコロナウイルスについて批判的な国々への影響力の行使として、援助を行うことの代名詞となる。
しかし、この協力関係は、トランプ大統領が渡航禁止令を発表したときに終わりを告げた。中国政府は他の国が米国政府の判断に追随することを防ぐため、世界規模のキャンペーンを開始している。王毅外相は2月1日、インドの外交官に「中国は緊張とパニックを引き起こしている、特定の国の行動に反対する」と述べた。しかし、実際のところは、中国からの渡航が途切れずに続けば続くほど、パンデミックは急速に拡大していくことになる。
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