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ジェームズ・ボンドは中国に興味なし

2021年10月16日

ロス・ドゥーサット(オピニオンコラムニスト)

 ダニエル・クレイグによるジェームズ・ボンド作品の最後の出演作となる『No Time to Die』は、ボンドマニアにとって地政学的にも重要な節目となっている。この作品の制作陣は、たった一人の主役で5本の映画を完結させたばかりだが、世界中を飛び回り、陰謀が繰り広げられていたにもかかわらず、中国の存在はほんとんど認知されていなかった。背景として上海やマカオが登場したり、ある悪役が舞台裏で中国の治安部隊に拷問された過去があったりもしたが、中国の台頭期に公開されたシリーズ全体としては、アメリカの主要なライバルが、他の異国風なボンド映画の舞台となった地域よりも重要であると示唆されたことはほとんどなかった。

 公平に見ると、冷戦時代のボンド映画はロシアに固執しておらず、多くの作品でソ連を敵として描くことなく、無国籍のスーパーヴィランを登場させていた。しかし、ロシアの権勢という現実は、シリーズの一部となっている。例えば、1970年代から80年代にかけての5本のボンド映画では、同じ俳優がKGBの責任者として登場していた。

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