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【漫画家志望物語4】2020年はどこにいった?

8月末に「わたしとナカムラ」を持ち込み、編集さんと電話でお話しできたのは9月の上旬の土日。

アドバイスいただいたのは主に下の3点だった。
①セリフ量の多さ
②コマ割りがへたくそ
③キャラが多すぎる

漫画としての形式や、読切としてのアドバイスをいただいた。つまり読みづらい漫画ということだった。(ストーリーについてもよくわからないと言われた)。
年齢的にも少年誌は厳しいだろうか…と思っていたのだが、「教員採用試験を受けずに漫画家を目指すことにした」と話すと、意外にも編集さんの反応は良い方に変わった。

編集「大学卒業まで残り7ヶ月あると思うので、2ヶ月に一本32ページ描いてみてください。1ヶ月目はネームで、2ヶ月目は原稿って感じで。そうすれば4作目くらいで受賞はするんじゃないかな。

とりあえず次はネームで見るので、電話かメールに連絡ください。」

そうして持ち込み電話は終わった。
軽くパニックになっていた。担当、とまで言っていいかわからなかったが、仮担当くらいの人がついたのだ。9月の頭、漫画家志望4ヶ月目の話である。

この編集さんが言っていた「4作目で受賞するんじゃないかな」ということはズバリ的中するのだが、それは2022年11月の2年と2ヶ月も先の話である。


確実にやるべきことが見つかった私は、やる気に満ち溢れていた。読みやすい漫画を描けるように勉強し、次のネームはその編集さんに見てもらうことだ。編集さんの言うとおり、2か月に一本こなしたら卒業までに受賞はできるのではないか、と希望を抱いていた。

しかし、私が次のネームを持ち込んだのは11月の上旬。持ち込みから2か月後になってしまう。


そもそも持ち込み電話をした9月上旬の土日は、教育実習期間だった。9月半ばに教育実習が終わったものの、実習後の手続きやアルバイトや遊びなど、大学生の生活に戻り、次のネームも思いつかなかった私は9月中にネームを完成させることが出来なかった。

そんな中、とある漫画賞を見つける。
投稿サイトに漫画を投稿していた中で、LINEマンガのインディーズと他に白泉社の「マンガラボ」というサイトに投稿をしていた。そのマンガラボで、学生向けのコンテストが開催されていたのだ。
私は9月末から、締め切りの10/5に向けて、4P漫画を描くことにした。(フリー部門と4Pマンガ部門があり、どちらもジャンルはフリーだった)。
さて、次のネームを思いつかなかった私が、なんの漫画を描いたのだろうか。それは前に面白いなと思っていた友人の言葉から着想を得た。
「こんなにコロナで色々なことが出来なくなるんなら、いっそ2020年をなかったことにしちゃえばいいのにね~」という、(過激思想ではなく)普通の冗談だった。
この言葉が頭から離れずにいた私は、4P漫画を書こうと決めてすぐに、このアイデアが思いついた。
こうして4P漫画はあっという間に完成した。

10月、大学の後期も始まり大きなイベントも動き始めた。それは…

卒業論文の本格スタート。

思い出してほしい。私は教育学部数学科の大学生だった。教員採用試験というのは、大体5月くらいから出願などが始まり試験があるのは8月頃。9月は教育実習で皆不在なので、教育学部では卒業論文が10月から本格的に始動するのだ。(研究自体は大学3年の3月から動いていたが)。教育学部なので、卒論といっても4人で一緒に1つの本を選び、その内容を先生と一緒に勉強するというスタイルだった。そして、その内容を自分たちでTeX(テフ)という数学専門のwordのようなものでまとめるのだ。
ちなみに私が研究していたのは『暗号』だ。暗号といっても、冒険小説に出てくるようなものではなく、電子署名や公開鍵などといった、コンピュータにおける暗号のことである。有名なのはRSA暗号というものだ。
いったいなんのことかピンとこない人は、『サマーウォーズ』という映画を思い出してほしい。冒頭で主人公が解いてしまう暗号(数字の羅列)こそが、それである。研究してやっとわかったが、あれを暗算でラストシーンに解いてしまう主人公は人間でないなと笑


こうして、大学の授業、アルバイト、ゼミ(卒論)、遊び…と大学生の日々を送りながら10月を過ごしていた。
そしてこの頃、Y氏の商業連載のアシスタントに初めて携わり、初めてのアシスタントも経験させていただく。(ありがとうございました。)

そして10月末、コンテストの結果が出た。


「かい」が武田かいのこの頃のPN

最終審査通過だった。初めて自分の名前が、サイトに掲載された。
とても嬉しかった。すぐに家族にも報告し、漫画で成果を出せていることを示した。4Pだけなので、ここにも改めて載せておく。

この結果が追い風となり、11月になると私は編集さんに見てもらうためのネームを描き始めた。内容の方向性も、4Pの漫画と同じようなダークな感じだ。

そしてそのネームを11月中旬にようやく持ち込み、再び編集さんに見ていただく。
ネームのタイトルは「悪魔の雑貨店」。
武田かいとして活動し始めて、1作目の読切作品である。
「ナカムラ」など、前から何作か描いていたが、
・30P以上の読切作品であること
・商業を目指してから制作したもの
として1作目として扱っている。(特に、新人賞の投稿や編集さんとお話するときには、何作目ですか?などという質問をされるので、自分の中で決めたものだ。)

「悪魔の雑貨店」は1作目であり、この作品が後に大きな成果をもたらすのだが、それは3か月後の2月のことである…。


次回はこの、「悪魔の雑貨店」回になります。↓読めます。
悪魔の雑貨店 - ジャンプルーキー! (shonenjump.com)
個人的に思い入れのある作品ということもあるので、みっちり描こうかなと。(特に漫画家志望の方は必見回です。自分で言うのもなんですが。)

ちなみにこのエッセイについてですが、4年前の話なので当時のスケジュール帳と日記を元に、記憶と時系列を復元して書いています。記録に残すって大事ですね。(スケジュール帳には予定とやったことを描きこむタイプ)。

あと、このシリーズについて、今後どのくらいの頻度で更新していくのか考え中です。とりあえず最初なので結構な頻度で更新していますが…。
何か要望や、内容についての質問などは、コメントやXのDMなどにお願いします!

それでは次回。

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