
2月20日 ピカソよりふつうにゴッホが好き
昨日とよく似た話。
奈良県桜井市に「喜多美術館」という美術館がある。
初めて訪れたのは数年前。
美術館巡りは趣味の一つなので関西圏の大きい美術館はほぼ行っていたが、その頃喜多美術館のことは知らなかった。
何で知ったのかはもう覚えていないが、国立国際美術館で「アンドレアス・グルスキー展」が開催されていた時だと思う。
調べてみたらグルスキー展が行われていたのは2014年だったのでもう10年も前のことなのか。
喜多美術館に初めて訪れた時の驚きといったらなかった。
この人の作品がこんなところに??と思うような錚々たる作家の作品が置いてある。
創設者である喜多才治郎氏が長年に亘って蒐集した西洋近・現代美術作品を展示しているのだが、現代アート好きな方が見たらその先見の明に驚くはずだ。
なぜ「グルスキー展」をやってた頃と覚えていたかというと、展示作品の中にはグルスキーの写真もあったのだ。
グルスキー展の少し前、彼はあることでとても有名になった。それは彼の作品が430万ドル(約3億3,300万円)で落札され、当時の史上最高額の写真となったのだ。
もちろん昔の作品の価値とは異なるが、それにしてもそんなに有名な作家の作品がこんなところにひっそりとあるなんて。
他にもヨーゼフ・ボイスやマルセル・デュシャン、ウォーホルにジャスパー・ジョーンズ、さらにはルノワ-ル、ゴッホ、ピカソなどなど。
まさか奈良でこんな風にお会いできると思わなかった作品の数々。
それからはなかなかタイミングが合わず、つい最近2回目の再訪をした。
以前はお会いできなかったが喜多才治郎氏の息子さんがいらっしゃり、いろいろと話を伺うことができた。
ご本人はアートにあまりご興味がなく、周りの方からの声でその価値に気づいたとおっしゃっていた。
確かに、何も知らない状態でグルスキーの写真を見たとしてもその価値に気づくのは難しいかもしれない。
「真理に辿り着いた物」はそれなりの光を放つモノだとは思うが、昨日の古墳のように、それを見てはたしてそれを感じ取れる人というのは一体何人いるのだろう。
私のこの目は一体どれだけの真実を見ているのだろうか。
視覚ではない感覚をもっと磨かなければいけないと感じる山辺の道。