絵師も、技術も、サービスも悪くないmimicは何が悪かったのか。 - CSRから見る今回の炎上
はじめに
Nekodos.
ねこです。
ツイッターで大炎上したAIイラスト生成サービス:Mimic
ねこは平和主義者なので…。
技術系の人たちが「絵師はヒステリック!」「時代で潰れた仕事もあるから仕方なし!」「法律的には正しいから受け入れろ!」「お気持ち乙」「海外は待ってくれない!国益に損!」と真っ当なんだけど攻撃的な文章を書いており、それはそれでわかる。
一方、絵師の人たちが「仕事がなくなる」「アレ俺詐欺が出てくる!」「利用禁止!」「だれも使うな!」となって結果として技術の発展阻害をしており、それもそれで分かる。
という点から、どっちも悪くないのに分断して攻撃し合っているのを非常に悲しくみておりました。お互い正しいから尚の事見てられないのよ。
ねこは学生時代に経営学を学び、現在経営指導や新規事業・サービスづくり、ブランド設計等のお手伝いをする立場でもあるので、今回の件をCSRというものを交えてどうすればよかったのかを浅ーく考察します。
CSRとは?
CSRを聞いたことがあっても、何かがよくわからない人に端的に説明すると、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)です。
どういうことかというと、企業というのは利潤の最大化を目的とした組織ですが、それを突き詰めすぎたせいで問題発生が歴史上幾度もありました。
例えば公害とか。
一方、お隣韓国では、「日本不買」という運動が起きて、「弊社は日本と関係ないから…」という声明が出されましたね?
アレもCSRです。社会とは変動するもので、ゆうたらその時々で気まぐれロマンティックな民衆に対応するのもCSRというものです。
法律ではOK,は企業活動においては通用しない
さて、CSRについてザッと述べたので、詳しく知りたい人はググってください。
ここで、先の事例2つとも、「法的にはOKである」ことを明記しておきます。
公害発生時期は法律に公害のことはないのでOK?といって、していいかといったら違いますよね?ステークホルダーである地元住人からするとこのやろう!となるわけです。でも実際には工場生産物は地元住人に売るわけでもないので別に無視してたっていいか、としばらくごねまくっていたのですね。
一方、韓国の方も「不買!」を守らなければお前も不買!と、こちらの方は完全に消費者というステークホルダーからの圧だったので、日本原材料を使わない・無関係を主張するなどの不買に行くのも早かったわけです。
Mimicはなにが問題だったのか?
さて、mimicにおいては、実はこれサービスの提供先が「絵師」となっていたわけですね。すなわち消費者というステークホルダーに近い訳です。
また、公害と同じように、「害される(可能性が高い?)側」という負のステークホルダーという側面も持っていました。ここが重なっていたのですね。
ここでmimicの売り出し方を見ると、問題は明らかで、
・絵師向けサービスなのに、会員登録は絵師でなくてもできた
ほぼこの一点に尽きると思います。
本来は素晴らしいサービスであったはず(絵師の省力化や新しい可能性の発見等)なのに、こうも最悪な滑り出し方をしてしまったのは、正直本当に残念でした。
Twitterでの認証や、運営が「使ってもらいたい!」と思うような絵師に対してDM送付でのみの会員登録URLの送付など、取れる施策は色々あったと思います。
現実には、絵師以外の一般人も使えるようになっており、かつ、その作成した絵が販売可能、となると、それはもう叩かれること必定なわけです。
絵師たちも生活が懸かっている人もいるでしょうし。それは必死に抵抗してきますとも。
何なら、AI生成のための学習用途での画像収集は法的にOK、AI生成物に著作権はないということを踏まえたら、やはり絵師というステークホルダーは敏感に反応してくるのは想像に難くないはずです。
そして、今回絵師向け、と謳っている以上、絵師ほぼ全員レベルから総すかんを食らってしまった以上、一回クローズするのは残念ながら仕方ないと言わざるを得ません。一般向けという部分をスケベ心か分かりませんが、グレーゾーンにしたままなのが仇となりましたね…
まとめ
今回の件で悪かったのは、「見せ方」「出し方」「やり方」であり、サービス自体・ブランド自体は非常に素晴らしかったことが本当に悔やまれます。
絵師向け・アニメオンリーといったポジションで他AIとの差別化を図れていたので、kawaiiイラストAIでは初出・一強を作り出せる希望でもありました。
CSRの知識、というか、もうちょっと簡単に優しく言うと、「このサービスで利害関係者はどう思うかなぁ」というところの視点が欲しかったです。気遣いともいう。とはいえ、見すぎても問題なんですけどね。キリガナイ
幸い、ここから”絵師向け”という部分を取り返して、色々規約を直せば十分元通りにサービスを始められるとは思うので、是非邁進していただきたい。いいサービスですので勿体ない!
今後、AI系関わらず、サービスを作る人等どんどん増えてくると思うのですが、こういった「他人の営み、気持ちを考えること」も利益を生むためには必要な活動なので、是非とも「3方ヨシ!」なビジネスを組み立てていってほしいなと思います。
平和主義は戦略です。敵作るとクッソめんどくさいんですよ。組める道があるならちょっと利益減らしてでも是非組んでください。その方が敵になってた人が手伝ってくれてメチャ楽だし、仲良くなれて楽しいです。