智恵を絞って絞って絞りまくる。髙田郁『あきない世傳金と銀』
着物好きはもちろん、人生ドラマが好きな方にもおすすめな『あきない世傳』。
全13巻+特別編2作品と8年にわたって続いた大人気シリーズです。この作者さんは、『みをつくし料理帖』(私は読んでいないけれど)でも有名ですね。
『あきない世傳』は江戸時代の呉服商を舞台に、主人公の幸(さち)が「買うての幸い、売っての幸せ」を信条として幾多の困難を乗り越えながら商いをしていく物語。
難局に直面するたび、智恵を絞って新たな商品を生み出して切り抜けていく様子が爽快。人道を外れない、誠実な商売。利他の心で、時に損失となることもやってのけてしまう主人公たちを見ていると、自分の仕事への向き合い方を問われているようで、考えさせられます。
主人公に降りかかる困難はかなりレベルが高くて、実際に自分がその立場だったら絶対に心折れてると思う。どんなに理不尽な目に遭っても、悲しいことがあっても、落ち込んで逃げるのではなくて、立ち向かって出口を探す。
考えて考えて考えて、懸命に進もうとすれば、まわりも応援してくれるし、ひょんなところから解決の糸口が見つかったりする。でも、その糸口が見つかるのは決して偶然ではなくて、考え抜いてアンテナを張っているからこそ。
どんなにマイナスでも、それをどうプラスに転じるかを考える。
そうした日々を送れると、前向きに人生生きられるのかな。