相手にレンジを推測させない技法
はじめに
ポーカーの中上級者であれば、この場面ではだいたいこのようにプレイするという、定跡と呼べるような戦略をだいたい皆が持っていると思います。
以前に動画にしましたが、例えばSB 3bet vs BTNでSBがすべてのハンドで小さいCBを打つ戦略が、大半のフロップでは有効であるというようなものです。
もしくはもっと初歩的な例を挙げると、プリフロップでBTNがオープンしてBBがコール、フロップが開いてBBはすべてのハンドでチェックをすることが一般的というようなことです。
これらは簡単に習得できる戦い方ですが、いわゆる古典的なABC戦略とは異なり、すぐに見破られてエクスプロイトされるようなものではありません。定跡と呼べるほど優れた戦略である理由は、自然にバランスが取れていることです。こちらの戦い方が相手に知られても、エクスプロイトされてEVが下がる心配をする必要はほぼありません。
一方でPioSOLVERで解析するベットサイズを増やすことで、複数の選択肢からなるGTO戦略を得ることもできます。例えばSB 3bet vs BTNでフロップに小さいCBだけでなく大きいCBも選択肢に加えること、BB vs BTNでフロップにドンクベットを打つ選択肢を加えることなどです。それらはこちらの戦略をとても複雑なものにしますが、その労力にも関わらずPioSOLVERで表示されるこちらのEVはほとんど変わらないことが多いです。
これらの事実から100NLzや200NLzで勝ち組と呼ばれるレギュラーのプレイヤーは、定跡のようなシンプルでバランスの取れた戦略を習得して実戦で使うことを好む傾向があります。フロップの戦略が固まることでそこからのターンやリバーの戦略も慣れてパターン化することができますし、多面して長時間プレイしていても判断がミスなく高速にできることなど利点は多いでしょう。
第一章 定跡の再検証
このシンプルでバランスの取れた戦略のすばらしさを、まず具体的な例で再検証しておきましょう。
例1. SB 3bet vs BTNのSBのCB戦略
プリフロップでBTNがオープンしてSBが3betし、BTNがコール。フロップはJc Td 6d。ステークスは500NLzでPotが$100に対してEffective Stackは$450です。
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