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ア段だけの小説

ルール

  • ア段の言葉だけで物語を書く。

  • 長音(ー)、促音(っ)、撥音(ん)、記号などは使用可能。


ア段だけの小説「さわやかな朝」

さわやかな朝だった。
笠原はパジャマだが、カサカサな肌があらわだ。
皿があった。魚やバナナ、高菜やジャンバラヤやらだった。魚は噛んだらはらわたがパサパサだった。バナナはまあまあだ。高菜が歯ぁ挟まった。ジャンバラヤは辛かった。
笠原は皿洗った。バシャバシャ洗った。半端じゃなかった。ただ、片側は洗わなかった。生半可な判断だ。
なんかパラパラ鳴った。やだな。雨傘がなかった。雨合羽はあったかな。
棚があった。雨合羽は中だ。カナダからわざわざ買った宝だ。ガチャガチャ。だが、なかなか開かなかった。笠原は華奢だからだ。
「なあなあ笠原、なんなんだ」
「あ、中澤さん!」
中澤はチャンバラアンバサダーだ。また、肌が甚だカサカサだ。
「棚が開かなかったんだ」
「ああ、簡単だ」
中澤は立った。あ、刀だ。笠原は逆らった。
「待った! 刀やがな! あかんあかん」
「だから何だ。邪魔だ、笠原」
「パワハラだ!」
「わからんか、邪魔だ!」
中澤は頭が固かった。だが、まさかだが、刀が逆さまだった。刃が腹刺さった。中澤は腹が赤かった。あからさまなヤバさだ。
「笠原……謀ったな!」
「はっはっは。あなたは馬鹿だ。刀はハナから罠だったんだ」
笠原は笑った。触ったら、体はまだ温かかった。だが、中澤はままならなかった。

墓が建った。仲間から花束が多々あった。山田さん、田中さん、中山さん、山中さん、中田さん、田山さん、かが屋加賀、かが屋賀屋、ハマカーン神田、マッカーサー、アンパンマンらからだ。肌カサカサな輩ばっかだ。
笠原は嘲笑った。
「じゃあな中澤、さらばだ」
笠原は墓場から去った。


※補足

ア段だけで文章を作るという発想を大学1年生の頃に思いついてメモに書いて温めていたが、数ヶ月後、Twitter(現X)で同じアイデアのツイートを見てしまったので封印していた。

その後メモの存在も忘れていたが、最近もまたX(旧Twitter)で同じ発想のポストを見かけたことで思い出した。

久しぶりに自分のメモを見返すと、意外となかなか面白かったのでこのまま封印するのももったいないと思った。
「ア段縛り」という発想自体は被りがちみたいなのでオリジナルを主張する気はないけど、せっかくなので投稿してみた。
調べたら、特定の文字を使わずに文章を書くことを「リポグラム」というらしい。へー。

〈自分で読んだ感想〉

終盤に固有名詞に頼るところが芸術点低めだと思った。人選にお笑い好きが出ている。思いついたのを全部入れたくなる作り手の感情が出ているなと思う。まだ入れられる言葉がたくさんありそう。

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